新型コロナの5類移行で人流が活発化して個人消費とインバウンド需要が回復。来期は観光で好調が続くなか異常気象の経済活動への影響を懸念する地域も

地域シンクタンク・モニター定例調査

JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2023年第2四半期(4~6月期)の実績と2023年第3四半期(7~9月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは9月27日、モニターの一覧は表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(表2)を紹介する。

表1:地域シンクタンク・モニターの一覧
画像:表1

各地の4~6月期の経済動向は「好転」が1地域、「やや好転」が6地域、「横ばい」が4地域、「やや悪化」が1地域。新型コロナの5類移行で人流が活発化したこともあり、多くの地域から個人消費の増加やインバウンド需要の回復が報告された。ただし、製造業では半導体関連が低迷した地域もある。

7~9月期見通しでは、「好転」が1地域、「やや好転」が4地域、「横ばい」が6地域、「やや悪化」が1地域。猛暑が個人消費にプラスとなった地域もあり、インバウンド需要は全体的に好調が続いている。その一方で、北海道は海水温の上昇や福島第一原子力発電所の処理水放出で水産業への影響が懸念されている。中国は豪雨災害でインフラや農作物への被害が相次いだ。

雇用動向については、4~6月期実績で「やや好転」が1地域、「横ばい」が8地域、「やや悪化」が3地域だった。ほとんどのモニターが、人手不足の状態が続いていることを報告した。ただし、一部のモニターからは、人手不足のなかでも、原材料の高騰や賃金の上昇で求人を手控えているといった状況が指摘されている。

7~9月期見通しは「やや好転」が2地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が1地域。7~9月期に前期実績より上向く見通しを示したのは岩手県、東海、九州の3地域で、下向く見通しを示した地域はなかった。なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り季節調整値である。

表2:各地域の経済動向および雇用動向
画像:表2

(調査部)