【北陸】(北陸経済研究所)
震災の復興需要や北陸新幹線の延伸が需要面でプラス材料に
地域シンクタンク・モニター定例調査
北陸地域の1~3月期の経済動向は、震災の復興活動や北陸新幹線の延伸が需要面のプラスとなり、供給面も地震による損壊から正常化に向けた動きが進んでいるとして、モニターである北陸経済研究所は【やや好転】と判断した。4~6月期は、復興特需はあるものの価格転嫁が進んでおらず【横ばい】とした。雇用動向については、人手不足の状況が継続しているとして、1~3月期実績、4~6月期見通しともに【横ばい】としている。
<経済動向>
主要観光地の入込客数や宿泊客数は能登地域以外では回復
北陸地域について、モニターは1~3月期の地域経済を【やや好転】と判断した。
その理由として、需要面では「地震の影響は残るものの、復旧・復興需要や北陸新幹線の敦賀延伸効果等もみられることなどから、持ち直している」ことをあげた。
小売の動向をみると、百貨店では震災直後の店舗休業等で大きく前年を下回っていたものの、消費自粛の反動や観光客需要の回復がみられる。コンビニエンスストアは被災地支援者の来店などにより、米飯類や飲料等に動きがみられ堅調。ホームセンターはDIY用品やブルーシートなどの復旧・防災用品に動きがみられることから、持ち直している。家電大型専門店は、被災したテレビなどの買い替え需要がみられたものの、パソコンなどの動きが鈍いことから弱含みとなっている。
主要観光地の入込客数および主要温泉地の宿泊客数は前年を下回っているものの、足元では北陸新幹線の敦賀延伸や北陸応援割の効果もあり、能登地域以外では回復してきている。
一方で供給面は、「地震による生産設備の損壊等の影響から、全体では弱含んでいる」ものの、「足元では正常化に向けた動きが広がっている」。
化学は大半を占める医薬品が地震による生産設備の損壊などの影響から弱含んでいるものの、足元では正常化に向けた動きが進んでいる。生産用機械は、半導体製造装置が持ち直しているほか、繊維機械が拡大しているものの、金属加工機械が横ばいの状況にあることなどから、全体では拡大の動きに一服感がみられる。
食料品製造、木製品製造、自動車付属品製造は震災等の影響で悪化
北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(4~6月調査)」によれば、企業の景況判断は0.8の「上昇」超で、前期から11.2ポイント改善している。業種別にみると、製造業がマイナス2.8で「下降」超に対して、非製造業は3.3の「上昇」超となっている。
製造業のうち食料品製造業(マイナス25.0)、木材木製品製造業(マイナス60.0)、自動車・同付属品製造業(マイナス33.3)は震災の影響のほか、住宅着工の減少や大手自動車メーカーの認証不正問題の影響があるとみられる。一方、宿泊業・飲食サービス業(57.1)、娯楽業(75.0)などでは、能登地域以外を中心として北陸新幹線敦賀延伸の効果がみられる。
モニターは4~6月期の地域経済を「復興特需・新幹線延伸効果というプラス面がある」ものの、「震災の影響が尾を引いている、価格転嫁が進んでいないなどのマイナス面もある」として【横ばい】と判断した。
<雇用動向>
労働市場は引き続き「タイトな状況」
1~3月期の雇用動向について、モニターは「北陸3県の有効求人倍率は1.54倍で、前期から0.2ポイント低下している。全国平均(1.27倍)と比較すると、北陸の労働市場は引き続きタイトな状況にある」「新規求人数は1月が前年比マイナス8.3%、2月が同マイナス4.9%、3月が同マイナス7.8%となっており、伸び率はマイナス基調が続いている」と報告したうえで、判断は【横ばい】としている。
北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(4~6月調査)」によれば、6月末時点の従業員数判断BSIは33.1の「不足気味」超となった。業種別にみても、製造業が25.2、非製造業が38.8でいずれも「不足気味」超。規模別でも大企業が20.5、中堅企業が41.7、中小企業が37.2でいずれも「不足気味」超となっている。
モニターは4~6月期の雇用状況の見通しについて、「慢性的な人手不足からタイトな状況のまま」として判断を【横ばい】とした。