【東海】設備投資、個人消費ともに好調が続き、経済は好転へ

地域シンクタンク・モニター定例調査

1~3月期の東海地域の経済は、設備投資が大幅に増加したことや、個人消費が持ち直していることから【やや好転】となった。4~6月期の見通しは、景況感が大きく改善しているほか、生産も持ち直しているとみて【好転】と判断した。雇用動向は、1~3月期実績、4~6月期見通しをいずれも【横ばい】と判断している。

<経済動向>

設備投資が製造、非製造とも大幅増

東海財務局の「法人企業統計調査」によれば、東海4県(静岡県含む)の設備投資額は前年同期比プラス25.0%と大幅に増加した。業種別にみると、製造業は6四半期連続で前年同期を上回った。非製造業は3四半期ぶりに前年同期を上回った。

個人消費は一部で弱さがみられるものの、総じて持ち直している。中部経済産業局管内5県(愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県)の当期の販売額をみると、百貨店、ドラッグストア、コンビニエンスストアは前年同期を上回ったが、スーパー、ホームセンター、家電大型専門店は前年同期を下回った。

東海3県の当期の乗用車販売台数は前年同期比プラス16.5%で、2四半期連続で前年同期を上回った。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額(円ベース)は1月が前年同期比プラス1.3%、2月が同プラス6.3%、3月が同プラス4.9%とプラスで推移している。

こうしたことから東海地域のモニターは、1~3月期の地域経済について【やや好転】と判断した。

個人消費の景況感が2019年3月期以来のプラス圏に回復

4~6月期を分野別にみると、中部経済産業局管内5県の大型小売店販売額(4月)の前年同月比は、家電大型専門店は減少となったものの、百貨店、スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアは増加している。

モニターが作成するOKB景況指数(6月期)をみると、景気水準はマイナス2.2で前期から20.6ポイント上昇と大きく改善。特に個人消費は前期から23.6ポイント上昇して4.2ポイントと、2019年3月期以来のプラス圏に回復している。

設備投資は、東海財務局の法人企業景気予測調査によれば、いずれの規模・業種でも増加見込みとなっている。

生産も持ち直している。4月の鉱工業生産指数をみると、前月比プラス3.5%となっている。主要業種では電気機械工業が低下したものの、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業は上昇している。

こうしたことからモニターは、4~6月期の見通しを【好転】と判断した。

<雇用動向>

景気の持ち直しや賃上げへの期待感から求職者が増加

雇用の実績(1~3月期)について、有効求人倍率をみると当期は1.34倍で、前期(1.35倍)からわずかに低下している。低下は9期ぶり。モニターはこの動きを、「景気の持ち直しや賃上げへの期待感から、求職者数が増えたため」とみたうえで、【横ばい】と判断した。

4~6月期見通しの判断は、モニター作成の景況指数では雇用の不足超幅が拡大しているものの、4月の有効求人倍率は1.32倍と4カ月連続で低下していることから【横ばい】とした。

(調査部)