【北海道】宿泊・飲食など幅広い業種で新規求人数が増加

地域シンクタンク・モニター調査

北海道では、7~9月期の地域経済は個人消費に一部弱さがみられるものの、緩やかに持ち直したこともあり、【横ばい】となった。10~12月期の見通しも、業種・業態でまだら模様の状況が続いていることから、【横ばい】としている。7~9月期の雇用動向は、日銀短観の雇用人員判断の動きから人手不足感が強まっているとして、【やや好転】と判断。10~12月期の雇用見通しも、宿泊・飲食をはじめ幅広い業種で新規求人数が増加するなど雇用統計が好調なことから、【やや好転】としている。

<経済動向>

個人消費は業態で明暗分かれる

モニターが実施した「道内企業の経営動向調査(7~9月期)」の結果をみると、売上DIが13で前期から2ポイント上昇したものの、利益DIはマイナス4で変動はなかった。業種別にみると、非製造業の業況が持ち直した一方で、製造業の業況が後退しており、濃淡がみられた。

分野別の動向をみると、個人消費はコロナ禍の影響が和らぎサービス消費が増加しており、一部に弱さがみられるものの緩やかに持ち直した。7~9月の販売額は百貨店(前年同期比プラス21.3%)が大幅に増加したほか、ドラッグストア(同プラス2.5%)、コンビニ(同プラス3.9%)もプラスとなった。一方、巣ごもり需要が一服した家電大型専門店(同マイナス8.8%)、ホームセンター(同マイナス3.4%)は前年同期を下回っており、業態により明暗が分かれた。

新車登録台数は、半導体不足の影響で前年を下回る状況が続いていたが、7~9月期は前年同期比プラス5.4%で、5四半期ぶりに前年同期を上回った。

住宅投資は、新設住宅着工戸数が前年同期比マイナス4.2%と3四半期連続で前年を下回った。公共投資も、公共工事請負金額が同マイナス2.1%と2四半期連続で前年を下回った。

こうしたことからモニターは、7~9月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

業種・業態でまだら模様の状態が続く

モニターが実施した「道内企業の経営動向調査(10~12月期)」の結果をみると、売上DIは12で前期から1ポイント低下し、利益DIはマイナス3で前期から1ポイント上昇。いずれも前期から横ばいで推移した。業種別にみると、ホテル・旅館業で業況の持ち直しが鮮明な一方、木材・木製品製造業の業況に低下がみられる。

個人消費の動向をみると、10月、11月の百貨店、スーパー、ドラッグストア、コンビニの販売額はいずれも前年同期を上回った。一方、10月、11月の家電大型専門店と、11月のホームセンターは前年同期を下回った。

観光関連では、水際対策の緩和で外国人観光客が増加している。国内からの観光客数も、全国旅行支援の効果で10月が前年同月比プラス64.7%、11月が同プラス33.0%で高い伸びとなっている。

モニターは消費の動向について、「巣ごもり消費の反動減で、家電大型専門店とホームセンターの販売額に一服感がみられるものの、インバウンドの復活や観光客の増加、物価上昇による販売単価の上昇などを背景として、財消費は堅調に推移した」とコメントしている。

民間設備投資は、先行指標とされる民間非居住用建築物工事予定額が、10月、11月と2カ月連続で前年同月を下回っており、持ち直しの動きに弱さがみられる。

住宅投資は、10月、11月の新設住宅着工戸数が前年同期を下回った。公共投資も、10月、11月の公共工事請負金額が前年同期を下回った。

モニターはこれらの結果から、「前期に続き、業種・業態によりまだら模様の状況が続いている」として、10~12月期の見通しについても【横ばい】を選択した。

<雇用動向>

製造業・非製造業ともに人手不足感が強まる

日銀短観によると、9月調査の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス43で、前期(6月調査)から8ポイント低下となっている。業種別にみると、非製造業がマイナス46で前期比9ポイント低下、製造業はマイナス35で前期比5ポイント低下となっている。

労働統計をみると、有効求人倍率は7月が1.14倍(前月比プラス0.02ポイント)、8月が1.16倍(同プラス0.02ポイント)、9月が1.18倍(同プラス0.02ポイント)と改善が続いた。新規求人数をみても、7月が前年同期比プラス15.8%、8月が同プラス14.2%、9月が同プラス13.6%と大幅に増加している。完全失業率(原数値)は3.1%で前年同期から0.2ポイント低下している。

これらをふまえモニターは、「人手不足感が強まり、新規求人数も増加するなか、完全失業率も低下している」として、7~9月期の雇用について【やや好転】と判断した。

有効求人倍率の改善基調が継続

10~12月期の見通しについても、【やや好転】と判断した。その理由として、「日銀短観では12月の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス45と9月から2ポイント低下で、人手不足感は引き締まりの動きがみられる」としたほか、「有効求人倍率は10月が1.16倍(前月比マイナス0.02ポイント)と一時的に小幅に悪化したものの、11月は1.17倍(前月比プラス0.01ポイント)と小幅に改善し、改善基調が続いている」「11月の新規求人数は前年同月比プラス5.2%と、21カ月連続で前年同月を上回っている。業種別にみても、宿泊業・飲食サービス業(前年同月比プラス17.1%)、卸売業・小売業(同プラス13.0%)、サービス業(同プラス9.3%)、製造業(同プラス5.7%)、運輸業・郵便業(同プラス3.9%)など幅広い業種で増加している」といった好材料をあげている。

(調査部)