【北海道】コロナ禍の沈静化で業況改善の動きも、オミクロン株の流行拡大で宿泊・飲食を中心に悪化

地域シンクタンク・モニター調査

北海道では、コロナ禍の沈静化で10~12月期の地域経済は「やや好転」したが、1~3月期の見通しはまん延防止等重点措置による宿泊・飲食等への影響で「やや悪化」となっている。10~12月期の雇用動向は、各種統計の動きから「やや好転」と判断。1~3月期の雇用見通しは、有効求人倍率などの改善がうかがえるも、まん延防止等重点措置の影響を踏まえて「横ばい」としている。

売上DIが10ポイント上昇

北海道モニターが実施した「道内企業の経営動向調査(10~12月期実績)」によると、売上DI(前年同期比増加-前年同期比減少で算出)はマイナス2で前期に比べ10ポイント上昇した。利益DIはマイナス15だが、こちらも前期より1ポイント上昇している。モニターは「昨年8月下旬から9月上旬にかけて実施した同調査(10~12月期見通し)から上振れしており、コロナ禍の鎮静化により、道内企業の業況に持ち直しの動きがみられた」と指摘。10~12月期の地域経済を【やや好転】と判断した。

まん延防止等重点措置が宿泊・飲食や生活関連サービスを直撃

一方、北海道財務局「法人企業景気予測調査(1~3月期)」(調査時点2022年2月15日)によると、全産業の景況判断BSIはマイナス23.4で下降超。前回調査時点(2021年11月5日)の1~3月期見通し(マイナス8.3)からも下振れした。モニターは「オミクロン株の感染拡大にともない、北海道では1月27日からまん延防止等重点措置が開始された。これにより道内経済は下押しされ、幅広い業種の業況判断BSIが下降超となった。特に『宿泊業、飲食業』がマイナス56.6、『生活関連サービス業』がマイナス60.0と、オミクロン株の感染拡大の影響が大きくみられている」などとして、1~3月期の見通しについては【やや悪化】を選択した。

有効求人倍率は改善基調にあるものの、2月以降の雇用状況は悪化の見込み

日本銀行札幌支店「企業短期経済観測調査(北海道分)」(短観)によると、12月調査の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス31と、前期(9月調査)から4ポイント低下した。製造業はマイナス34、非製造業はマイナス30で、いずれも前期から4ポイント低下しており、道内の人手不足感は引き締まりの動きがみられた。

さらに道内有効求人倍率をみると、10月が1.00倍(前月比マイナス0.01ポイント)、11月が1.01倍(同プラス0.01ポイント)、12月が1.02倍(同プラス0.01ポイント)と、わずかながらも改善基調にある。また、新規求人数(常用)は10月が前年同月比プラス3.5%、11月が同プラス8.6%、12月が同プラス6.6%と、前年を上回って推移した。完全失業率(原数値)は3.0%で、前期比および前年同期比ともに改善した。こうした状況から、10~12月期の雇用についてモニターは【やや好転】と判断した。

1~3月期の見通しについては【横ばい】と判断した。その理由として、「短観では3月(先行き)の雇用人員判断(「過剰」-「不足」)はマイナス39と、12月(マイナス31)から8ポイント低下の見通しで、人手不足感は前期からさらに引き締まりが見込まれている」ことや、「1月の有効求人倍率は1.06倍で3カ月連続の改善」といった好材料はあるものの、「まん延防止等重点措置の開始で、コロナ禍の影響が和らぎ好転の兆しのみえた宿泊業、飲食サービス業を中心に、雇用状況が2月以降悪化することが見込まれる」ことをあげている。

(調査部)