【北陸】10~12月期は横ばいの実績だが1~3月期は原材料価格や食料品価格の上昇が懸念に

地域シンクタンク・モニター調査

10~12月期の北陸地域の経済は「横ばい」となった。1~3月期は原材料価格や食料品価格の上昇による下振れなどが懸念となり「やや悪化」の見通し。雇用動向は10~12月期実績、1~3月期見通しともに「横ばい」としている。外国人労働者の動向をみると、県によって増減の動きに違いが生じている。

供給面では電子デバイスの足踏みにより回復の動きに一服感

北陸地域について、モニターは10~12月期の地域経済を【横ばい】と判断した。その理由として、需要面では「個人消費は百貨店・スーパーで足踏み感が強いものの、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどその他の業態は概ね持ち直しているほか、主要観光地や温泉客なども減少幅が縮小しており、全体では緩やかに持ち直している」ことを指摘。供給面では「生産活動は主力の電子部品・デバイスが、スマートフォン向けや自動車向けを中心に足踏みの状況で、回復に向けた動きに一服感がみられる」ことをあげた。

景況判断は製造業・非製造業ともに悪化の見通し

北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、企業の景況判断BSI(前期比「上昇」-「下降」社数構成比、原数値)はマイナス20.2の「下降」超となった。製造業(マイナス16.1)、非製造業(マイナス23.0)でわけてみても、いずれも「下降」超の状況。規模別でみても、大企業・中堅企業・中小企業のいずれもやはり「下降」超となっている。モニターは「各種政策効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことも期待される」としつつも、「新型コロナの影響やウクライナ情勢の悪化による供給面での制約、原材料価格や食料品価格の上昇による下振れ」を懸念事項にあげて、1~3月期の見通しを【やや悪化】としている。

雇用動向の改善はわずかで慢性的な人手不足続く

10~12月期の雇用指標について、モニターは「北陸3県の有効求人倍率は、1.52倍で前期(1.50倍)を上回っている。全国平均(1.17倍)と比較しても、北陸の労働市場は引き続きタイトな状況にある」「新規求人数も10月が前年比13.3%増、11月が同13.3%増、12月が同12.5%増と二桁のプラス水準で推移している」などと好調な材料を報告した。そのうえで、「地域雇用の動向は前期に比べ『やや好転』しているものの、その上げ幅はわずかにとどまっていることから、『やや好転』のまま『横ばい』と判断した」とコメントし、雇用実績を【横ばい】とした。

1~3月期の見通しについても、「業種・業態によるバラツキはみられるものの、慢性的な人手不足から、タイトな状況のままにある」ことをあげて【横ばい】とした。

外国人労働者は石川・富山で減少する一方、福井では日系ブラジル人が増加

また、労働に関連する地域のトピックとして、昨年10月末時点の北陸3県の外国人労働者数の状況を報告した(各県労働局調べ)。それによると、石川県は1万606人で2年連続の減少、富山県は1万1,467人で届出が義務化された2007年以降で初めての減少となった。他方、福井県は前年比1.8%増の1万524人で過去最多を更新している。

各労働局の公表資料をみると、石川県は在留資格別で技能実習生(前年同期比14.8%減)が減少したほか、国別では中国(同12.7%減)、ブラジル(同12.5%減)の減少が目立っている。富山県も同様で、技能実習生(同15.4%減)、中国(同11.4%減)、ブラジル(同9.7%減)が特に減少している。

福井県では技能実習生(同17.7%減)が減少しているものの、身分に基づく在留資格(同14.6%増)は増加している。国別では中国(同21.5%減)は減少しているがブラジル(17.8%増)が増加していることから、日系ブラジル人の労働者が増加しているものと思われる。

(調査部)