【秋田・山形】新卒採用の企業割合が秋田、山形ともに上昇

地域シンクタンク・モニター定例調査

秋田県の10~12月期の地域経済は「横ばい」だが、1~3月期の見通しはモニター実施の景気動向調査の結果やウクライナ情勢などを踏まえ、「やや悪化」の見込みとなっている。10~12月期の雇用は新規求人倍率の落ち込みなどで「やや悪化」も、1~3月期の雇用見通しは「横ばい」としている。モニターが実施した調査によれば、新卒者を「採用する」企業の割合は2年ぶりに上昇。特に建設や卸・小売での上昇が目立つ。

山形県の10~12月期の地域経済は「横ばい」だが、1~3月期の見通しはまん延防止等重点措置の適用をうけて「やや悪化」の見込み。10~12月期の雇用は「横ばい」も、1~3月期の雇用見通しは「やや好転」としている。

秋田は、実績は横ばいも、感染長期化や原燃料高で慎重な見通し

秋田・山形のモニターは、秋田県の10~12月期の地域経済について、モニターが実施する「秋田県内企業の景気動向調査(2月調査)」の結果をもとに【横ばい】と判断した。同調査によれば、県内企業の自社の業況判断を示すDI値(前年同期比)はマイナス7.6(前回調査比5.4ポイント上昇)で、2期ぶりに改善した。項目別では「売上高」「営業利益」がほぼ横ばい、「資金繰り」は悪化、「人員人手」は3期ぶりにプラス幅が縮小となっている。

ただし、同調査の1~3月期の見通しをみると、DI値はマイナス25.7(今回調査比18.1ポイント低下)と大幅な悪化が見込まれている。業種別でも、建設業がマイナス22.6(同11.8ポイント低下)、製造業がマイナス26.1(同30.7ポイント低下)、卸・小売業がマイナス33.0(同10.7ポイント低下)、サービス業がマイナス19.8(同21.0ポイント低下)と、すべての業種で大きく悪化する見込み。モニターは「オミクロン株の感染拡大長期化などでコロナ禍の収束が未だ見通せないなか、ウクライナ情勢などの地政学的リスクの高まりや原燃料高の影響もあり、慎重な見通しとなっている」とコメントし、判断は【やや悪化】を選択した。

山形の業況判断DIは小幅な改善も、来期は大幅悪化の見込み

一方、山形県の10~12月期の地域経済についても、「山形県内企業の景気動向調査(2月調査)」の結果をもとに【横ばい】と判断している。県内企業の自社の業況判断を示すDI値(前年同期比)はマイナス10.9(前回調査比1.4ポイント上昇)で小幅な改善にとどまった。項目別では「売上高」が改善した一方で、「営業利益」「資金繰り」は悪化、「人員・人手」はプラス幅が縮小した。

同調査によれば、1~3月期の見通しについて、DI値はマイナス28.9(今回調査比18.0ポイント下落)で大幅な悪化の見込みを示している。モニターは「ワクチン接種の拡大にともなう経済活性化への期待はうかがえる」ものの、「まん延防止等重点措置の適用を受けて、先行きに対する警戒感は強まり、慎重姿勢は今後も続くものと思われる」として、【やや悪化】を選択している。

秋田では新規求人倍率は2.42倍で推移

秋田県の10~12月期の雇用情勢について、モニターは【やや悪化】を選択した。判断理由は、「新規求人倍率は前期からやや低下傾向にある」ことや、「新規求人数(原数値)の前年同月比をみると、マイナス幅は小さいものの10月時点で9カ月ぶりに減少した」ことなど。1~3月期の見通しについては、「1月の新規求人倍率は2.42倍で前月(2.42倍)から横ばいで推移している」ことなどを理由に【横ばい】を選択している。

モニターが実施した「秋田県内企業の景気動向調査」(2月調査)で特別調査として新卒者の採用状況を尋ねたところ、「採用する」企業の割合は全業種では37.8%(昨年調査比4.1ポイント上昇)と2年ぶりに上昇した。業種別では、「製造業が30.7%(同1.4ポイント低下)で昨年から低下したものの、建設業が51.6%(同7.2ポイント上昇)、卸・小売業が31.1%(同7.1ポイント上昇)、サービス業が38.4%(同4.3ポイント上昇)でいずれも上昇している」という。

山形の10~12月の雇用指標はおおむね横ばい、1~3月は改善の見通し

山形県のモニターは10~12月期の雇用情勢について「有効求人倍率、新規求人倍率ともにおおむね横ばいで推移している」ことなどから【横ばい】を選択した。

1~3月期の見通しについては、1月の「新規求人倍率は、2.24倍(前月比0.21ポイント上昇)で2カ月ぶりに前月を上回った。新規求人数(原数値)は9,516人(前年同月比17.4%増)で、11カ月連続で前年同月比増加となっている」ことなどから【やや好転】とした。

モニターが実施した「山形県内企業の景気動向調査」(2月調査)で、特別調査として新卒者の採用状況を尋ねたところ、「『採用する』企業の割合は全業種では40.6%(昨年調査比3.8ポイント上昇)と4年ぶりの上昇」となった。業種別でみても、「製造業、建設業、卸・小売業、サービス業のいずれでも上昇している」という。

(調査部)