【福島】(とうほう地域総合研究所)
ベースアップを実施する企業割合は約4割の見込み

地域シンクタンク・モニター定例調査

福島県の経済動向は、2024年10~12月期は公共投資が大幅に減少したほか、民間設備投資や住宅着工も減少していることなどから、モニターのとうほう地域総合研究所は【やや悪化】と判断した。1~3月期は、投資動向に持ち直しの兆しがみえつつあるとして【横ばい】となった。雇用動向については、10~12月期は、労働統計の動きをもとに【横ばい】とし、1~3月期も依然として多くの業種で人手不足感があることから、【横ばい】としている。モニターが実施した調査によると、2025年春にベースアップを実施する企業割合は前年より4.6ポイント低い41.6%だった。

<経済動向>

公共投資が前期比マイナス約46%の大幅減

10~12月期の地域経済を個人消費からみると、大型小売店販売額は前年同期比プラス0.2%となった。乗用車登録・届出台数(新車および中古車)は同マイナス3.6%で、4四半期連続で減少した。

公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前期比マイナス45.5%と大きく減少した。市町村や環境省で大幅に減少している。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が同マイナス9.2%となった。新設住宅着工戸数は同マイナス27.8%。

生産活動は、鉱工業生産指数が101.6で前期から0.2%低下した。

モニターはこれらの統計をもとに、10~12月期について【やや悪化】と判断した。

1月の統計をみると、大型小売店販売額は前年同期比マイナス0.2%と3カ月ぶりに減少に転じた。乗用車登録・届出台数は同プラス3.6%と6カ月ぶりに増加に転じた。

公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前期比プラス2.0%と増加した。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が前年同月比プラス272.4%で大幅な上昇となった。新設住宅着工戸数は同マイナス21.6%。

モニターは「消費動向では物価上昇による節約志向などから足元では弱さがみられるものの、投資動向は住宅を除けば持ち直しの兆しがみえつつある」ことから、1~3月期の見通しについて【横ばい】とした。

<雇用動向>

人手不足感はやや低下したが、依然、多くの業種で不足感

10~12月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前期から11.2%減少した一方で、有効求人倍率は低下しており、こうした動きもふまえて【横ばい】とした。

1~3月期については、有効求人倍率は1月が1.27倍で前月から0.03ポイント上昇した。雇用保険受給者実人員数は1月が前年同月比プラス1.0%で、2カ月連続で前年を上回っている。

モニターが実施した「県内景気見通し調査」から雇用過不足感をみると、不足感はやや低下したものの、依然として多くの業種で不足感があることから、モニターは「【横ばい】で推移する」と判断した。

賃上げ実施予定の企業割合は2024年並み

モニターが1月に県内企業に実施した調査によると、2025年春に賃上げを実施する予定の企業割合は78.1%(前年比マイナス1.3ポイント)で、うちベースアップ実施は41.6%(同マイナス4.6ポイント)だった。賃上げ全体では前年並みだが、ベースアップ実施はやや低下した。賃上げ率は前年より低下する見込み。