【九州】有効求人倍率、新規求人数とも「やや悪化」

地域シンクタンク・モニター定例調査

九州の4~6月期の経済動向は、消費が停滞しているほか、半導体関連が調整局面となったことから【やや悪化】としている。7~9月期の経済動向も、半導体関連に加えて自動車関連でも生産が停滞しており【やや悪化】。雇用動向は、4~6月期は有効求人倍率や新規求人数が悪化したことから【やや悪化】とした。7~9期は人手不足感の状態が続く見通しで【横ばい】としている。

<経済動向>

生産は自動車が回復するも半導体関連は調整局面に

九州地域のモニターは4~6月期の地域経済について、「自動車関連は回復しているものの、半導体関連で指数の低下がみられる」ことや、「地域別支出総合指数が消費をはじめとして全般的に低下している」ことから、判断を【やや悪化】とした。

具体的には、地域別支出総合指数は消費が前年比マイナス1.4%、設備投資が同マイナス22.4%、住宅投資が同マイナス0.8%と、いずれもマイナスとなっている。

モニターが作成している九州地域景気総合指数をみると、4月が前月比マイナス0.7%、5月が同マイナス0.6%、6月が同プラス0.1%と推移している。

鉱工業生産指数は前期比プラス2.9%と3期ぶりに上昇した。自動車関連が上昇を続けている一方、半導体関連は調整局面となっている。

鉱工業生産指数の3カ月平均が半年ぶりに低下

7~9月期の見通しについても、「宿泊業で引き続き回復の動きがみられたほか、景気ウォッチャー調査でも50を上回る水準で推移している」ものの「半導体・自動車ともに生産についてマイナスが続いている」ことをふまえ、全体としては【やや悪化】と判断した。

鉱工業生産指数は7月が前月比マイナス6.7%の100.4と、3カ月ぶりに低下した。3カ月移動平均も6カ月ぶりに低下している。半導体関連は152.4と高水準であるものの、同マイナス15.9%と大幅に低下している。自動車関連も同マイナス4.0%と2カ月連続で低下しており、全般的な停滞がみられる。

消費現場のマインドを示す景気ウォッチャー調査の現状判断(水準)DIをみると、7月が54.9、8月が51.5となっているほか、8月の先行き判断DIは53.5となっている。いずれも節目の50を上回り、消費は「堅調に推移している」。

モニター作成の宿泊稼働指数をみると、前期と比べて高い水準での推移が続いており、7月は前月比プラス7.2ポイント、8月は同プラス2.9ポイントの上昇となった。

<雇用動向>

人手不足感は継続の見通し

雇用の実績(4~6月期)について、モニターは【やや悪化】と判断。その理由について、有効求人倍率や新規求人数がやや悪化したことをあげた。有効求人倍率は1.27倍で、前期から0.03ポイント低下した。新規求人数は前年同期比マイナス1.8%と、2期連続で減少した。

7~9月期の見通しについては、「人員の不足感は前期からほぼ同水準で推移するとみられる」ことから【横ばい】を選択している。

日銀短観(6月調査)の9月時点の先行き雇用人員判断DI(「過剰」―「不足」)はマイナス41で、前期比マイナス2ポイントと小幅な動きとなっている。業種別にみても、製造業がマイナス27(前期比1ポイント低下)、非製造業がマイナス48(同1ポイント低下)となっており、いずれも前期からの動きが小さい。