【九州】大手自動車メーカーの認証不正問題で自動車関連の生産が伸び悩み

地域シンクタンク・モニター定例調査

九州の2023年10～12月期の経済動向は、半導体関連や自動車関連が堅調で輸出や生産は回復傾向がみられたものの、消費は停滞しており【横ばい】。1～3月期の経済動向は、大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で、自動車関連の生産が伸び悩むとみて【悪化】としている。雇用動向は、10～12月期は有効求人倍率の低下や新規求人数の減少を理由に【やや悪化】としたが、1～3月期は人手不足感が強まるとみて【やや好転】としている。

＜経済動向＞

半導体関連や自動車関連は堅調に推移

九州地域のモニターは10～12月期の地域経済について「輸出や生産は回復傾向がみられた」ものの、「消費は調整から悪化局面が続いている」ことから判断を【横ばい】とした。

具体的には、地域別支出総合指数は消費が前年比マイナス1.2％、設備投資が同マイナス9.9％、住宅投資が同マイナス0.2％で、設備投資のマイナス幅の大きさが目立つ。

モニター作成の「九州地域景気総合指数」をみると、10月が前月比プラス2.9％、11月が同マイナス7.3％、12月が同マイナス1.8％となっている。

鉱工業生産指数は前期比プラス1.3％と2期ぶりに上昇した。半導体関連および自動車関連が堅調に推移した。当期の輸出額は前年比プラス13.1％で、13期連続で増加している。

鉱工業生産指数が3カ月続けて低下

1～3月期の見通しについては、大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で、「自動車関連の生産が伸び悩む」とみて全体としては【悪化】と判断した。

1月の鉱工業生産指数は前月比マイナス3.5％で、3カ月連続で低下している。自動車の生産停止が指数を大きく引き下げている。

消費現場のマインドを示す「景気ウォッチャー調査」の現状判断DIをみると、1月が51.7、2月が53.9となっており、いずれも節目の50を上回り、おおむね横ばいで推移している。

モニター作成の宿泊稼働指数をみると、1月は前月比マイナス13.5ポイント、2月は同プラス16.7ポイントとなっている。

＜雇用動向＞

新規求人数は4期連続で減少

雇用の実績（10～12月期）について、モニターは有効求人倍率や新規求人数が悪化傾向にあることを理由に【やや悪化】と判断した。当期の有効求人倍率は1.25倍で、前期から0.01ポイント低下。新規求人数は前期比マイナス0.8％で、4期連続で減少となった。パートタイムに限ってみても、同マイナス6.7％と3期連続で減少している。

1～3月期の見通しについては、「今期よりも人手不足で推移する」とみて【やや好転】と判断している。

日銀短観（12月調査）の3月時点の先行き雇用人員判断DIは、前期比3ポイント低下してマイナス45の「不足」超。業種別にみると、製造業がマイナス29（前期比4ポイント低下）、非製造業がマイナス54（同5ポイント低下）となっている。