【福島】(とうほう地域総合研究所)
新設住宅着工や新車登録の前年同期比減が続く。県内企業のベア実施予定は4割近くにのぼる

地域シンクタンク・モニター定例調査

福島県の1~3月期の経済動向は、新設住宅着工や新車登録が前年同期比での減少が続いていることなどから、モニターであるとうほう地域総合研究所は【やや悪化】と判断した。4~6月期は、賃上げによる好影響も予想されるが、投資は弱含みで推移するとみて【横ばい】と見通した。雇用動向については、1~3月期は、雇用統計で判断を変えるような動きはなかったとして【横ばい】とし、4~6月期も人手不足の状況が継続するとして【横ばい】とした。モニターが実施した調査によると、今春闘では4割弱の県内企業がベースアップを実施すると答えた。

<経済動向>

新車登録台数は4カ月連続のマイナス

モニターは1~3月期の地域経済について、個人消費では「大型小売店等販売額が前年を上回っている」ものの、「民間設備投資や新設住宅着工戸数が、前期に引き続き前年同期を下回っていることに加え、新車登録台数も前年同期を下回っている」ことから、【やや悪化】と判断した。

さらに4月の統計をみると、大型小売店等販売額は前年同月比プラス0.7%と小幅な動き。新車登録台数は同マイナス3.5%で4カ月連続のマイナスとなっている。新設住宅着工戸数は前年同月を下回ったが、建設着工(民間非居住用)工事費予定額は前年同月を上回っている。

モニターは「賃上げや定額減税の効果が消費活動に好影響を与えることも予想されるが、総体的には原材料価格高騰の影響などを受けて、投資動向が弱含みで推移する」とみて、4~6月期の見通しについても【横ばい】としている。

<雇用動向>

人手不足の状況は今後も継続の見込み

1~3月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前年同期から2.6%増加したが、「判断を変更するような動きではない」として【横ばい】とした。

4~6月期については、有効求人倍率は4月が1.30倍で前月から0.04ポイント低下している。4月の雇用保険受給者実人員数は前年同月を10.2%上回っている。モニターは「ほとんどの業種で不足感が出ており、不足感のあるなかで前期から横ばいで推移する」として【横ばい】と判断した。

人手不足を背景に賃上げに取り組まざるを得ない状況に

モニターが1月に実施した「福島県内景気動向アンケート調査」によると、ベースアップを実施する予定の企業割合は38.7%と4割近くに上り、定期昇給のみ実施する企業割合と合わせると76.4%となった。

ベースアップ実施予定割合を2023年度上期の収益状況(前期比で「増加」「不変」「減少」)別にみると、「増加」は45.1%、「不変」は38.7%、「減少」は34.2%となっており、モニターは「収益状況にかかわらず、人手不足を背景に雇用確保などの観点から、賃上げに取り組まざるを得ない状況がうかがえる」とコメントしている。