航空、鉄道、バスなど交通各社での方針策定が目立つ。毅然とした対応を盛り込む企業も
――企業のカスハラ防止に向けた最近の動き
企業の取り組み
カスタマーハラスメントに対する基本方針を策定する企業の動きが目立ってきた。航空業界では、ANAグループとJALグループが6月、共同でカスハラに対する方針を策定した。鉄道業界では、JR東日本グループや西日本グループなどが基本方針を5月に発表。バス業界でも、小田急バスや関東バスなどが基本方針やガイドラインを公表している。各企業が例示するカスハラ行為の内容をみると、暴言や脅迫などのほか、土下座の強要や、SNSでの投稿なども明示されている。社員を守るため、カスハラが行われた場合には、顧客対応をしないことを宣言する企業もある。
ANAグループとJALグループは共同の方針をサイトに掲載
ANAグループとJALグループは6月28日、共同で「カスタマーハラスメントに対する方針」を策定した。両グループは「従業員が安心して働ける環境を守ることが全てのお客さまに安心で快適なサービスを提供する基盤である」と考え、方針を策定したと説明。「今後は、より一層のサービス品質の維持向上を追求することに加え、定期航空協会をはじめとした関係各所と連携をしながらカスタマーハラスメント対応の取り組みを推進してまいります」としている。方針は両企業のサイトに掲載されている。
方針の中身をみると、「安心で快適な空の旅をお届けするため、常にお客さまに寄り添い、質の高いサービスの提供を目指します。そのため、お客さまのご意見・ご指摘には真摯かつ誠実に対応してまいります」とする一方、「暴言や暴行などの著しい迷惑行為など(カスタマーハラスメント)に対しては、従業員の人権および就業環境を害するものとして、毅然と行動し、組織的に対応いたします」と明言。悪質な言動や犯罪行為に対しては、「しかるべき機関に相談のうえ、厳正に対処します」とした。
カスハラの定義については「顧客または第三者(取引先など含む)からの優越的な立場を利用した『航空法、その他関連する法規に反する行為』、及び『これらにつながりかねない行為』、または『義務のないことや社会通念上相当な範囲を超える対応を要求する行為』により、従業員の就業環境が害されること」としている。
カスハラの行為例は、図表1のとおり整理。「過剰な要求」では「規定やルールを超えた多額の補償金やアップグレードなどの特別対応の要求」なども盛り込み、「社員を欺く行為(※明らかに事実と異なる言動をするなど)」では「不正に発券された搭乗券の利用、年齢や氏名を詐称した搭乗、空席確保のための重複予約行為」なども盛り込んだ。
図表1:該当する行為の例示(ANAグループ・JALグループ)
(公表資料から編集部で作成)
今後に向けた対策として、カスハラを受けた社員に対する心のケアやカスハラに正しく対応する教育を行うだけでなく、業界全体で定期的な意見交換会を実施し、航空業界としてカスハラへの対応力向上を目指すとしている。
JR東日本グループとJR西日本グループは5月にそれぞれ発表
JRでは、JR東日本グループとJR西日本グループが5月にそれぞれ、カスハラに対する方針を発表し、JR四国もガイドラインを策定したとの報道があった。
方針のなかでJR東日本グループは「当社グループのサービスをご利用されるお客さまの一部には、暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等のカスタマーハラスメントに該当する迷惑行為が見受けられることがあります。これらの行為は、安全で質の高いサービスの提供を担う当社グループで働く社員の尊厳を傷つけ、安全で働きやすい職場環境の悪化を招くものです」とし、カスハラに該当する行為に対して、「毅然とした対応を行い、グループで働く社員一人ひとりを守ることも、継続的に安全で質の高いサービスを提供していくためには不可欠と考え」、方針を策定したと説明している。
カスハラの定義については、「お客さまからのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性が認められないもの又はその妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであり、当該手段・態様により、当社グループで働く社員の就業環境が害されるおそれがあるもの」とし、該当する行為を図表2のとおり例示した。
図表2:該当する行為の例示(JR東日本グループ)
注:例示でありこれらに限られるものではない。
(公表資料から編集部で作成)
方針は、カスハラへの対応姿勢も明確にし、「グループで働く社員一人ひとりを守るため、カスタマーハラスメントが行われた場合には、お客さまへの対応をいたしません」とし、「悪質と判断される行為を認めた場合は、警察・弁護士等のしかるべき機関に相談のうえ、厳正に対処します」と明記した。
JR西日本グループの基本方針は、「質の高いサービスを提供するためには、グループで働く従業員の人権が守られ、心身共に健康で安心して働ける環境を整えることも大切であると考えております」とし、この考えのもと、悪質なクレームや言動(カスハラ)が発生している実情もふまえ、基本方針を制定したと説明。
カスハラの定義については「お客様(お取引先を含む)からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、従業員の就業環境が害されるもの」とし、同社グループがカスハラと考える行為の例を、「身体的、精神的な攻撃」「威圧的、脅迫的な言動」「プライバシーの侵害や、名誉毀損にあたる言動」「継続的、執拗な言動」「拘束的な言動」「正当な理由のない要求」「その他の不適切な言動」にそれぞれ区分しながら、図表3のとおり列挙した。
図表3:該当する行為の例示(JR西日本グループ)
注:上記の例に限らず。また、グループの従業員が取引先等に対して行う行為も含む。
(公表資料から編集部で作成)
対応については、社外への対応では、カスハラと判断される言動が認められた場合は、「従業員を守るため毅然とした対応を行い、必要により商品・サービスの提供やお客様対応を中止します」とし、「更に、悪質なものや犯罪行為と判断した場合は、警察・弁護士等と連携し、法的措置等も含め厳正に対処します」としている。
小田急バスでは、カスハラの例示に「遅延したことによる運賃値下げ要求」も
民間バスの業界では、関東バスが2023年2月、小田急バスが2024年4月、和歌山県に本社を置く明光バスが同5月に、基本方針やガイドラインを策定した。
小田急バスは、「今後も、より良いサービスを提供するために、私たち従業員が心身ともに健康に安心して働ける職場環境を作ることが大切であると考えています」として、基本方針を策定したと説明している。
基本方針は「従業員を守るため悪質なクレームに対しては、社会通念上不相当なものと判断した場合、カスタマーハラスメントと捉えて警察・弁護士等と連携し、適切な対処をさせていただく場合もございます」と記述。カスハラの行為類型を「時間拘束」「暴言」「脅迫」「正当な理由のない過度な要求」「SNSへの投稿」「セクハラ行為」「その他」に整理してそれぞれ例示した(図表4)。「社内で大きな声をあげて秩序を乱す」や「遅延したことによる運賃値下げ要求」などの記載もみられる。
図表4:該当する行為の例示(小田急バス)
(公表資料から編集部で作成)
関東バスが策定したガイドラインは、「不当なクレームや苦情は、ご乗車のお客様や地域住民の方々等からのクレームや苦情の全てを指すものではございません」としたうえで、「お客様等からのクレームや苦情には運行や接遇、サービス等への改善を求める正当なクレームや苦情がある一方で、常識の範囲を超えた過剰な要求、事実無根の言いがかり等の不当なクレームや苦情もございます」と指摘。「このような不当なクレームや苦情において、業務遂行に著しく支障を来す場合、お客様等からの著しい迷惑行為として、これをカスタマーハラスメントと捉えます」と、カスハラを定義した。
基本方針として「クレームや苦情に対して真摯に対応いたします」と述べながらも、「お客様等からの常識の範囲を超えた過剰な要求や言動は、業務遂行に著しく支障が生じる等、職場環境の悪化を招き従業員の人権を侵す恐れもあり、見過ごすことが出来ない問題と考えています」と強調。これらの行為を受けた際には、「従業員が上長に報告をおこなうとともに、必要に応じて警察や弁護士に相談をおこないます」とした。
また、「事実関係ならびに因果関係を確認せずに謝罪や要求等を求められた時は、それに応じかねる場合があり、後日の対応とさせていただく」こともあるとしている。さらに、「常識の範囲を超えた過剰な要求や言動にも真摯に向き合い、毅然とした態度で対応いたします」とするとともに、「当社は、不当なクレームや苦情におけるカスタマーハラスメントから従業員を守ります」と強調した。
カスハラに当たるかどうかの判断基準については「お客様のご指摘に対して、事実関係ならびに因果関係、当社の過失の有無を確認した後に説明責任を果たします」とし、「それでもご理解いただけない場合は、上長に報告するとともに、必要に応じて警察や弁護士に相談をおこないます。そのうえで、不当なクレームや苦情におけるカスタマーハラスメントにあたるかを判断いたします」とした。ガイドラインが示すカスハラの具体例は図表5のとおりとなっている。
図表5:該当する行為の例示(関東バス)
(公表資料から編集部で作成)
明光バスも「お客さまからの要求には対応いたしかねます」と明記
明光バスは「カスタマーハラスメントに該当する行為に対しては、毅然とした対応を行い、社員一人ひとりを守ることも不可欠と考え」、基本方針を策定したと説明している。
カスハラの定義については、「お客さまからのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性が認められないもの、又はその妥当性に照らして当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであり、当該手段・態様により、社員の就業環境が害されるおそれのあるもの」とし、図表6のとおり例示した。なお、これらは例示であり、これらに限られるものではないとも言及している。
図表6:該当する行為の例示(明光バス)
注:上記の記載は例示であり、これらに限らない。
(公表資料から編集部で作成)
カスハラに該当する行為を受けた場合は、「上長または担当部部署に報告するとともに、社員一人ひとりを守るため、お客さまからの要求には対応いたしかねます」とし、「さらに、悪質と判断される行為を認めた場合は、警察・弁護士等のしかるべき機関に相談のうえ、適切な対処をさせていただく場合もございます」としている。
タクシー業界では日本交通が基本方針を明確化
タクシー業界では、日本交通が基本方針を明確にしている。同社は、厚生労働省が2022年2月に公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づき、カスハラを「お客様からのクレーム・言動のうち、当該クレーム言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、従業員の就業環境が害されるもの」と定義した。
「お客様からのクレームや苦情に対しては真摯に対応し、信頼と期待に応え、より良いサービスの提供につなげていけるよう努めてまいります」とする一方で、「カスタマーハラスメントについてお客様対応に伴う単なるクレームとして扱いません。お客様からのさまざまな『要求』が不当・悪質なクレーム、いわゆるカスタマーハラスメントと判断される場合、実際に対応する従業員を守るべく、精神的・身体的な苦痛を少しでも軽減するため、会社として積極的に対応するものであると考えます」と宣言。「日本交通で働くすべての従業員が安全に、安心して勤務できるよう就業環境の維持改善に取り組みます」と強調している。
基本方針では、判断基準を明示し、従業員から上長または担当部署へ連絡があったとき、上長または担当部署は、事実関係、因果関係、同社・従業員の過失の有無を確認するなどして、①お客様の要求内容に妥当性はある②要求を実現する為の手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲であるか――の2点を総合的に判断するとした。
カスハラの具体例としては、図表7のとおり、要求の内容が妥当性を欠く例、要求「内容」が不当な例などに分けて示した。基本方針は、殴る・蹴るといった暴力行為については「直ちにカスタマーハラスメントに該当すると判断できることはもとより、犯罪に該当しうるものです」と明言している。
図表7:該当する行為の例示(日本交通)
(公表資料から編集部で作成)
スーパーのベルクでは敷地内への立ち入りを断る場合もあると明示
流通・サービス業界では、スーパーマーケットのチェーンを運営しているベルクが、「時にはお客様からの不適切な言動や行為によって、従業員が困惑したり、不快な思いをしたりすることがあります」として、カスハラに対する行動方針を明確にしている。
方針はカスハラの定義については、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づいて、対象となる行為を図表8のとおり整理している。カスハラへの対応については「従業員を守るため、ハラスメント行為と判断した場合は、お客様対応を中止させていただきます」とし、「ハラスメント行為に対しては会社として法的な対応を行います」と明言。「また、当社敷地内への立ち入りをお断りする場合がございます」としている。
図表8:該当する行為の例示(ベルク)
(公表資料から編集部で作成)
百貨店の髙島屋グループは7月8日、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定したと発表した。方針は、「ごく一部のお客様の心無い言動により、職場環境が害される事案が発生しております」とし、「お取引先を含む、髙島屋グループで働くすべての人が、働きがいを感じ、安心して働ける環境を構築するために、本基本方針をお示しします」と説明。
対象となる行為の例について、「お客様による暴力」「お客様による不当・過剰な要求」「お客様による合理的範囲を超える対応の強要・長時間の拘束」「お客様による従業員への誹謗中傷・つきまとい行為」「お客様による威嚇・脅迫行為」「お客様による従業員の人格の否定・差別的な発言」「会社・従業員の信用を棄損させる内容、従業員の個人情報等の SNS 等への投稿」「土下座の要求」などを示した。
社外対応については、①合理的な解決に向けて理性的な話し合いを行い、よりよい関係の構築に努めます②カスタマーハラスメントと当社において判断した際は対応を打ち切り、以降のご来店をお断りする場合があります③さらに悪質と判断した場合は、警察、外部の専門家(弁護士など)に連絡の上適切に対処いたします――としている。
ドラッグストアでは富士薬品グループなどが方針を公開
ドラッグストアチェーンでは、富士薬品グループや千葉薬品グループ、サツドラグループが基本方針を策定し、公表している。
富士薬品グループの基本方針は、「お客さまとの関係を大切にし、お客さまへの誠実な対応を心がけております」とすると同時に、「従業員の人権も尊重しております」と述べたうえで、「万が一お客さまからの社会通念上相当な範囲を超えた要求や言動があった場合には、従業員の人権を尊重するため、お客さまに対しては、誠実な対応をしつつも毅然とした態度で対応いたします」と明記。こうした対応により、「お客さまとの健全な関係を維持すべく、お客さまから社会通念上相当な範囲を超えた要求や言動があった場合の基本的な方針を定めました」と説明している。
同社グループも、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づいてカスハラを定義。①お客様からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容に妥当性が認められるか②その妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものでないか――の2つの観点から該当性を判断するとして、図表9のとおり例示した。
図表9:該当する行為の例示(富士薬品グループ)
(公表資料から編集部で作成)
社外対応では、「合理的な解決に向けて理性的な話し合いを行い、より良い関係の構築に努めます」としつつも、「悪質なカスタマーハラスメントが行われた場合や、対話による合理的な解決が困難な場合、その後のご入店やお取引をお断りさせていただく場合もございます」「民事訴訟や刑事告訴等各種法的措置を執ることがございます」などと記している。
「社員への常識を超えた要求・言動に対しては毅然と対応」と千葉薬品グループ
千葉薬品グループは、「お客様に対して真摯に対応し信頼や期待に応えるサービスを提供して、お客様との信頼関係を築くことを心がけます」とする一方、「当社は社員の人権を尊重します。社員が心身ともに健康で、安心して働ける環境をつくるために、社員への常識の範囲を超えた要求や言動に対しては、組織として毅然とした態度で対応し、社員を守ります」と表明。
カスハラの定義については、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づき、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定め、図表10のとおり例示した。
図表10:該当する行為の例示(千葉薬品グループ)
(公表資料から編集部で作成)
カスハラへの対応では、「お客様からのご意見に対しては、誠意をもって対応します」としたうえで、「カスタマーハラスメントに該当すると当社が判断した場合については、以降の対応を打ち切らせていただきます」とし、「悪質性が極めて高いと当社が判断した場合は、当社敷地への立ち入りをお断りすることがございます」「暴行、脅迫など、違法行為が疑われる事案については、警察、弁護士、関係機関と連携し、法的手段をとらせていただきます」と明言した。
北海道でドラッグストアなどを展開するサツドラグループは「私たちは、お客様と従業員の人権を共に尊重し、お客様の信頼や期待に応えていくため、万が一お客様からの社会通念上相当な範囲を超えた要求や言動があった場合の基本的な方針を定めました」と説明。
基本方針の目的について「サツドラグループではお客様へより良いサービスを提供し、お客様満足度の向上につなげるためには、従業員が心身ともに健康で、気持ちよく働ける環境を提供することが重要だと考えております。そのためには当社の考え方や姿勢等をお客様にご理解いただき、より良い関係性の構築にご協力いただく必要があると考え、お伝えすることを目的としております」としている。
カスハラの定義については、厚労省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づいて定義したとし、①お客様からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性が認められるか②その妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものでないか――の2つの観点から該当するかどうかを判断するとしている。例示は図表11のとおりとなっている。
図表11:該当する行為の例示(サツドラグループ)
注:上記の記載は例示であり、これらに限られるという趣旨ではない。
(公表資料から編集部で作成)
カスハラへの対応では、社外対応について「合理的な解決に向けて理性的な話し合いを行い、より良い関係の構築に努めます」とし、「悪質なカスタマーハラスメントが行われた場合や、対話による合理的な解決が困難な場合、その後のご入店をお断りさせていただく場合もございます」と言及している。
これら以外の業界でも、銀行の鶴岡信用金庫、大分銀行、山陰合同銀行などや、製造業でもアシックスやカシオなどが、基本方針をサイト上で公開している。
従業員の名札でフルネームを記載しないようにする取り組みも
従業員がカスハラの被害に遭わないようにする取り組みも増えてきた。コンビニエンスストアのローソンでは、店舗で働く従業員が着用する名札について、これまでは実名の名字を表示してきたが、店舗の判断で「役職+任意のアルファベットまたはイニシャル」表記を可能とすると6月4日に発表した。
市役所などでは、窓口での対応にあたる職員の名札について、フルネームの表示を廃止して、名字だけの表示に変更する動きも最近は目立つ。
国土交通省は2023年8月1日、道路運送法施行規則などを改正する省令などの公布によって、バス、タクシー内における乗務員などの氏名の掲示を廃止した。タクシーの運転者証でも、利用者に表示する面から、氏名、顔写真、運転免許証の有効期限を削除した。
厚生労働省では、2022年6月27日に局長通知を改正するまで、店舗で薬剤師が氏名を記載した名札を着用することを局長通知で定めていた。しかし、現在は、薬局開設者が適切に判断し、薬剤師などが氏名に代わって、姓のみ、または氏名以外の呼称を記載した名札を付けることを認めても差し支えないこととしている。
(調査部)