【中国】(中国地域創造研究センター)
懸念されるゼロゼロ融資の返済による中小企業の「息切れ倒産リスク」

地域シンクタンク・モニター定例調査

中国地域では、1~3月期の経済動向は、大手自動車メーカーの認証不正問題のサプライヤーへの影響が大きく、消費も低温や天候不順で客足が停滞し、モニターである中国地域創造研究センターは【横ばい】と判断した。4~6月期は、認証不正問題の影響の長期化や、ゼロゼロ融資の返済による中小企業の「息切れ倒産」のリスクなどから【やや悪化】としている。雇用動向については、回復が続くとみて1~3月期の実績、4~6月期の見通しともに【横ばい】とした。

<経済動向>

生産停止がどの程度まで及ぶかは見通しづらい状況

モニターは、1~3月期の中国地域の経済動向について【横ばい】と判断した。

生産では、自動車の生産車種切り替えに伴う落ち込みと回復、決算シーズンでの消費者購買意欲の高まりなど、想定できる上下動があった。加えて、自動車サプライヤーにとっては大手自動車メーカーの認証不正問題で生産停止に追い込まれた影響が大きく、「1月から4月まで続いた生産停止がどの程度まで及ぶか見通しづらい」状況。

消費面は、ブランド品の値上げ前の駆け込み需要など、物価高騰の影響が出始めているほか、低温や天候不順で客足が停滞したことも響いた。

住宅着工の減少で木材・木製品が落ち込み、電気機械も生産低下の予想

4~6月期の見通しについては、非製造業では能登半島地震の影響で旅行控えが生じており、また、物価高騰で購入点数が減少する傾向にある。

製造業では、自動車産業において大手自動車メーカーの認証不正問題による生産停止の影響が長引く懸念があるほか、他産業でも住宅着工減少による木材・木製品の落ち込み、製造コスト増加による電気機械の生産水準低下などが予想される。

また、新型コロナウイルス感染症で打撃を受けた中小企業向けの実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化しており、コロナ禍で疲弊した中小企業の「息切れ倒産」のリスクを指摘する声もある。そのためモニターは、「中小企業にとっては人手不足や賃上げ、物価高など経営環境が厳しくなっており、地域経済の景況悪化につながる可能性がある」とみている。

こうしたことからモニターは、4~6月期の経済動向を【やや悪化】と判断した。

<雇用動向>

求人は正社員を中心に好調に推移する見込み

1~3月期の雇用実績について、モニターは【横ばい】と判断した。製造業が正社員の採用に力を入れている影響で、サービス業に分類される人材派遣(製造業向け)の求人減が目立ったほか、コロナ対策の緩和で求人が伸びていた飲食・宿泊業などで反動減が生じているが、全体としては緩やかな回復を継続している。

県別に3月の有効求人倍率をみると、広島県が1.54倍(全国4位)、岡山県が1.48倍(同7位)、山口県が1.48倍(同7位)となっているほか、山陰エリアでも島根県が1.51倍(同5位)で改善がみられており、製造業や医療・福祉、卸・小売業などで求人が伸びている。

見通し(4~6月期)も【横ばい】とした。その理由について、「自動車産業を中心に製造業での景況の先行き見通しが悪くなっているものの、求人は正社員を中心に好調さを持続しており、中国地方全域に広がっていることから、次期も堅調に推移するものと考えられる」としている。