【茨城】新規求人倍率が2.39倍に上昇するなど雇用が好転

地域シンクタンク・モニター調査

経済動向について、7~9月期は製造業では景況感の改善がみられたものの、非製造業は悪化したことから、判断は【横ばい】となった。10~12月期も、全国旅行支援や県独自のキャンペーンが実施されてはいるものの、先行きに注視が必要として、【横ばい】となった。雇用動向は、7~9月期の実績は新規求人倍率が2.39倍になるなど雇用指標が持ち直しつつあると判断して【好転】となった。10~12月期の見通しは経営動向の調査結果から【横ばい】の見込みとなっている。

<経済動向>

非製造業は物価高や供給制約が景況感の下押し材料に

茨城県のモニターが実施する「県内主要企業の経営動向調査(7~9月期)」によれば、県内企業の景況感をあらわす自社業況総合判断DIは、全産業ベースで「悪化」超19.5%と、前期調査の「悪化」超17.4%からおおむね横ばいとなった。業種別にみると、製造業は「悪化」超12.4%で前期から12ポイント上昇したものの、非製造業は「悪化」超25.0%で前期から18ポイント低下している。

モニターは製造業について、「建機部品やバイオ関連等、一部の品目について生産が好調との声が聞かれたものの、物価高や供給制約など、引き続き様々な課題を抱える企業が多い様子もうかがえる」としたほか、非製造業については「新型コロナの第7波による悪影響のほか、物価高や供給制約などが景況感の下押し材料となったとみられる」として、7~9月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

観光需要喚起策が始まる一方、引き続き多い先行き不透明材料

10~12月期については、「自社業況総合判断DIは全産業で『悪化』超19.5%と今期から横ばいの見通し」としている。業種別にみると、「製造業は『悪化』超10.3%、非製造業は『悪化』超26.8%で、いずれもおおむね横ばいの見込み」としている。

モニターは「『全国旅行支援』や『茨城プレデスティネーションキャンペーン』など大型の観光需要喚起策が開始される一方、新型コロナやインフルエンザの感染状況、為替相場、世界情勢、これらを反映した企業物価など、見通しにくい要素も引き続き多い。先行きは、これらの動向、また、それに伴う県内企業の対応状況などを注視する必要がある」とコメントしたうえで、先行きを【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

有効求人倍率は1.48倍で6カ月ぶりに低下

7~9月期の雇用動向については、9月の雇用指標をみると、有効求人倍率は1.48倍(前月比0.03ポイント低下)と6カ月ぶりに低下したものの、新規求人倍率は2.39倍(同0.09ポイント上昇)で2カ月ぶりに上昇した。雇用保険受給者数も前年同月比マイナス7.4%と、16カ月連続で前年を下回っている。

モニターが実施した「茨城県内主要企業の経営動向調査結果(7~9月期)」では、雇用判断DIは「増加」超0.4%と、前期(「増加」超3.0%)からおおむね横ばい。業種別にみると、製造業が「増加」超1.1%と前期からおおむね横ばい、非製造業は0.0%と前期から3ポイント低下した。

こうした各種指標からモニターは、雇用の実績(7~9月期)を「持ち直しつつある」として、【好転】と判断した。

雇用の10~12月期見通しは横ばい

10~12月期の見通しについては、同調査の先行き(10~12月期)の結果をもとに、「雇用判断DIは全産業で0.0%と今期から横ばい。業種別でみても、製造業が『増加』超2.3%、非製造業が『減少』超1.8%でいずれもおおむね横ばい」として、【横ばい】と判断した。

(調査部)