【北陸】能登半島地震の影響で景況判断を下方修正

地域シンクタンク・モニター定例調査

北陸地域の2023年10~12月期の経済動向は、生産で全体的に一服感があることから【横ばい】となった。1~3月期は、能登半島地震を受けて企業の景況判断が下方修正されたことから【やや悪化】。雇用動向については、人手不足の状況が継続しているとして10~12月期実績、1~3月期見通しともに【横ばい】としている。

<経済動向>

生産は拡大の動きに一服感

北陸地域について、モニターは10~12月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

その理由として、需要面では「百貨店では化粧品等に動きがみられ、前年を上回っている」としたほか、「コンビニエンスストアは米飯類や飲料等に動きがみられ、堅調」ではあるものの、「ホームセンターは冬物用品の動きが鈍く、弱含んでいる」ことをあげた。

供給面は「足踏みの状況」。生産用機械は、繊維機械が拡大しているほか、半導体製造装置で持ち直しの動きがみられるものの、金属加工機械が横ばいの状況にあることなどから、全体では拡大の動きに一服感がみられる。金属製品は、大半を占めるアルミ建材で住宅用が弱まっているほか、ビル用は持ち直しに向けた動きが弱くなっている。繊維は、非衣料向けが緩やかに持ち直しつつあるものの、衣料向けは横ばいの状況にある。

景況判断が製造業・非製造業ともに大幅に悪化

北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、企業の景況判断はマイナス10.4の「下降」超で、前期から18.2ポイント悪化している。前回調査での1~3月見通しは0.9の「上昇」超だったが、能登半島地震の影響で下方修正した。

製造業・非製造業別にみると、製造業がマイナス13.7で前期比17.4ポイント悪化、非製造業がマイナス8.3で同18.7ポイント悪化となっている。業種別にみると、地震で大きな被害を受けた業種はマイナス幅が大きくなっており、農林水産業(マイナス100.0)、電気機械器具製造業(マイナス66.7)、宿泊業・飲食サービス業(マイナス42.9)などが目立つ。

こうしたことからモニターは、1~3月期の地域経済を【やや悪化】と判断した。

<雇用動向>

労働市場は引き続き「タイトな状況」

10~12月期の雇用動向について、モニターは「北陸3県の有効求人倍率は1.56倍で、前期と同水準にある。全国平均(1.28倍)と比較すると、北陸の労働市場は引き続きタイトな状況にある」「新規求人数は10月が前年比マイナス5.1%、11月が同マイナス6.1%、12月が同マイナス0.9%と、マイナス基調が続いている」と報告したうえで、判断を【横ばい】としている。

北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、3月末時点の従業員数判断BSIは32.7の「不足気味」超となった。業種別にみても、製造業が26.8、非製造業が36.6でいずれも「不足気味」超。規模別でも大企業が29.1、中堅企業が40.9、中小企業が31.2でいずれも「不足気味」超となっている。

モニターは1~3月期の雇用状況の見通しについて、「慢性的な人手不足からタイトな状況のまま」として判断を【横ばい】とした。