観光関連・小売の個人消費回復などで「悪化」判断の地域はなし。来期は半導体の供給制約緩和で自動車生産が挽回の見通し

地域シンクタンク・モニター定例調査

JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2023年第1四半期(1~3月期)の実績と2023年第2四半期(4~6月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは6月23日、モニターの一覧は表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(表2)を紹介する。

表1:地域シンクタンク・モニターの一覧
画像:表1

各地の1~3月期の経済動向は「好転」が1地域、「やや好転」が6地域、「横ばい」が3地域という結果となった。「やや好転」とする地域を中心に、観光関連や小売などでの個人消費の回復が報告された。

4~6月期見通しは、「好転」が1地域、「やや好転」が5地域、「横ばい」が4地域となった。引き続き消費回復の動きがみられるほか、中国と九州のモニターは半導体の供給制約緩和による自動車生産の挽回を指摘している。

雇用動向については、1~3月期実績は「やや好転」が2地域、「横ばい」が7地域、「やや悪化」が1地域だった。宿泊・飲食や卸売・小売などで求人が増加しており、サービス業では人手不足の深刻な状態が続いている。

4~6月期見通しは「好転」が1地域、「やや好転」が3地域、「横ばい」が6地域となった。前期実績から上向く見通しを示したのは茨城県、近畿、九州の3地域で、下向きの見通しを示した地域はなかった。茨城県のモニターは、賃上げをする県内企業の割合は例年にない水準であり、業績好調で価格転嫁が進む企業だけでなく、物価高や人手不足を背景に、業績が堅調でない企業でも賃上げに前向きな姿勢がみられたとしている。なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り、季節調整値である。

表2:各地域の経済動向および雇用動向
画像:表2

(調査部)