【九州】自動車関連の生産が伸び悩む見通し

地域シンクタンク・モニター定例調査

九州の7~9月期の経済動向は、鉱工業生産指数が2期ぶりに低下するなど生産活動が悪化局面に転じていることから【やや悪化】としている。10~12月期の経済動向は、消費に持ち直しの動きがみられるが、生産活動は一進一退の状況で【横ばい】。大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で、12月以降は自動車関連の生産が伸び悩む見込み。雇用動向は、7~9月期は有効求人倍率の低下や新規求人数の減少を理由に【やや悪化】とした。10~12期は人手不足感が続くとみて【横ばい】としている。

<経済動向>

生産活動が調整局面から悪化に転じる

九州地域のモニターは7~9月期の地域経済について「地域別支出総合指数が消費や生産で悪化している」ことや、「生産は調整から悪化局面に転じている」ことから判断を【やや悪化】とした。

具体的には、地域別支出総合指数は消費が前年比マイナス1.7%、設備投資が同マイナス10.1%、住宅投資が同プラス5.5%で、設備投資のマイナス幅の大きさが目立つ。

モニターが作成している「九州地域景気総合指数」をみると、7月が前月比マイナス3.0%、8月が同プラス3.0%、9月が同マイナス1.2%となっている。

鉱工業生産指数は前期比マイナス3.2%と2期ぶりに低下した。半導体関連が引き続き調整局面となっているほか、自動車関連は上昇に一服感がある。

認証不正問題で自動車関連の生産が伸び悩むか

10~12月期の見通しについては、「宿泊業や生産は10月~11月は好調だったものの、12月に低下へ転じる指標が多かった」ことをふまえ、全体としては【横ばい】と判断した。なお、九州に複数の製造拠点を持つ大手自動車メーカーによる認証不正問題の影響については「自動車関連の生産が伸び悩むとみられる」とコメントしている。

鉱工業生産指数は10月が前月比プラス4.1の106.6で4カ月ぶりに上昇した。しかし11月は同マイナス3.3%で一進一退の状況。

消費現場のマインドを示す「景気ウォッチャー調査」の現状判断DIをみると、10月が52.7、11月が52.5、12月が55.2となっており、いずれも節目の50を上回り、消費は「持ち直しの動きがみられる」。

モニター作成の宿泊稼働指数をみると、10月は前月比プラス9.9ポイント、11月は同プラス7.3ポイントと、高い水準での推移が続いたものの、12月は同マイナス15.7ポイントと悪化した。

<雇用動向>

パートタイムの新規求人数が2年半ぶりに減少

雇用の実績(7~9月期)について、モニターは有効求人倍率や新規求人数が悪化傾向にあることを理由に【やや悪化】と判断した。当期の有効求人倍率は1.25倍で、前期から0.05ポイント低下。新規求人数は前期比マイナス0.6%と、3期連続で減少した。パートタイムに限ってみても、同マイナス2.9%で10期ぶりに減少している。

10~12月期の見通しについては、「人員の不足感は前期からほぼ同水準で推移するとみられる」ことから【横ばい】を選択している。

日銀短観(9月調査)の12月時点の先行き雇用人員判断DI(「過剰」―「不足」)はマイナス42で、前期比マイナス2ポイントと小幅な動きとなっている。業種別にみても、製造業がマイナス27(前期比3ポイント低下)、非製造業がマイナス50(同3ポイント低下)となっており、いずれも前期からの動きが小さい。