【岩手】求人数は減少傾向だが強い人手不足感は継続

地域シンクタンク・モニター定例調査

岩手県の2023年10~12月期の経済動向は、プラスの指標もみられるものの、売上高の景況感が6期ぶりにマイナスに転じた。1~3月期の見通しも、個人消費は拡大傾向が続くと予想されるものの、生産活動や公共工事は一進一退の動きで業況判断はいずれも【横ばい】。雇用については、10~12月期は求人倍率の動きが鈍っていることから【やや悪化】と判断。1~3月期の見通しは、求人数は減少傾向にあるものの、企業の人手不足感が依然として強いことから【横ばい】としている。

<経済動向>

売上高の景況感が6期ぶりにマイナスに転じる

10~12月期の岩手県の経済指標をみると、小売業主要業態の販売額は、ドラッグストアやスーパーマーケットが牽引して拡大の動きが継続した。新車登録台数もプラスとなっている。

鉱工業生産指数は前期比3.3%低下した。新設住宅着工戸数は貸家がプラスとなったものの、持家と分譲がマイナスとなり前年を割り込んだ。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみると、当期の売上高BSIはマイナス15.5で前期から19.7ポイント悪化した。マイナスに転じるのは6期ぶり。モニターは背景に「物価の上昇による需要の停滞」があるとみている。経常利益BSIはマイナス15.5で前期から1.3ポイント改善した。

モニターはこれらの動きをもとに、10~12月期の業況判断を【横ばい】とした。

個人消費は拡大傾向も、生産活動は一進一退

同調査の先行きの業況判断BSIはマイナス40.0(現状比10.3ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業は現状比14.8ポイント低下のマイナス35.1と大きく悪化する見込みで、非製造業も同7.8ポイント低下のマイナス42.5。具体的には、運輸・サービス業は判断が上向くものの、建設業と卸・小売業はマイナス幅が拡大する見込みとなっている。

モニターは1~3月期の地域経済について、「個人消費は拡大傾向が継続すると予想される」ものの、「生産活動や公共工事は一進一退の動きになるとみられるほか、新設住宅着工戸数は弱含みの動きとなる公算が強い」と予想し、総合的な判断を【横ばい】とした。

<雇用動向>

有効求人倍率・新規求人倍率ともにやや悪化

10~12月期の雇用指標をみると、有効求人倍率は1.21倍(前期比0.02ポイント低下)、新規求人倍率は1.77倍(同0.06ポイント低下)で、いずれもやや悪化している。

新規求人数を業種別にみると、宿泊・飲食サービス業は給食業務を担う事業所からの求人が増加してプラスとなったが、公務と医療・福祉は前年の大口求人の反動を受けた。また、卸・小売業はスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンターなどで求人が減少している。

これらの動きをふまえて、モニターは10~12月期の雇用を【やや悪化】とした。

非製造業で人手不足感の強まりが

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行き判断をみると、マイナス31.0で現状(マイナス29.7)よりも不足感がやや強まる見通し。製造業は現状と同水準での推移が見込まれるが、非製造業は不足感が強まるとみられる。

1~3月期の見通しについては、求人数は減少傾向にあるものの、企業の人手不足感は引き続き強いことから【横ばい】とした。