【東海】10~12月期は設備投資の改善と鉱工業生産指数の反転で好転するも1~3月期は悪化の見通し

地域シンクタンク・モニター調査

設備投資が回復し、鉱工業生産指数も反転したことから10~12月期の東海地域の経済は「やや好転」したが、1~3月期の見通しは自動車生産が足踏みとなり「やや悪化」となった。

10~12月期の雇用は各種統計をもとに「やや好転」と判断。1~3月期の雇用見通しは「横ばい」の見込みとなっている。また、2022年の春闘では自動車や電機の大手企業が満額回答をしている。

設備投資額は4四半期ぶりに前年同期を上回る

東海財務局「法人企業統計調査」によれば、東海4県(静岡県含む)の設備投資額は4四半期ぶりに前年同期を上回った。また、東海3県の鉱工業生産指数(季節調整値)は2期ぶりに前期比で増加。主な業種では電子部品・デバイス工業は減少したものの、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業、電気機械工業、輸送機械工業はいずれも増加している。東海地域のモニターは、10~12月期の地域経済を「新型コロナの感染状況が落ち着き、緊急事態宣言が解除されるなか、東海3県の景気には持ち直しの動きがみられた」として、【やや好転】と判断した。

景況水準は7期ぶりに下落

一方、モニターが作成した「OKB景況指数」3月期調査報告をみると、景気水準は7期ぶりに下落している。モニターは「オミクロン株拡大によるまん延防止等重点措置の影響で、外出自粛の動きが広がり、個人消費が弱含んだ」ことや、「期待されていた自動車の挽回生産が足踏みとなった」ことに加え、「原材料価格の高騰が企業収益を圧迫。企業活動も弱含んでいる」ことを指摘し、1~3月期の見通しについて、【やや悪化】と判断した。

春闘は自動車や電機の大手が満額回答もサービス業では交渉が難航

雇用の実績(10~12月期)についてモニターは、「東海4県の有効求人倍率は5期連続での上昇となった」「新規求人数(原数値)の前年同月比伸び率は伸び幅が縮小したものの、プラスが続いた」「完全失業率(原数値)は2期連続で低下した」ことから【やや好転】と判断した。

「東海財務局『法人企業景気予測調査』によれば、3月末時点での従業員数判断BSIは6期連続で『不足気味』超。規模別では、すべての規模で『不足気味』超幅が拡大している。業種別でも、製造業・非製造業ともに『不足気味』超幅が拡大している」ことや、「1月の有効求人倍率は4県とも前月比で上昇」などとなっている。モニターはこうした好材料をあげつつも、1~3月の判断は【横ばい】にとどめた。

また、労働に関連する地域のトピックとして、春闘の動向を報告。今春闘ではトヨタ自動車が初回の交渉で実質的に満額回答したのを始め、自動車や電機業界では組合要求に対して満額回答する大手企業が目立った。他方、鉄道やホテル、飲食などサービス業では厳しい業績が続くなか、交渉が難航している。

(調査部)