【北陸】(北陸経済研究所)
石川・輪島の有効求人倍率が前年同月比0.36ポイント上昇で2倍超に
地域シンクタンク・モニター定例調査
北陸地域の2024年10~12月期の経済動向は、震災からの復旧需要もあり、消費は緩やかに回復しつつあるものの、生産活動は持ち直しに向けた動きに一服感があることから、モニターである北陸経済研究所は【横ばい】と判断した。1~3月期は、景況判断の動きをもとに【やや悪化】とした。雇用動向については、人手不足の状況が継続しているとして、10~12月期実績、1~3月期見通しともに【横ばい】としている。石川・輪島では能登半島地震後の公費解体の本格化に伴い解体作業員の求人が増加していることもあり、1月の有効求人倍率が前年同月比0.36ポイント上昇の2.02倍となった。
<経済動向>
ホームセンターで復旧需要がみられる
北陸地域について、モニターは10~12月期の地域経済を【横ばい】と判断した。その理由として、需要面が「緩やかに回復しつつある」ことをあげた。
小売の動向をみると、「百貨店」では外商を中心に高額品に動きがみられるものの、衣料品の動きが鈍いことから、前年を下回っている。「スーパーマーケット」は飲食料品に動きがみられ、前年を上回っている。「コンビニエンスストア」は米飯類等に動きがみられ、堅調となっている。
「ドラッグストア」は飲食料品等に動きがみられるほか、新規出店効果もあり、拡大している。「ホームセンター」は、被災家屋の復旧需要によりDIY用品に動きがみられることなどから順調。「家電大型専門店販売」は、エアコンや携帯電話に動きがみられ、持ち直しの動きとなった。
主要観光地の入込客数および主要温泉地の宿泊客数は前年を下回っているが、能登地域以外では北陸新幹線の敦賀延伸などの効果もあり、前年を上回っている。
新車販売は、持ち直しに向けた動きに一服感がみられる。
生産活動は持ち直しに向けた動きに一服感
供給面は、「持ち直しに向けた動きに一服感がみられる」という。
業種別の動きをみると、「化学」は大半を占める医薬品が緩やかに回復している。「電子部品・デバイス」は、スマートフォン向けや自動車向けで持ち直しに向けた動きに一服感がみられるほか、家電向けが弱まっていることなどから、全体では弱含み。「生産用機械」は、繊維機械が緩やかに持ち直しつつあるものの、半導体製造装置で持ち直しの動きに一服感がみられるほか、金属加工機械が弱含んでいることなどから、全体では弱含みとなっている。
「金属製品」は、大半を占めるアルミ建材で、住宅用が弱まっているものの、ビル用に持ち直しの動きがみられることから、全体では下げ止まっている。「繊維」は、衣料向けが弱含んでいるものの、非衣料向けが持ち直しつつあり、全体では緩やかに持ち直しつつある。
企業の景況感は中小企業で厳しい状況
北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、企業の景況判断はマイナス3.6の「下降」超で、前期から4.2ポイント悪化している。業種別にみると、製造業がマイナス4.8、非製造業はマイナス2.8で、いずれも「下降」超となっている。規模別にみると、大企業が2.2、中堅企業が0.0、中小企業がマイナス7.8と、中小企業で厳しい状況となっている。
こうした動きをもとにモニターは、1~3月の地域経済について【やや悪化】と判断した。
<雇用動向>
労働市場は引き続き「タイトな状況」
10~12月期の雇用動向について、モニターは「北陸3県の有効求人倍率は1.55倍で、前期から0.04ポイント上昇している。全国平均(1.25倍)と比較すると、北陸の労働市場は引き続きタイトな状況にある」「新規求人数は10月が前年比プラス5.2%とプラスに転じたものの、11月が同マイナス4.9%、12月が同マイナス7.6%で再びマイナス基調となった」と報告し、判断は【横ばい】とした。
石川・輪島で解体作業員の求人が増加
「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、3月末時点の従業員数判断BSIは34.0の「不足気味」超で、前期(34.1)から横ばいだった。業種別にみても、製造業が25.6、非製造業が40.0でいずれも「不足気味」超。規模別でも大企業が26.1、中堅企業が40.9、中小企業が35.4でいずれも「不足気味」超となっている。
1月の有効求人倍率を県別にみると、富山県は前月比0.01ポイント上昇の1.39倍(全国10位)、石川県は同0.03ポイント上昇の1.60倍(同3位)、福井県は同0.04ポイント低下の1.70倍(同2位)と、いずれの県も高水準となっている。
石川県・輪島では、就業地別の有効求人倍率(原数値)が前年同月比0.36ポイント上昇の2.02倍となった。能登半島地震後の公費解体の本格化に伴う解体作業員の求人増で、昨年9月から高水準が続いている。
これらの結果をもとにモニターは、1~3月期の雇用状況の見通しを【横ばい】と判断した。