【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)
生産活動が一進一退の動き、依然として強い人手不足感

地域シンクタンク・モニター定例調査

岩手県の1~3月期の経済動向は、小売販売が拡大し、鉱工業生産指数などプラスの指標もみられたものの、景況感は売上高・利益ともに悪化している。4~6月期の見通しも、生産活動や公共工事が一進一退となることが見込まれ、モニターであるいわぎんリサーチ&コンサルティングは業況判断について、実績・見通しともに【横ばい】と判断した。雇用については、1~3月期は求人数が減少していることから【やや悪化】と判断。4~6月期の見通しは、企業の人手不足感が依然として強いことから【横ばい】としている。

<経済動向>

新車販売台数が7四半期ぶりにマイナスに転じる

1~3月期の岩手県の経済指標をみると、小売業主要業態の販売額はドラッグストアとスーパーマーケットがけん引して、引き続き拡大の動きとなった。公共工事請負額も、国や市町村などがプラスで推移したことから増加の動きとなった。

鉱工業生産指数は電子部品・デバイスなどが増加したことを主因に、4四半期ぶりにプラスとなった。一方、新車販売台数は7四半期ぶりにマイナスに転じたほか、新設住宅着工戸数は持家が低調な動きが続いていることに加え、貸家もマイナスとなり前年を下回った。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみると、当期の売上高BSIは前期から8.7ポイント低下のマイナス24.2で、2期連続のマイナスとなった。モニターは「販売価格は上昇しているものの、需要の停滞などから売り上げに結びついていない状況がうかがわれる」とコメントしている。

経常利益BSIはマイナス31.9で前期から16.4ポイント低下した。多くの企業が原材料などのコスト上昇や人件費の増加などを経営上の問題点としてあげており、売り上げに加えて収益面も厳しい状況が示されている。

モニターはこれらの動きを総合的にふまえて、1~3月期の業況判断を【横ばい】とした。

生産活動は一進一退の動き

「岩手県内企業景況調査」の先行きの業況判断BSIはマイナス35.1(現状比4.3ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業は現状比15.4ポイント上昇のマイナス28.8と大幅に改善する見込みだが、非製造業は同13.7ポイント低下のマイナス38.2となっている。特に建設業はマイナス53.5で厳しい見通し。

モニターは4~6月期の地域経済について、「小売業主要業態の販売額は引き続き拡大傾向で推移すると予想される」ものの、「新設住宅着工戸数は持家を中心に弱い動きが続くほか、生産活動や公共工事は一進一退の動きになる」と予想し、総合的な判断を【横ばい】とした。

<雇用動向>

有効求人倍率がやや悪化

1~3月期の雇用指標をみると、新規求人倍率は1.82倍(前期比0.05ポイント上昇)となったものの、有効求人倍率は求人数が減少したことで1.19倍(同0.02ポイント低下)となっている。

新規求人数を業種別にみると、宿泊・飲食サービス業は給食業務を担う事業所の求人増により、大幅に前年を上回った。公務は前年に会計年度任用職員の大口求人があった反動から、前年を下回った。医療・福祉は公的医療機関の求人減や福祉・介護などで反動減となったことから、マイナスとなった。

これらの動きをふまえて、モニターは1~3月期の雇用を【やや悪化】とした。

建設業や運輸・サービス業で人手不足感が強まる

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行き判断をみると、マイナス35.8で現状(マイナス32.1)よりも不足感が強まる見通し。産業別では、製造業は現状比7.7ポイント低下のマイナス23.1となっている。非製造業は1.8ポイント低下のマイナス41.8で、卸・小売業は現状と同水準となるものの、建設業と運輸・サービス業で不足感が強まるとみられる。

4~6月期の見通しについてモニターは、「減速傾向が継続しているものの依然として企業の人手不足感は強い」ことから【横ばい】とした。