大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で生産活動が停滞。雇用は人手不足感が緩和する地域も

地域シンクタンク・モニター定例調査

JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2023年第4四半期(10~12月期)の実績と2024年第1四半期(1~3月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは3月22日、モニターの一覧は表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(表2)を紹介する。

表1:地域シンクタンク・モニターの一覧
画像:表1

表2:各地域の経済動向および雇用動向
画像:表2

各地の2023年10~12月期の経済動向は「好転」が1地域、「やや好転」が1地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が1地域。個人消費は持ち直しもみられるが、物価高がマイナス要因となっているほか、暖冬の影響で冬物商品が伸び悩む地域もあった。生産は半導体関連や輸送機械の持ち直しを報告する地域もあった。

1~3月期見通しでは、「横ばい」が6地域、「やや悪化」が5地域、「悪化」が1地域。大手自動車メーカーの認証不正問題の影響から、鉱工業生産指数が悪化するなど、生産活動の停滞が多くの地域から報告された。

雇用動向については、10~12月期実績で「横ばい」が7地域、「やや悪化」が5地域だった。求人減少による人手不足感の緩和を報告する地域がある一方で、求人が減少しつつも人手不足は継続していると判断する地域もあった。

1~3月期見通しは「やや好転」が2地域、「横ばい」が8地域、「やや悪化」が2地域。1~3月期に前期実績より上向く見通しを示したのは北海道、岩手県、近畿、九州の4地域で、下向きの見通しを示した地域はなかった。

人手不足が継続するとみる地域が多い。北海道と宮城県のモニターからは半導体工場の建設計画が報告された。それによると、北海道庁は地域経済の活性化につなげたい考えだが、宮城県では人材確保難に拍車がかかることへの懸念もあるという。

なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り季節調整値である。