【岩手】小売販売額・生産指数が改善。雇用では会計年度任用職員の求人の動きも

地域シンクタンク・モニター定例調査

岩手県の1~3月期の経済動向は、小売の販売額がプラスで推移しているほか、鉱工業生産指数も改善していることなどから【やや好転】となった。4~6月期の見通しは、個人消費は回復が見込まれるものの、生産活動は一進一退の動きになるとみて【横ばい】としている。雇用については、1~3月期は建設業で公共工事の減少や住宅着工の低迷がみられる一方、公務職場は次年度に向けた会計年度任用職員の求人があるなどの動きを紹介して【横ばい】と判断。4~6月期の見通しも、光熱費や原材料費の高騰などの影響はあるものの、企業の人手不足の状態は続くとみて【横ばい】としている。

<経済動向>

企業の景況は売上高、経常利益とも改善

1~3月期の岩手県の経済指標をみると、生産活動は鉱工業生産指数が135.5で前期比プラス1.5%と上昇したほか、新設住宅着工戸数と公共工事請負額も前年を上回った。また、小売業主要業態の販売額はドラッグストアやスーパーを中心にプラスで推移したほか、新車登録台数も前年を上回っている。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみても、当期の売上高BSIはプラス10.2(前期比9.1ポイント上昇)、経常利益BSIはマイナス17.7(同9.0ポイント上昇)で、いずれも前期から改善している。

こうしたことから、モニターは1~3月期の業況を【やや好転】と判断した。

生産活動は一進一退の見込み

一方、モニターが実施した同調査での、先行きの業況判断BSIはマイナス32.2(現状比9.6ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業は現状比6.5ポイント上昇のマイナス22.6と改善する一方で、非製造業は同18.2ポイント低下のマイナス37.3と大幅に悪化の見込み。特に建設業は同33.4ポイント低下のマイナス51.9で、厳しい予想となっている。

モニターは4~6月期の地域経済について、「個人消費は回復の動きが続く」ものの、「新設住宅着工戸数や公共工事が弱含みで推移するとみられるほか、生産活動は一進一退の動きになる」と予想し、総合的な判断は【横ばい】とした。

<雇用動向>

会計年度任用職員の求人は公務や医療・福祉の職場

1~3月期の雇用指標をみると、有効求人倍率は1.29倍(前期比0.08ポイント低下)で前期を下回った。新規求人倍率も1.84倍(同0.16ポイント低下)で前期を下回っている。

新規求人数(原数値)を業種別にみると、建設業は、公共工事の減少や建築資材の価格高騰の影響による住宅着工の低迷などから弱い動きとなったものの、公務と医療・福祉は来年度に向けた事務補助員などの会計年度任用職員のまとまった求人があったことなどから、前期を上回った。

これらの動きをふまえて、モニターは1~3月期の雇用を【横ばい】とした。

人手不足感は強いが、光熱費や原材料費の高騰が求人の下押し圧力に

4~6月期の見通しについても、企業の人手不足感は強いものの、光熱費や原材料費の高騰が求人の下押し圧力となっている状況が一部でみられることなどから【横ばい】とした。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行き判断をみると、マイナス39.5で現状(マイナス38.4)から1.1ポイント低下と小幅な動きとなっている。業種別では、製造業が現状比2.9ポイント低下のマイナス29.1、非製造業が同0.2ポイント低下のマイナス45.2となっている。

(調査部)