【北陸】業種・規模問わず人手不足の状況が続く

地域シンクタンク・モニター調査

北陸地域の経済は、10~12月期は、需要は全体的に緩やかに持ち直しているものの、供給は品目でバラツキがみられることから【横ばい】としている。1~3月期は景況判断の結果をもとに【やや悪化】。需要・供給ともに持ち直しているが、景気予測調査では中小企業に厳しさがみられる。雇用動向については、10~12月期実績は労働市場のタイトな状況を踏まえ【横ばい】とし、1~3月期見通しもそのタイトな状況が続くとして【横ばい】としている。北陸財務局の調査によれば、3月末時点で従業員が「不足気味」と予測する企業の数は、「過剰気味」と予測する企業の数を、業種・規模を問わず上回っている。

<経済動向>

需要は全体的に緩やかに持ち直すも、供給は品目によってバラツキ

北陸地域について、モニターは10~12月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

その理由として、需要面では「ホームセンターや家電販売などの動きが鈍い」ものの、「百貨店・スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアが堅調な売り上げを維持している」ことに加え、「旅行取扱高も国内旅行を中心に動きがみられる」ことを指摘している。

供給面では「繊維工業で衣料、非衣料ともに緩やかに持ち直している」としたほか、「化学も大半を占める医薬品で持ち直している」状況。ただし、「主力の電子部品・デバイスは、スマートフォン向けを中心に弱い動き」となっているほか、「金属製品は、大半を占めるアルミ建材で住宅用が足踏み」となっており、生産品目によるバラツキがみられる。

多くの業種で原材料やエネルギー価格上昇の影響が

北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、企業の景況判断BSI(前期比「上昇」-「下降」社数構成比、原数値)は前期から17ポイント悪化してマイナス14.2で、2期ぶりに「下降」超となった。業種別にみても、製造業がマイナス21.7、非製造業がマイナス9.5でいずれも「下降」超となっている。規模別でみても、大企業がマイナス4.3、中堅企業がマイナス15.9、中小企業がマイナス18.7でいずれも「下降」超となっている。

モニターは「多くの業種で原材料価格やエネルギー価格の上昇の影響が強まっていることを考慮すると、中小企業の多い北陸地域では経営環境の悪化は避けられない」として、1~3月期の見通しを【やや悪化】と判断している。

<雇用動向>

慢性的な人手不足で「タイトな状況」が続く見通し

10~12月期の雇用動向について、モニターは「北陸3県の有効求人倍率は1.70倍で、前期(1.68倍)を上回っている。全国平均(1.35倍)と比較しても、北陸の労働市場は引き続きタイトな状況にある」「新規求人数も10月が前年比プラス6.1%、11月が同プラス8.2%、12月が同プラス2.1%とプラス水準で推移している」などと好調な雇用指標を報告したうえで、判断は前期同様にやや好転のまま【横ばい】としている。

北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、3月末時点の従業員数判断BSI(「不足気味」-「過剰気味」社数構成比、原数値)は30.2で「不足気味」超となった。業種別にみても、製造業が18.6、非製造業が38.1でいずれも「不足気味」超となっている。規模別でも、大企業が23.1、中堅企業が43.1、中小企業が28.4でいずれも「不足気味」超となっている。

そのためモニターは、1~3月期の雇用状況の見通しを「慢性的な人手不足からタイトな状況のまま」として、判断を【横ばい】とした。

(調査部)