【北海道】全国旅行支援で国内観光客が大幅増

地域シンクタンク・モニター調査

北海道では、10~12月期の地域経済は、全国旅行支援で国内観光客が大幅に増加したほか、設備投資も堅調なことから【やや好転】となった。1~3月期の見通しは、景況判断の結果をもとに【横ばい】としている。10~12月期の雇用動向は、日銀短観の雇用人員判断の動きから人手不足感に引き締まりがみられるとして【やや好転】と判断。1~3月期の雇用見通しは、日銀短観や雇用統計の動きが小幅なことから【横ばい】としている。

<経済動向>

個人消費が持ち直し設備投資も堅調

モニターが実施した「道内企業の経営動向調査(10~12月期)」の結果をみると、売上DIが12で前期から1ポイント低下、利益DIはマイナス3で前期から1ポイント上昇となった。業種別の状況をみると、ホテル・旅館業は持ち直しが顕著な一方で、ウッドショック(コロナ禍の影響で木材価格が高騰している状態)により業況が改善していた木材・木製品製造業では一服感がみられた。

分野別の動向をみると、個人消費は緩やかに持ち直した。10~12月の販売額は百貨店(前年同期比プラス7.6%)、コンビニ(同プラス7.3%)、ドラッグストア(同プラス6.3%)、スーパー(同プラス3.1%)、ホームセンター(同プラス2.8%)がプラスとなっており、家電大型専門店(同マイナス2.4%)を除く幅広い業種で前年を上回っている。

観光関連は、全国旅行支援が押し上げに寄与し、国内観光客数は前年同期比プラス37.6%と大幅なプラスとなった。外国人観光客も持ち直しの動きがみられる。民間設備投資は前年同期比プラス40.6%と堅調が続いている。

こうしたことからモニターは、10~12月期の地域経済を【やや好転】と判断した。

景況判断は中小企業で厳しさがみられる

北海道財務局「法人企業景気予測調査」の結果によると、1~3月期の景況判断はマイナス13.7で「下降超」となった。前回調査時点(11月)の見通し(マイナス11.4)から下振れしている。業種別にみると、製造業はマイナス25.0で前回調査時点(マイナス12.1)から下振れとなった一方で、非製造業はマイナス10.5で前回調査時点(マイナス11.2)からやや上振れとなった。規模別では、大企業が2.7(前回調査時点2.7)、中堅企業はマイナス11.8(同マイナス11.1)で横ばいとなったのに対して、中小企業はマイナス20.1(同マイナス9.9)で、規模が小さい企業の景況判断に厳しさがみられる。

なお、同調査での4~6月期の先行き景況判断は3.6と上昇超過に転じる見通しとなっている。業種別、規模別でもすべての区分で上昇超過が見込まれている。

モニターはこれらの結果から、「4~6月期の先行きは上昇超過に転ずる見通しにあることから、1~3月の北海道経済は足踏み」と捉え、1~3月期の見通しを【横ばい】とした。

<雇用動向>

有効求人倍率や失業率が改善傾向に

日銀短観によると、12月調査の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス45で、前期(9月調査)から2ポイント低下している。業種別にみると、製造業はマイナス36で前期比1ポイント低下、非製造業はマイナス48で前期比2ポイント低下となっている。

労働統計をみると、有効求人倍率は10月が1.17倍(前月比変化なし)、11月が1.19倍(同プラス0.02ポイント)、12月が1.20倍(同プラス0.01ポイント)と、わずかだが改善基調にある。新規求人数をみても、10月が前年同期比プラス9.6%、11月が同プラス5.2%、12月が同プラス6.1%と前年を上回って推移している。10~12月の完全失業率(原数値)は2.7%で、前年同期(3.0%)および前期(3.1%)のいずれと比べても低下している。

これらを踏まえモニターは、「労働統計は好転しており、『日銀短観』の人手不足感にも引き締まりがみられる」として、10~12月期の雇用について【やや好転】と判断した。

コロナ禍の影響が和らぎ第3次産業の求人が増加

1~3月期の見通しについては【横ばい】と判断した。その理由として、「日銀短観では3月の雇用人員判断はマイナス45と12月から横ばいで、人手不足感は一服が見込まれている」としたほか、「1月の有効求人倍率は1.19倍で前月から0.01ポイントの低下」と、労働統計の小幅な動きを紹介している。

なお、産業別の求人状況については、「コロナ禍の影響が和らぐことによって、『卸売業・小売業』『医療・福祉』『宿泊業、飲食サービス業』など第3次産業の求人数が増加した一方で、『製造業』『建設業』の求人数は前年同月を下回った」と報告している。

(調査部)