【中国】宿泊・飲食、運輸の求人が増加傾向で雇用は実績・見通しともに「やや好転」の判断

地域シンクタンク・モニター定例調査

中国地域では、経済動向は、1~3月期の実績は新型コロナが落ち着いたことで行楽需要が高まったほか、卒業式や入学式による婦人服・紳士服の販売も伸びていることから【やや好転】との判断。4~6月期見通しも、好調な消費活動が見込まれるとして【やや好転】としている。雇用動向については、飲食・宿泊のほかトラック運転手でも求人が増えるなど、企業の採用マインドが高いことなどから実績、見通しとも【やや好転】とした。

<経済動向>

新型コロナが沈静化して行楽需要が高まる

モニターは、1~3月期の中国地域の経済動向の実績について【やや好転】と判断した。

生産面では、業種による一時的な変動がみられ、一進一退となっている。モニターは、半導体調達に左右される自動車、中国経済の減速が影を落とす半導体製造装置、新型コロナの5類移行による経済活動の活発化を見据えた石油化学の伸びなどの状況をあげたうえで、「自動車生産が堅調に推移していることは明るい兆し」とみている。

一方で消費面は、新型コロナが落ち着いたことで花見などの行楽需要が高まり、全国旅行支援を活用した国内旅行も好調となったほか、卒業式や入学式による婦人服・紳士服の販売が伸びていると報告した。

消費活動は好調が当面続くことを予測

4~6月期の見通しについては、生産活動は「海外経済が減速し、特にアジアの不況が化学や鉄鋼などに影を落とし始めている」ものの、「自動車は半導体の供給制約が緩和されるなど底堅さもみられた」という。

消費活動については、「新型コロナの5類移行が消費マインドを刺激し、化粧品や衣料品の販売を押し上げ、主要観光地への入り込みが全国旅行支援を追い風に増加してホテルの客室稼働率も高止まり、飲食店でも宴会需要が戻るなど、好調が当面持続するものと予測できる」とコメントして【やや好転】と判断した。

<雇用動向>

高齢化の進むトラック運転手で求人増の動き

1~3月期の雇用実績についてモニターは、【やや好転】と判断した。

物価高の影響で新規求人を控える動きもあったものの、人手不足感から企業の採用マインドは高く、また、新型コロナの落ち着きや物価の高騰を受けて求職者も増えたことから、労働市場が活発になっている。新規出店のあった小売や、行楽需要や全国旅行支援で好調な宿泊・飲食などで求人が増えたほか、トラック運転手の高齢化を踏まえて求人を増やす傾向などがみられた。

見通し(4~6月期)についても【やや好転】としている。その理由として「全体的にコロナ禍の落ち着きで求職者と求人数がともに増加傾向にあり、新卒者も完全に売り手市場であることに変わりない」ことをあげたほか、「大手企業の多くが春闘で労働組合の要求に満額回答するなど前向きな姿勢にある」ことから、「雇用情勢は安定が続いている」としている。

(調査部)