【九州】好調が続いた生産活動が調整局面に転じる

地域シンクタンク・モニター調査

九州の10~12月期の経済動向は、生産はこれまでの好調な推移から調整局面に転じていることから【やや悪化】としている。1~3月期の経済動向は、宿泊業が回復する一方で生産活動は停滞していることから【横ばい】。雇用動向は、10~12月期の各種統計の動きから緩やかに回復しているとして【やや好転】とし、1~3月期は人手不足感の状態が続く見通しで【横ばい】としている。

<経済動向>

鉱工業生産指数が2期ぶりに低下

九州地域のモニターは10~12月期の地域経済について、「消費や設備投資、輸出の面では回復傾向の継続がみられた」ものの、「生産はこれまでの好調な推移から調整局面に転じている」ことから判断を【やや悪化】とした。

具体的には、九州7県の地域別支出総合指数(原数値)は消費が前年比プラス1.3%(全国はプラス1.5%)、設備投資が同プラス18.3%(同プラス2.9%)となっており、設備投資は全国を大きく上回っている。

モニターが作成している九州地域景気総合指数をみると、10月が前月比マイナス1.1%、11月が同マイナス6.0%、12月が同プラス2.4%と推移している。

九州経済圏(九州・沖縄・山口)からの輸出額は2兆8,843億円(前年同期比プラス29.4%)で、8期連続で増加した。前期に引き続き、九州の主力産業である自動車(同プラス75.0%)や半導体等電子部品(同プラス52.2%)で好調が続いている。

しかし鉱工業生産指数(季節調整値)をみると、前期比マイナス3.9%と、2期ぶりに低下した。半導体関連・自動車関連ともに前期の上昇から調整局面に入っている。

自動車関連の生産活動が部品不足と中国での販売減で停滞

1~3月期の見通しについては、「宿泊業で引き続き回復の動きがみられた」ものの、「生産については調整局面が続いており、景気ウォッチャー調査でも一時的に悪化の兆しがみられた」として【横ばい】と判断した。

消費現場のマインドを示す景気ウォッチャー調査の現状判断(水準)DIをみると、1月が49.7、2月が55.6となっているほか、2月の先行き判断DIは55.9となっている。節目となる50を1月は下回ったものの、2月は上回っており、持ち直しの動きがみられる。

モニター作成の宿泊稼働指数(月平均)の推移をみると、前期と比べて高い水準での推移が続いており、1月は前月比プラス22.7ポイント、2月は同プラス40.3ポイントと大幅な上昇となった。

鉱工業生産指数は1月が前月比マイナス3.7%の97.4と、2カ月ぶりに低下した。自動車関連が同マイナス4.0%と4カ月連続で低下しており、モニターは「長引く部品不足に加え、中国での新型コロナ感染拡大による販売減などが影響した」とみている。

<雇用動向>

人手不足感はほぼ同水準で推移

雇用の実績(10~12月期)について、モニターは【やや好転】と判断。その理由について、「有効求人倍率は1.28倍で、前期比0.02ポイント上昇となった」ことや「新規求人数は前年同期比プラス1.5%と10期連続で増加した」ことなど、各指標が緩やかに回復傾向を示していることをあげた。

1~3月期の見通しについては、「人員の不足感は前期からほぼ同水準で推移するとみられる」ことから【横ばい】を選択している。その理由として、日銀短観(12月調査)の3月時点の先行き雇用人員判断DI(「過剰」―「不足」)は、製造業がマイナス27(前期比変化なし)、非製造業がマイナス43(前期1ポイント上昇)となっており、前期からの動きがないことをあげている。

(調査部)