【中国】半導体不足が自動車生産の支障に

地域シンクタンク・モニター調査

中国地域では7~9月期、10~12月期の経済動向はいずれも【横ばい】となっている。消費は回復しているものの、自動車生産は半導体不足が生産活動の支障となっている。雇用動向については、7~9月期の実績は、経済活動が再開され各業種で求人が増えていることから、【やや好転】となっている。10~12月期の見通しは、最低賃金の引き上げが求人に影響しているとみて、【横ばい】とした。

<経済動向>

3年ぶりの行動制限のない夏休みで外出・旅行に活発な動き

モニターは、7~9月期の中国地域の経済動向について【横ばい】と判断した。

部門別の動向として、生産面では、上海のロックダウン解除で回復がみられたものの、円安やロシアのウクライナ侵攻が燃料・原材料の高騰に拍車をかけている。地域経済をけん引する自動車生産も半導体不足の影響を受けており、モニターは「右肩上がりの回復基調に乗ることが難しい」とコメントしている。

消費面については、「3年ぶりに行動制限がない夏休みとなり、外出・旅行の消費は活発な動きを見せた。百貨店やスーパーをはじめ、多くの小売業態で前年を上回る販売となり、大型ショッピングセンターも広域から集客する勢いを取り戻している」「山陰エリアの主要温泉地やホテルの宿泊客数も、一部で感染拡大前の2019年の水準まで戻った」などと回復を報告している。

第8波の懸念に加えて部品の調達難や円安で先行き見通せず

10~12月期の見通しについても、消費活動は「政府の水際対策の緩和で訪日観光客数が増加し、インバウンド消費が経済回復のけん引役となる期待も膨らんでいるが、第8波が旅行業界の足かせとなる懸念がある」としたほか、生産活動も「半導体不足が自動車や機械など製造業の生産水準に引き続き影を落とすことが見込まれ、原材料や円安の先行きが見通せない」として、【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

アフターコロナを見据えた採用も

7~9月期の雇用実績についてモニターは、「3年ぶりに行動制限のない夏休みで、宿泊・飲食、観光などで求人が回復し、製造業を含めてコロナ後を見据えた採用もみられた」として、【やや好転】と判断した。

具体的には、飲食業では県の割引キャンペーンで客足の回復が見込まれ、宿泊業では国が実施する「全国旅行支援」や水際対策緩和による旅行需要回復が期待され、求人を出す動きがみられた。製造業も自動車のシートやパソコンの生産が好調で求人が増加している。これらの動きから、9月の有効求人倍率は島根県が1.75倍で全国2位、広島県が1.64倍で全国6位となっている。

最賃引き上げで求人を一時的に停止する動きも

見通し(10~12月期)については、【横ばい】としている。その理由として「有効求人倍率や求人数など数値面では回復が続いているが、燃料・原材料価格の高騰や物価高が続いており、雇用への影響について慎重な見方もある」ことをあげたほか、「新型コロナの収束を見据えた採用増のなかでも、最低賃金の引き上げを受けて小売業などで待遇を見直す動きや、一時的に求人を停止する動きも報告されており、今後も順調に雇用環境が回復するかを見極めるには慎重な判断が必要」としている。

(調査部)