産業別、企業規模別にみた賃金
 ―令和5年賃金構造基本統計調査結果から―

ちょっと気になるデータ

厚生労働省から2024年3月27日に「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果が公表された。この中から産業別、企業規模別(注1)にみた賃金(注2)の結果を紹介する。

まず産業別に賃金をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が41万200円と最も高く、「学術研究,専門・技術サービス業」が39万6,600円、「金融業,保険業」が39万3,400円などとこれに次いでいる。一方、「宿泊業,飲食サービス業」は25万9,500円、「生活関連サービス業,娯楽業」は27万8,700円となっている。前年比をみると、「教育,学習支援業」以外のすべての産業で増加となっており、「サービス業」で6.4%増、「鉱業,採石業,砂利採取業」で5.6%増などと増加率が大きくなっている(図表1)。

次に企業規模別に賃金をみると、「大企業」が34万6,000円、「中企業」が31万1,400円、「小企業」が29万4,000円、前年比は、「大企業」が減少、「中企業」と「小企業」は増加となっている(順に0.7%減、2.8%増、3.3%増)(図表1)。

図表1:産業別、企業規模別にみた賃金、前年比(2023年)
画像:図表1

さらに、産業別・企業規模別にみた賃金の前年比(注3)をみると、どの企業規模においても増加しているのは「運輸業,郵便業」(大企業1.5%増、中企業5.5%増、小企業2.2%増)、「金融業,保険業」(同5.7%増、同3.2%増、同4.4%増)、「サービス業(他に分類されないもの)」(同9.1%増、同4.4%増、同2.2%増)となっている。また、「製造業」、「情報通信業」、「卸売業,小売業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「医療,福祉」では、大企業では減少、中小企業と小企業では増加となっている(図表2)。

図表2:産業別・企業規模別賃金の前年比(2023年)
画像:図表2
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注:2023年と2022年の実額(ともに第1表)から前年比をJILPTで計算。

[注1] 調査労働者の属する企業の全常用労働者数の規模。常用労働者1,000人以上が「大企業」、100~999人が「中企業」、10~99人が「小企業」に区分されている。

[注2] 「賃金」は、調査実施年6月分の所定内給与額の平均。「所定内給与額」は、労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(①時間外勤務手当、②深夜勤務手当、③休日出勤手当、④宿日直手当、⑤交替手当として支給される給与をいう。)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額。

[注3] 前年比は第1表(e-Stat(政府統計の総合窓口))に掲載されている産業別・企業規模別賃金の実額からJILPTで計算。

(調査部 統計解析担当)