【岩手】公務や医療・福祉で求人が大幅増

地域シンクタンク・モニター調査

岩手県の10~12月期の経済動向は、小売の販売額がプラスで推移しているほか、景況調査の結果もプラス水準を維持していることから【やや好転】となった。1~3月期の見通しは、個人消費は回復が見込まれるものの、生産活動は一進一退の動きになるとみて【横ばい】としている。雇用については、10~12月期は特に公務と医療・福祉で求人が増加していることから【やや好転】と判断。1~3月期の見通しは、人手不足感がやや弱まるとみて【横ばい】としている。

<経済動向>

小売はドラッグストアを中心にプラスで推移

10~12月期の岩手県の経済指標をみると、生産活動は鉱工業生産指数が133.7で前期比マイナス6.6%と低下したものの、新設住宅着工戸数と公共工事請負額は前年を上回った。また、小売業主要業態の販売額はドラッグストアを中心にプラスで推移したほか、新車登録・販売台数も前年を上回っている。モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみても、当期の売上高BSIはプラス1.1(前期比変化なし)でプラス水準を維持している。

こうしたことから、モニターは業況を【やや好転】と判断した。

生産活動は一進一退の動き

モニターが実施した同調査での、先行きの業況判断BSIはマイナス40.4(現状比6.9ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業は現状比16.1ポイント低下のマイナス35.7で悪化の予想となった。非製造業も同2.5ポイント低下のマイナス42.5で悪化の見込み。卸・小売業と運輸・サービス業では判断が上向いているものの、建設業は大きく悪化する見込みとなっている。

モニターは1~3月期の地域経済について、「個人消費は回復の動きが見込まれる」ものの、「新設住宅着工戸数は主力の持家がマイナス基調で推移していることから弱含みになる」とみている。また、「工事請負額や生産活動は一進一退の動きになる」と予想し、総合的な判断は【横ばい】とした。

<雇用動向>

新規求人倍率が上昇して2.00倍に

10~12月期の雇用指標をみると、有効求人倍率は1.37倍(前期比0.05ポイント上昇)で前期を上回った。新規求人倍率も2.00倍(同0.02ポイント上昇)で前期を上回っている。

新規求人数(原数値)を業種別にみると、建設業が沿岸部での公共工事の減少や建築資材の高騰による受注減少などから低調となった一方で、公務と医療・福祉は2023年度に向けた事務補助員など、会計年度任用職員のまとまった求人が出されたことで、大幅に増加した。

このように雇用統計で改善がみられるほか、業況が回復している業種もあることから、モニターは10~12月期の雇用を【やや好転】とした。

人手不足感はやや弱まる見通し

1~3月期の見通しについては、有効求人倍率および新規求人倍率のプラス幅が縮小傾向にあることから【横ばい】とした。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行き判断をみても、マイナス39.2で現状(マイナス40.4)から1.2ポイント上昇と小幅な動きとなっている。業種別では、製造業が現状比2.5ポイント上昇のマイナス30.3、非製造業が同0.7ポイント上昇のマイナス43.3で、いずれも不足感がやや弱まるとみられる。

(調査部)