【福島】新卒・中途ともに採用に苦慮

地域シンクタンク・モニター定例調査

福島県の経済動向は、2023年10~12月期、2024年1~3月期ともに各種統計の動きから【横ばい】となった。雇用動向については、10~12月期は雇用統計をもとに【横ばい】、1~3月期も人手不足の状況が継続するとして【横ばい】となっている。モニター実施の調査によると、県内企業における採用活動では、新卒・中途ともに「希望者が集まらない」「求める人材からの応募がない」ことが課題となっている。

<経済動向>

実績、見通しともに横ばい

福島県のモニターは10~12月期の地域経済について、個人消費では「大型小売店等販売額および新車登録台数は前年同期を上回った」ことを報告。新車登録台数は、半導体の供給不足が改善したことで増加が続いている。投資については「公共投資と民間設備投資のいずれも前年同期を下回った」としている。鉱工業生産指数は前期比マイナス2.0%だった。

こうした動きをふまえ、モニターは全体では【横ばい】と判断した。

さらに1月の統計をみると、大型小売店等販売額は前年同期比プラス0.2%と横ばい。新車登録台数は前年同期比マイナス3.2%で13カ月ぶりにマイナスに転じている。新設住宅着工戸数は前年同期を下回ったが、建設着工(民間非居住用)工事費予定額は前年同期を上回っている。

こうしたことから、1~3月期の見通しについても【横ばい】としている。

<雇用動向>

人手不足の状況は今後も継続の見込み

10~12月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前年同期から2.7%増加した。有効求人倍率は1.37倍で前期(1.38倍)から横ばい。

判断については、「有効求人倍率はやや低下したものの1.3倍を上回り推移している」「雇用保険受給者実人員は前年を上回り推移したが、判断を変更する内容ではない」などとして【横ばい】と判断した。

1~3月期については、有効求人倍率は1月が1.30倍で前月から0.05ポイント低下。1月の雇用保険受給者実人員数は前年同月を2.4%上回っている。

モニターは「雇用保険受給者実人員数は前年を上回っており注視する必要はあるが、企業における人員・人材不足の状況は今後も継続するものとみられる」として【横ばい】と判断した。

新卒採用の最大の課題は「採用したくてもそもそも人が集まらない」

モニターは、2023年10月から11月にかけて県内企業に行ったアンケート調査の結果をもとに、企業における採用の課題を報告している。それによると、新規採用における課題では「希望者が集まらない」が35.6%で最も高く、次いで「求める人材からの応募がない」が34.2%となり、採用したくてもそもそも人が集まらないことが最大の課題となっている。

売上高別にみると、「1億円未満」の企業では「採用活動にコストがかけられない」が17.2%と高く、「コスト面で不安を抱えている企業が多いとみられる」という。一方、「50億円以上」の企業は「求める人材からの応募がない」が72.2%と突出しており、モニターは「高度専門人材などの採用・定着に苦心している様子がうかがえる」とコメントしている。

中途採用における課題では、「求める人材からの応募がない」が51.9%と最も高く、次いで「希望者が集まらない」が44.3%となっている。

業種別にみると、「求める人材からの応募がない」は専門的な知識・技能が必要とされる「医療・福祉」「運輸」で高い割合となっている。売上高別にみると、「求める人材からの応募がない」は「50億円以上」が83.3%、「5億円以上10億円未満」が74.6%、「10億円以上50億円未満」が60.0%と、売上高規模が大きい階層で回答割合が高い。一方、「採用活動にコストがかけられない」は売上高規模が小さい階層ほど回答割合が高くなっている。