【東海】(OKB総研)
生産が低下したものの個人消費が堅調で経済は「横ばい」の判断。冬のボーナスは5%超の増加に

地域シンクタンク・モニター定例調査

7~9月期の東海地域の経済は、生産活動は弱い動きもみられたものの、個人消費は持ち直しており、モニターであるOKB総研は【横ばい】と判断した。10~12月期の見通しも、鉱工業生産指数は低下したものの、個人消費は引き続きプラスで推移していることから【横ばい】とした。雇用動向の7~9月期実績は、新規求人数が9月に10%近い減少となったものの、人手不足感が続いており【横ばい】とした。10~12月期見通しも統計の動きをもとに【横ばい】と判断している。愛知県経営者協会によると、冬のボーナスは前年比5%超の増加となった。

<経済動向>

鉱工業生産指数のマイナスは2期ぶり

7~9月期の経済動向からみると、生産は一部で弱い動きがみられた。当期の鉱工業生産指数は前期比マイナス0.7%で、2期ぶりに前期を下回った。生産用機械工業、汎用機械工業、輸送機械工業が前期を下回った一方、業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業は前期を上回った。

日銀短観(9月調査)での2024年度の設備投資額(計画)をみると、製造業・非製造業ともに増加の見込みとなっている。

ドラッグストア、ホームセンターなどの販売額が軒並みプラスに

個人消費は持ち直した。中部経済産業局管内5県(愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県)の当期の販売額をみると、ドラッグストア(前年同期比プラス6.3%)、ホームセンター(同プラス3.8%)、百貨店(同プラス2.3%)、家電大型専門店(同プラス2.1%)、スーパーマーケット(同プラス1.7%)、コンビニエンスストア(同プラス0.3%)のいずれも前年同期を上回った。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額は7月が前年同月比プラス8.5%、8月が同プラス2.3%だったが、9月は同マイナス10.0%と推移した。前年同月比がマイナスとなるのは2022年1月以来。

モニターは「物価高や大手自動車メーカーの認証不正問題、円安にともなう資材価格の高騰、人手不足などにより生産が低迷する一方、個人消費は賃上げの広がりにともない持ち直しており、景気は総じて緩やかに持ち直した」として、7~9月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

大型小売店販売額は前年同月比プラスで、景況指数の悪化もやわらぐ

10~12月期を分野別にみると、中部経済産業局管内5県の大型小売店販売額(11月)の前年同月比は、百貨店、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア、家電大型専門店のいずれもプラスだった。

モニターが作成する「OKB景況指数(12月期)」をみると、景気水準はマイナス4.4で前期(9月)から0.3ポイント悪化しているものの、低下幅は縮小している。

ただし景況判断は4期連続で「下降」超

東海財務局「法人企業景気予測調査」では、景況判断BSIは「下降」超幅は縮小したものの、4期連続で「下降」超となっている。企業規模別では大企業が3期連続の「上昇」超で、中堅企業は2期ぶりに「下降」超に転じた。中小企業は4期連続の「下降」超。業種別では製造業・非製造業ともに「下降」超となった。

モニター作成のOKB景況指数の生産活動は0.9で、前期から4.4ポイント上昇している。上昇は2期ぶり。

11月の鉱工業生産指数は106.3で前月比2.0%低下した。低下は3カ月ぶり。生産用機械工業が同1.0%上昇となったが、電子部品・デバイス工業は同5.0%低下、業務用機械工業が同3.0%低下となっている。

モニターは「景気は一部に弱めの動きもみられるが、総じて緩やかに回復している」として、10~12月期の見通しを【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

雇用情勢の改善ペースは緩やか

雇用の実績(7~9月期)について、有効求人倍率をみると当期は1.24倍で、前期(1.25倍)から横ばい。新規求人数は7月が前年同月比マイナス1.5%、8月が同マイナス1.1%、9月が同マイナス9.5%と、9月に大きく減少した。

モニターはこれらの動きをふまえつつ、「企業の人手不足感が続くなか、雇用情勢は改善の動きが続いているが、そのペースは緩やか」として判断を【横ばい】とした。

3カ月前よりも従業員の「不足気味」超幅がやや拡大

東海財務局「法人企業景気予測調査」によると、12月末時点の従業員数判断BSIは34.5の「不足気味」超で、9月末(31.3)から「不足気味」超幅がやや拡大している。規模別、業種別のいずれも「不足気味」超の状況。

モニター作成の「OKB景況指数(12月期)」をみても、雇用は71.6の大幅な「不足」超の状況で、前期(72.8)から横ばいとなっている。

有効求人倍率は11月が1.25倍(前月比プラス0.01ポイント)で、横ばいでの推移が続いている。

モニターはこうした動きもふまえて、10~12月期の見通しについても【横ばい】と判断した。

冬のボーナスは製造業で6%超の増加、非製造業は4%弱

愛知県経営者協会の「2024年年末賞与交渉状況報告」によると、会員企業のうち昨年12月27日までに妥結を確認した180社の平均額は71万6,178円(2.45カ月)で、前年比プラス3万8,429円(プラス5.64%)と大きく増加した。業種別にみると、非製造業が前年比プラス3.87%に対し、製造業は同プラス6.24%となった。