【九州】(九州経済調査協会)
生産活動は横ばいの動き。雇用はパート求人が減少も人手不足感は変わらず

地域シンクタンク・モニター定例調査

九州の7~9月期の経済動向は、生産活動が横ばいの動きとなっており、モニターである九州経済調査協会は【横ばい】と判断した。10~12月期は、鉱工業生産指数の動きや宿泊稼働の低下から【やや悪化】としている。雇用動向は、7~9月期はパートタイムの新規求人数が減少していることなどを理由に【やや悪化】としたが、10~12月期は人手不足感がおおむね横ばい圏で推移するとみて【横ばい】としている。

<経済動向>

輸出は16期連続で増加したが生産は横ばい

九州地域のモニターは7~9月期の地域経済について「輸出は16期連続で増加しているが、景況や生産などは横ばいとなっている」ことから判断を【横ばい】とした。

鉱工業生産指数は前期比マイナス0.8%と2期ぶりに低下した。半導体関連や自動車関連などの主要産業をはじめ、多くの業種でほぼ横ばいとなった。

モニター作成の「九州地域景気総合指数」をみると、7月が前月比マイナス2.8%、8月が同プラス0.8%、9月が同プラス5.1%と推移した。

九州経済圏(九州・沖縄・山口)からの当期の輸出額は前年比プラス3.9%で、16期連続で増加した。認証不正問題の影響で自動車(前年比マイナス2.4%)が悪化した一方、半導体等電子部品(同プラス28.6%)や船舶類(同プラス36.0%)などで好調な推移が続いている。

鉱工業生産指数が2カ月連続で低下

10~12月期の見通しについては、景気判断や観光関連、生産の指数の動きをもとに【やや悪化】と判断した。

11月の鉱工業生産指数は前月比マイナス4.1%で、2カ月連続で低下した。自動車関連の生産指数が同マイナス7.1%と、これまで続いていた生産回復が一服し、各種部品にも影響した。

消費現場のマインドを示す「景気ウォッチャー調査」の現状判断DIをみると、10月が47.8、11月が50.4、12月が50.1となっており、平均では49.4で目安となる50.0を下回った。

モニター作成の宿泊稼働指数をみると、10月は前月比マイナス2.6ポイント、11月は同マイナス0.6ポイント、12月は同プラス0.2ポイントとなっており、前期と比べると指数が低下している。

<雇用動向>

パートタイムの新規求人数が7.5%減少

雇用の実績(7~9月期)について、モニターは有効求人倍率や新規求人数、完全失業率の動きもふまえて【やや悪化】と判断した。

当期の有効求人倍率は1.18倍で、前期比0.01ポイント低下した。新規求人数は同プラス2.8%だが、パートタイムに限ってみると同マイナス7.5%と減少している。完全失業率(原数値)は2.9%で、前年同期から変化がなかった。

一方、10~12月期の見通しについては「おおむね【横ばい】圏で推移する」とみている。

日銀短観(9月調査)の12月時点の先行き雇用人員判断DIは、前期比5ポイント低下してマイナス45の「不足」超。業種別にみると、製造業がマイナス29(前期比3ポイント低下)、非製造業がマイナス53(同5ポイント低下)となっている。