タイトル:平成12年産業労働事情調査結果速報

     構造調整下における企業行動と労働面の対応に関する調査

     今後5年以内に事業の再構築を予定する企業は7割、再構築を行う上で

     「労働者の再教育・再訓練」及び「推進する人材の不足」が問題点の上位



発  表:平成13年8月10日(金)

担  当:厚生労働大臣官房統計情報部雇用統計課

                  電 話 03-5253-1111(内線7613,7615)

                      03-3595-3145(夜間直通)

〈調査の概要〉


 この調査は、構造調整が急速に進展している経済環境の下、既存事業の再編・再構

築、新規分野への事業参入など事業の再構築を通じて構造調整に対応した企業の動向、

それに伴う雇用その他の労働面の取組についての実態を総合的に把握したものである。

 調査対象は、9大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運

輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業)に属す

る常用労働者30人以上の民営企業のうち約4,500企業であり、平成12年8月

31日現在の状況について同年9月に調査を実施したものである。
 なお、有効回答数は3,596、有効回答率は79.9%であった。




〈調査結果の概要〉


【骨子】


I 労働者の状況


 5年前と比較した常用労働者の変動状況は「減少」が「増加」を上回る


 平成12年8月末現在の常用労働者数を5年前の平成7年と比べると、「ほぼ同じ」

 が40.1%であり、「増加」企業割合から「減少」企業割合を差し引いた値は

 −23.3ポイントである。(付属統計表第1−3表II 雇用調整措置等の実施状況


1 過去2年間に雇用調整を実施した企業は半数強、そのうち8割は継続予定


  平成10年9月から平成12年8月までの過去2年間に、何らかの雇用調整措置

 等を実施した企業は、52.5%と半数を超えているが、平成6年調査の60.8

 %と比べると、減少している。
  過去2年間に実施した何らかの雇用調整措置等を今後も引き続き実施するとする

 企業は、そのうち78.7%となっている。(付属統計表第2−1表2 実施割合の高い雇用調整措置等は「新規学卒者の採用削減・中止」と「残業規制」


  過去2年間の雇用調整措置等の内容(M.A.)は、「新規学卒者の採用削減・

 中止」(26.6%)及び「残業規制」(23.6%)の割合が高い。
  今後の雇用調整措置等の継続予定割合の高い措置は、過去2年間同様、「新規学

 卒者の採用削減・中止」、「残業規制」などであるが、過去2年間で17.7%で

 ある「希望退職者の募集・解雇」の継続予定割合は大きく低下している。(第2図、

 付属統計表第2−2表付属統計表第2−3表、参考情報:付属統計表第2−4表、

 付属統計表第2−5表3 雇用調整に伴う希望退職者及び解雇者数は規模の大きな企業で増加


  雇用調整に伴う1企業平均の希望退職者及び解雇者数は、21.1人と平成6年

 調査の20.9人とほぼ同数であるが、規模別にみると1,000人以上規模では

 191.9人と平成6年調査の130.3人に比べ増加し、産業別にみると、「金

 融・保険業」で70.9人と平成6年調査の5.9人に比べ大幅に増加している。

 (付属統計表第6−2表III 事業の再構築と労働面の対応


1 事業の再構築は8割の企業で実施、今後5年以内においても7割の企業で実施予

 定


  平成7年から平成12年8月までの過去5年間に事業の再構築を行った企業は

 78.4%と、平成6年調査の72.5%に比べると、5.9ポイント増加してお

 り、また、今後5年以内に事業の再構築を予定する企業は71.2%である。
  産業別にみると、過去5年間及び今後5年以内とも製造業(それぞれ89.7%、

 82.8%)の割合が最も高い。(付属統計表第7−1表付属統計表第7−2表2 事業の再構築を必要とする理由は、価格引下げ要求・国内競争激化・需要不振が

 多い


  事業の再構築を必要とする理由(M.A.)は、「顧客からの価格引下げ要求」

 (53.7%)、「国内製品、サービスとの競争激化」(53.3%)及び「市場

 の成熟化、需要不振」(49.5%)が上位3つである。

 (第4図付属統計表第8表3 再構築を行う上での問題点は人材関係が上位


  今後5年以内に事業の再構築を予定する企業のうち86.1%の企業が、事業の

 再構築を行う上で何らかの問題点があるとしている。
  問題点の内容(M.A.)をみると、「労働者の再教育・再訓練」(52.6%)

 が最も高く、次いで「推進する人材の不足」(49.9%)、「取引先企業との関

 係」(45.5%)などとなっている。(第5図付属統計表第9−1表4 「労働者の能力開発、再訓練」により人材・労働力の調達・調整を行う企業が半

 数強


  今後、事業の再構築を行う上で、何らかの人材・労働力の調達・調整を必要と考

 えている企業は85.6%となっており、具体的な人材・労働力の調達・調整方法

 (M.A.)の内容をみると、「労働者の能力開発、再訓練」(54.0%)が最

 も高く、次いで「配置転換」(37.7%)、「中途採用」 (34.3%)の順

 となっている。(第6図付属統計表第10−1表5 「事業の再構築」が雇用量に「増加に寄与」すると見込まれるのは「30〜99

 人規模」の企業


  今後5年以内に事業の再構築を予定する企業において、雇用量への影響を、「増

 加に寄与」とする割合から「減少に寄与」とする割合を差し引いたものでみると、

 2.4ポイントと増加に寄与するとする企業がわずかに多い。
  企業規模別にみると、1,000人以上規模では−21.5ポイント、100〜

 999人規模では−4.7ポイント、30〜99人規模では5.8ポイントと、規

 模が大きいほど減少に寄与している。
  産業別にみると、サービス業(10.9ポイント)、運輸・通信業(9.9ポイ

 ント)、卸売・小売業,飲食店(6.9ポイント)、不動産業(3.5ポイント)

 では増加に寄与し、それ以外の産業では、減少に寄与している。

 (付属統計表第11−1表IV 異業種・異分野への進出状況


1 過去5年間に異業種に進出した企業は13.7%、今後5年以内に進出予定の企

 業は8.1%


  過去5年間に異業種に進出した企業は13.7%、今後5年以内に進出を予定す

 る企業は8.1%となっている。また、過去5年間の進出実績を平成6年調査と比

 べると、1,000人以上規模では今回実績(20.2%)は前回実績(25.7

 %)より減少しているが、30〜99人規模では今回実績(13.3%)は前回実

 績(8.6%)より増加している。
  過去5年間に異分野に進出した企業は8.7%、今後5年以内に進出を予定する

 企業は6.7%となっている。(付属統計表第12−1表、

 付属統計表第12−2表付属統計表第13−1表付属統計表第13−2表2 進出する際、「専門的知識を身につけた人材の中途採用」や「研修等教育訓練の

 充実」などが労働面の課題


  異業種・異分野に進出した又は進出する予定の企業における、異業種・異分野に

 進出する際の労働面の課題(M.A.)は、「専門的知識を身につけた人材の中途

 採用」(53.6%)、「研修等教育訓練の充実」(42.9%)の順となってい

 る。(第7図付属統計表第15表)



 統計表等に用いてある符号の意味は、次のとおりである。
  「M.A.」は、複数回答を示すもので、構成比の合計は100.0を超える場合がある。
  「−」印は、該当数字が得られないものを示す。
 統計表中「*」印のついた数値は、サンプル数が少ないため、利用上注意を要する。




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