【九州】経済動向は好調が続き人手不足感が強まる

地域シンクタンク・モニター調査

九州の7~9月期の経済動向は、生産・輸出が大きく回復したほか、消費も持ち直したことから、【好転】としている。10~12月期の経済動向は、宿泊業の回復や生産・輸出の好調をうけて【やや好転】。7~9月期の雇用動向は、各種統計の動きが小幅なことから、【横ばい】とし、10~12月期は人手不足感が強まっているとして、【やや好転】としている。

<経済動向>

生産・輸出が大きく回復

九州地域のモニターは7~9月期の地域経済について、「前期に引き続き好調な推移を続けており、特に生産・輸出の面で大きな回復が見られた」ことから判断を【好転】とした。

具体的には、九州7県の地域別支出総合指数(原数値)は消費が前年比プラス5.3%(全国はプラス6.2%)、設備投資が同プラス19.6%(同プラス4.3%)で、設備投資は全国を大きく上回っている。

九州経済圏(九州・沖縄・山口)からの輸出額は2兆8,843億円(前年同期比プラス29.4%)で、8期連続で増加した。前期に引き続き、九州の主力産業である自動車(同プラス75.0%)や半導体等電子部品(同プラス52.2%)で好調が続いている。鉱工業生産指数(季節調整値)も前期比プラス7.6%と、2期連続で上昇している。

モニターが作成している九州地域景気総合指数をみても、7月が前月比プラス0.5%、8月が同プラス1.9%、9月が同プラス3.7%でプラス幅が拡大している。

鉱工業生産指数が2013年1月以降で最高水準に

10~12月期の見通しについては、「宿泊旅行支援により、宿泊業などで大きな回復の動きがみられた」「輸出は半導体関連および自動車関連が前期に引き続き好調となり、高い水準での推移を継続している」などの理由から、「足下では前月に引き続き好調に推移している」として【やや好転】と判断した。

消費現場のマインドを示す景気ウォッチャー調査の現状判断(水準)DIをみると、10月が58.9、11月が55.8となっているほか、11月の先行き判断DIは53.4で、いずれも節目の50を上回っており持ち直しの動きが続いている。

モニター作成の宿泊稼働指数(月平均)の推移をみると、前期と比べて高い水準での推移が続いており、10月は前月比プラス9.8ポイント、11月は同プラス11.5ポイントとなっている。

鉱工業生産指数(季節調整値)は、10月が前年同期比プラス10.4%で、4カ月連続の上昇となった。足下では汎用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業の生産が大幅に増加しており、2013年1月以降で最高の水準に達している。

<雇用動向>

雇用環境は改善が続く見込み

雇用の実績(7~9月期)について、モニターは【横ばい】と判断。その理由について、「有効求人倍率は1.26倍で、前期比0.05ポイント上昇となった」ことや「完全失業率(原数値)は2.8%で前年同期比マイナス0.1ポイントとなった」ことなど、各指標が緩やかに回復傾向を示していることをあげた。

10~12月期の見通しについては、「人員の不足感がさらに強まっていることから、雇用環境の改善が続く」とみて、【やや好転】を選択している。その理由として、「日銀短観(12月調査)の雇用人員判断DI(「過剰」―「不足」)は製造業がマイナス27、非製造業がマイナス44で、9月調査と比べて製造業はマイナス4ポイント、非製造業はマイナス8ポイントとなっている。次回(2023年3月)予測では、製造業はマイナス27、非製造業はマイナス43でともに不足するとみている」ことをあげている。

(調査部)