【近畿】緊急事態宣言解除で百貨店が一時回復も、年明けの感染拡大で入店客は減少

地域シンクタンク・モニター調査

消費の持ち直しで10~12月期の地域経済は「やや好転」したが、1~3月期の見通しはオミクロン株の感染拡大を受けて「やや悪化」の見込み。一時は回復した百貨店も、再び客足が遠のいている。雇用動向は10~12月期実績、1~3月期見通しのいずれも「やや悪化」となった。求職者が減少しているにもかかわらず、失業率が上昇している。

宿泊・飲食サービスが急回復

近畿地域の家計部門の動向をみると、「新型コロナ第5波の収束と緊急事態宣言の解除により、持ち直しの動きもみられた。百貨店販売額は3,860億円(前年同期比プラス7.9%)で2四半期ぶりに前年を上回った」という。なお、「スーパー販売額は5,808億円(同マイナス0.9%)で6四半期連続のマイナス」となったが、モニターはこれについて、「外食需要の高まりによるものとみられる」と指摘している。

一方で企業部門は、「生産は部材供給不足や物流逼迫の影響から弱い動きとなっている。また、エネルギー価格の高騰は企業収益を圧迫している」ものの、「景況感は緩やかに回復」としている。

日銀短観(12月調査)によると、業況判断DIはプラス5で前期から6ポイント上昇した。改善は6四半期連続で、8四半期ぶりにプラス圏に回復した。業種別にみると、製造業は前期から4ポイント上昇のプラス7で、2四半期連続のプラス。非製造業はプラス4で前期から10ポイント上昇している。特に宿泊・飲食サービスは、新規陽性者数が減少して感染防止対策が解除となったことから、前回調査比38ポイント上昇のマイナス28と急回復した。また大阪商工会議所・関西経済連合会「第84回経営・経済動向調査」(調査期間11月11~30日)をみても、自社業況BSIはプラス18.7(前期比18.2ポイント上昇)と大幅に改善している。こうした点を勘案し、モニターは10~12月期の判断を【やや好転】とした。

遠のく百貨店の1月中旬以降の客足

1~3月期の見通しについては、【やや悪化】と判断。モニターはその理由として、「1月の大型小売店販売額のうち、百貨店は2019年同月比でマイナス20.4%と、マイナス幅が前月(マイナス8.0%)より大幅に拡大した。1月中旬以降の感染急拡大で、入店客数が急速に減少した」ことや、「2月の消費者態度指数(モニター推計)は33.9と2カ月連続で低下した」こと、それに「2月の景気ウォッチャー現状判断DIも39.3と2カ月連続で悪化した」ことなどをあげている。

求職者が減少するも失業率は増加

10~12月期の雇用実績について、モニターは「経済活動の正常化にともない求人数が増加」しているものの、「求職者数も引き続き高水準にあり、厳しさがみられる」点にも着目して【やや悪化】と判断した。具体的な理由については、「有効求人倍率は1.06倍で、4四半期ぶりに悪化した」ことに加え、「現金給与総額(モニター推計)は3月から9カ月連続で前年を上回っているものの、物価変動の影響を除いた実質現金給与総額は10月が前年比マイナス0.8%、11月が同マイナス1.4%と9月から3カ月連続でマイナスとなり、物価上昇が名目賃金の伸びを打ち消すかたちとなっている」などの要因をあげる。

1~3月期の雇用の見通しについても「オミクロン株の感染拡大にともない職探しを行う人が減少しているにもかかわらず、失業率は増加しており雇用環境は厳しい」として判断を【やや悪化】にしている。

(調査部)