【宮城】仙台市中心部の再開発や人流回復で見込まれる消費需要の増加

地域シンクタンク・モニター定例調査

宮城県の経済動向について、1~3月期実績は外食やレジャーを中心に個人消費が持ち直していることから【やや好転】となった。4~6月期の見通しも、仙台市中心部の再開発による消費需要の増加が見込まれるほか、イベントの開催や国際線の定期便再開による人の動きの活発化をうけて【やや好転】が続く見込み。雇用については、1~3月期実績は労働需要の持ち直しなどを理由に【やや好転】との判断となり、4~6月期見通しも、持ち直しの動きが続くとみて【やや好転】としている。

<経済動向>

個人消費は外食やレジャーを中心に持ち直しの動き

モニターは1~3月期の地域経済について、「一部に弱さがみられるものの緩やかな持ち直しの動きとなっている」として【やや好転】と判断した。

判断理由を詳しくみていくと、生産は、輸送機械では供給制約が緩和して持ち直したが、スマホやパソコン需要の低迷などにより、半導体製造装置や電子部品・デバイスなどが低調だったことから、半導体関連のウエイトが高い宮城県内では、全体として弱含みの動きとなった。

しかし個人消費は、政府の物価高対策のほか、コロナの5類移行や春先の好天などが消費心理を下支えし、外食やレジャーなどを中心にサービス消費が持ち直したことから、総じて持ち直しの動きとなった。

国内外問わず交流人口の拡大が

4~6月期の見通しについてモニターは、「引き続き緩やかな持ち直しの動きが続く」とみて、判断は【やや好転】を選択している。

4月には仙台市中心部の病院跡地に、東北最大の私立大学の新キャンパスが開校し、収容学生数が8,000人増加した。6月には仙台駅東口に大型複合施設が開業するなど「仙台市中心部回帰」が鮮明化しており、消費需要の増加が見込まれる。

また、7年ぶりとなるG7で科学技術担当大臣会合が開催されたほか、仙台では34年ぶりとなる「都市緑化フェア」が4月下旬から6月中旬まで開催され100万人の来場が見込まれている。そのほか、1月の台湾との国際定期便の運航再開に続き、4月にはソウル便も再開するなど、国内外を問わず交流人口の拡大が見込まれる。

<雇用動向>

宿泊・飲食や卸売・小売を中心に新規求人数が増加

1~3月期の雇用動向実績をみると、有効求人倍率は1.43倍で前期比0.02ポイント上昇した。新規求人数は前年同期比3.2%増加している。

新規求人数の動きを産業別にみると、宿泊・飲食サービス業(前年同期比18.0%増)、卸売業・小売業(同11.4%増)、生活関連サービス業・娯楽業(同7.4%増)などを中心に労働需要に持ち直しの動きがみられる一方で、建設業(同7.5%減)、製造業(同3.7%減)などの需要が軟調な業種では、労働需要も減少している。

モニター実施の県内企業動向調査(3月実施)の結果をみると、1~3月期の雇用DI(「過剰」-「不足」)は全産業ではマイナス40と大幅な「不足超過」だが、業種別では製造業(マイナス24)と非製造業(マイナス47)での格差が大きい。

こうしたことを総合的にふまえてモニターは、1~3月期実績の雇用を【やや好転】と判断した。

また、モニターが実施した同調査によると、県内企業の4~6月期の雇用DI見通しはマイナス37で、前期比3ポイント上昇と小幅な動き。モニターは4~6月期の見通しについて、「労働需要は旺盛であり、新規求人数も増加傾向にあるなど、雇用情勢は総じて持ち直しの動きが続くとみられる」として【やや好転】と予測した。

(調査部)