労働者の過不足の状況
 ―労働経済動向調査結果から―

ちょっと気になるデータ

厚生労働省から2023年6月23日に労働経済動向調査令和5年5月の結果が公表された。この中から労働者の過不足の状況についての結果を紹介する。

同調査では、労働者の過不足の状況について「労働者過不足判断D.I.」という指標を作成している。「D.I.」とはDiffusion Indexの略で、変化の方向性を表す指標である。具体的には、調査時点(5月調査の場合調査年の5月1日現在)の状況で、労働者数について「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値である。つまり、労働者過不足判断D.I.がプラスであれば、人手不足と感じている事業所が多いことを示す。また、値が大きいほど事業所の人手不足感が高いことになる。

まず、調査産業計についてみると、正社員等(注1)労働者の労働者過不足判断D.I.は+44ポイント、パートタイム労働者(注2)は+28ポイントといずれも不足超過となっている。時系列でみると、正社員等労働者は2011年8月調査以降48期連続で、パートタイム労働者は2009年11月調査以降55期連続で、それぞれ不足超過となっており、人手不足が続いている(図1)。

図1:労働者過不足判断D.I.の推移(調査産業計)
画像:図1

次に、2023年5月について、産業別の結果をみると、正社員等労働者、パートタイム労働者ともにすべての産業で不足超過となっている。正社員等労働者では「運輸業,郵便業」で+58ポイントと最も高く、次いで「建設業」で+55ポイント、「医療,福祉」で+54ポイントなどとなっている。パートタイム労働者では「宿泊業,飲食サービス業」で+56ポイントと最も高く、「生活関連サービス業,娯楽業」(+46ポイント)、「サービス業(他に分類されないもの)」(+43ポイント)などがこれに次いでいる(図2)。

図2:産業別にみた労働者過不足判断D.I.(2023年5月)
画像:図2
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[注1] 雇用期間を定めないで雇用されている者又は1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者。パートタイムは除く。派遣労働者(労働者派遣法に基づいて他社(派遣元事業所)から当該事業所に派遣されている者)は含まない。

[注2] 1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の正社員のそれより短い者。

(調査部 統計解析担当)