<2024年第1四半期(1~3月期)実績および第2四半期(4~6月期)の見通し>
大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で生産活動が停滞、鉱工業生産指数が悪化。人材確保のための賃上げが全国で進む

地域シンクタンク・モニター定例調査

JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2024年第1四半期(1~3月期)の実績と第2四半期(4~6月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは6月25日、モニターの一覧は表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(表2)を紹介する。

表1:地域シンクタンク・モニターの一覧
画像:図表1

表2:各地域の経済動向および雇用動向
画像:図表2

各地の1~3月期の経済動向は「やや好転」が2地域、「横ばい」が7地域、「やや悪化」が3地域。暖冬で季節需要が伸び悩んだ地域も一部あったが、総じて個人消費は持ち直しの動きとなった。生産活動では、大手自動車メーカーの認証不正問題の影響から、鉱工業生産指数の悪化を多くの地域が報告した。

4~6月期見通しでは、「やや好転」が2地域、「横ばい」が8地域、「やや悪化」が1地域、「悪化」が1地域。生産活動は認証不正問題の影響が続く一方で、半導体関連が好調とする地域もある。

雇用動向については、1~3月期実績で「横ばい」が9地域、「やや悪化」が3地域だった。求人の減少や人手不足感の緩和を報告する地域がみられた。

4~6月期見通しは「やや好転」が2地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が1地域。1~3月期実績から上向くと見通したのは岩手県、山形県、茨城県、九州の4地域で、下向くと見通したのは近畿のみだった。

各モニターが地域企業に実施した調査の結果からは、ベースアップをともなう賃上げが全国に広まっている状況がみえる。賃上げを実施した理由では、人材確保のためとする声が多く、業績の状況によらず「賃上げせざるを得ない」状況もうかがえる。

なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り季節調整値である。