【茨城】今期は好調も、来期は供給制約と企業物価の上昇が懸念材料に

地域シンクタンク・モニター調査

10~12月期の地域経済は、緊急事態宣言の解除を受けて景況感が上向いたことから「好転」となった。1~3月期は業況判断指数が悪化していることから「悪化」の見通しとしている。供給制約や企業物価の上昇が懸念される。10~12月期の雇用は「横ばい」、1~3月期の雇用見通しは「やや好転」の見込みとなっている。

緊急事態宣言の解除で景況感上向く

茨城県のモニターが実施する「県内主要企業の経営動向調査(10~12月期)」によれば、県内企業の景況感をあらわす自社業況総合判断DIは、全産業ベースで「好転」超1.4%と、前期調査の「悪化」超11.3%から13ポイント上昇した。業種別にみると、製造業は「好転」超12.5%で前期からおおむね横ばいとなった一方で、非製造業は「悪化」超5.2%と、依然として「悪化」超ながらも前期から19ポイント上昇した。

モニターは「非製造業では対面型サービス関連の業種など、引き続き新型コロナの悪影響を受けている企業が多いものの、感染状況の落ち着きや国の緊急事態宣言の解除などを受けて、景況感が上向いた」として10~12月期の地域経済を【好転】と判断した。

感染対策に加えて世界的な供給制約と企業物価の上昇が

1~3月期については、「自社業況総合判断DIは全産業で『悪化』超1.9%と今期から3ポイント低下する見通し」。これを業種別にみると、「非製造業は『悪化』超5.2%で今期から横ばいではあるものの、製造業は『好転』超3.8%と9ポイント低下する見込み」となっている。モニターは「感染状況の推移とそれに伴う感染対策や経済対策等の動向、また世界的な供給制約や企業物価の上昇などが県内生産に与える影響等を注視していく必要がある」とコメントしたうえで、先行きについては【悪化】と判断した。

新規求人数が7カ月連続増も産業でバラツキ、来期は製造業・非製造業ともに改善の見通し

12月の新規求人数(パートを含む)は前年同月比16.9%増と、7カ月連続で前年水準を上回った。ただし産業別にみると、建設業(前年同月比2.0%増)、製造業(同52.1%増)、卸売業・小売業(同8.3%)、宿泊業・飲食サービス業(同10.6%)などが前年水準を上回った一方で、情報通信業(同11.4%減)、生活関連サービス業・娯楽業(同4.5%減)、教育・学習支援業(同2.7%減)などは前年水準を下回っている。こうした指標の推移をみて、モニターは雇用の実績(10~12月期)について、「【横ばい】圏内で推移している」と判断した。

1~3月期については、モニターが県内企業に実施した同調査の結果をもとに、「雇用判断DIは全産業で『増加』超7.0%と今期から8ポイント上昇し、業種別では製造業が『増加』超11.1%と9ポイント上昇、非製造業が『増加』超4.5%と7ポイント上昇する見通し」として【やや好転】と判断した。

(調査部)