「医療,福祉」の就業者の詳細(産業小分類別の結果)
 ―令和2年国勢調査 抽出詳細集計結果から―

ちょっと気になるデータ

総務省統計局から2022年12月27日に令和2年国勢調査の抽出詳細集計結果が公表された。抽出詳細集計結果は、就業者の産業・職業の小分類別の構成等に関する詳細な結果である。今回はこの中から産業の小分類別(注1)の結果を紹介する。

抽出詳細集計結果に先立って公表された令和2年国勢調査の就業状態等基本集計結果(2022年5月27日公表)によれば、15歳以上就業者について産業大分類別の割合をみると「医療,福祉」(13.5%)は、「製造業」(15.9%)、「卸売業,小売業」(15.8%)に次いで高く、前回2015年国勢調査と比べて1.0ポイントの上昇と産業大分類別では最も割合が拡大している。そこで、産業小分類別の結果で、「医療,福祉」についてもう少し詳しくみてみることとする。

抽出詳細集計でみると「医療,福祉」の総数は7,629,900人で男女別に内訳をみると、男性、女性とも「病院」、「老人福祉・介護事業(訪問介護事業を除く)」の割合が高く両者をあわせるとそれぞれ半数を超えている(図表1)。

図表1:産業小分類別にみた「医療,福祉」の就業者
画像:図表1
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次に、産業小分類別就業者数を前回調査と比較すると、男性では「児童福祉事業」が40.3%増と最も高く、次いで「障害者福祉事業」23.8%増、「老人福祉・介護事業(訪問介護事業を除く)」12.9%増などとなっている。女性では「その他の医療業(注2)」が37.9%増と最も高く、「障害者福祉事業」24.8%増、「その他の保健衛生(注3)」と「児童福祉事業」がともに20.9%増などとなっている(図表2)。とくに女性の「その他の保健衛生」については、前回調査における前々回調査からの増減率(2.7%)と比べて大幅に上昇している。

図表2:産業小分類別にみた「医療,福祉」の就業者数の増減(2015年~2020年)
画像:図表2

[注1]国勢調査に用いられている産業分類は、日本標準産業分類を国勢調査に適合するように集約して編成されたもの。令和2年国勢調査では、日本標準産業分類(平成25年10月改定)を基に再編成され、20項目の大分類、82項目の中分類、253項目の小分類となっている。

[注2]「その他の医療業」は助産師がその業務(病院又は診療所において行うものを除く)を行う事業所、看護師又は准看護師であって、公共職業安定所若しくは派出看護師会に求職登録を行ってあっせんされ、看護業務を行うもの又は独立して看護を業とするもの、歯科医師又は歯科技工師が業として歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置の作成、修理又は加工を行う事業所及び臓器のあっせん、医療に係る検体検査など医療業に附帯するサービスを提供する事業所。

[注3]「その他の保健衛生」は国内に常在しない感染症の病原体が船舶又は航空機を介して国内に侵入することを防止するとともに、船舶又は航空機に関して感染症予防に必要な措置などを行う事業所、疫病の予防、健康管理、健康の増進、環境衛生の改善などに必要な検査、試験を行う事業所、感染症の予防など保健衛生上必要な消毒を行う事業所及び犬管理所など他に分類されない保健衛生に関するサービスの提供を行う事業所。注2、注3ともに詳細については総務省統計局のホームページに掲載されている「令和2年国勢調査に用いる産業分類 (PDF:2.10MB)新しいウィンドウ」を参照。

(調査部 統計解析担当)