【九州】新規求人数が11期ぶりに減少、人手不足も続く見通し

地域シンクタンク・モニター定例調査

九州の1~3月期の経済動向の実績は、消費は輸出や回復が続いたが、生産は半導体関連が引き続き調整局面となっていることから、【横ばい】の判断となった。4~6月期の経済動向見通しは、自動車生産が好調で宿泊業も引き続き回復がみられるとして【やや好転】の判断。雇用動向については、1~3月期実績は新規求人数が11期ぶりに減少したことを受けて【やや悪化】とし、4~6期見通しは、人手不足感の状態が続くことを見通し、【横ばい】としている。

<経済動向>

消費や輸出が回復するも鉱工業生産指数は2期連続で低下

九州地域のモニターは1~3月期の地域経済の実績について、「消費や輸出の面では回復傾向の継続がみられた」ものの、「生産については半導体関連が引き続き調整局面」となっていることから判断を【横ばい】とした。

具体的な指標をみると、九州7県の地域別支出総合指数(原数値)は、消費が前年比プラス2.7%(全国はプラス3.3%)、設備投資が同プラス9.7%(同プラス4.2%)となっており、設備投資は全国を大きく上回っている。

モニターが作成している九州地域景気総合指数によると、1月が前月比マイナス0.4%、2月が同プラス4.6%、3月が同マイナス0.3%と推移している。

九州経済圏(九州・沖縄・山口)からの輸出額は2兆5,032億円(前年同期比プラス3.2%)で9期連続で増加。前期に引き続き、九州の主力産業である自動車(同プラス3.3%)や半導体等電子部品(同プラス3.2%)で好調が続いた。ただ、鉱工業生産指数(季節調整値)は前期比マイナス0.5%で2期連続の低下となっている。

自動車関連は半導体の供給制約緩和で挽回生産

4~6月期の見通しについては、「自動車の生産が好調であることや、宿泊業で引き続き回復の動きがみられたこと、景気ウォッチャー調査でも50を上回る水準で推移していること」などをふまえ、「足元では持ち直しの動きがみられる」として、【やや好転】と判断した。

消費現場のマインドを示す景気ウォッチャー調査の現状判断(水準)DIをみると、4月が57.3、5月が55.8となっているほか、5月の先行き判断DIは56.5となっている。いずれも節目の50を上回り、「堅調に推移している」とみる。

モニター作成の宿泊稼働指数(月平均)をみると、前期と比べて高い水準での推移が続いており、4月は前月比プラス15.7ポイント、5月は同プラス15.3ポイントの上昇となった。

鉱工業生産指数は4月が前月比マイナス1.7%の103.5と、3カ月ぶりに低下した。ただし3カ月移動平均は3カ月連続で上昇している。特に半導体関連が高水準で推移している。自動車関連は同プラス6.6%と3カ月連続で上昇しており、モニターは「半導体の供給制約の緩和による挽回生産などが影響した」とみている。

<雇用動向>

新規求人数は前年同期比マイナス1.4%

雇用の実績(1~3月期)について、モニターは【やや悪化】と判断。その理由について、新規求人数が前年同期比マイナス1.4%と11期ぶりに減少したことをあげた。

4~6月期の見通しについては、「人員の不足感は前期からほぼ同水準で推移するとみられる」ことから【横ばい】を選択。その理由として、日銀短観(3月調査)の6月時点の先行き雇用人員判断DI(「過剰」―「不足」)は、製造業がマイナス26(前期比変化なし)、非製造業がマイナス49(前期比1ポイント上昇)となっており、前期からの動きが小さいことをあげている。

(調査部)