【福島】400人超を雇用する福島市の工場が閉鎖へ

地域シンクタンク・モニター定例調査

福島県の経済動向は、7~9月期、10~12月期ともに各種統計の動きから【横ばい】となった。雇用動向については、7~9月期は雇用統計をもとに【横ばい】、10~12月期も人手不足の状況が継続するとして【横ばい】となっている。モニターによると、従業員400人超を雇用する福島市内の工場の閉鎖が発表され、地域経済への影響が懸念されているという。

<経済動向>

実績、見通しともに横ばい

福島県のモニターは7~9月期の地域経済について、個人消費では「大型小売店等販売額および新車登録台数は前年同期を上回った」ことを報告。新車登録台数は半導体の供給不足が改善して増加が続いている。投資については「公共投資と民間設備投資のいずれも前期を下回った」としている。鉱工業生産指数は前期比プラス1.9%と小幅な動き。こうしたことからモニターは、全体では【横ばい】と判断した。

さらに、10~11月の統計をみると、大型小売店等販売額および新車登録台数は前年同期を上回っている。新設住宅着工戸数と建設着工(民間非居住用)工事費予定額も前年同期を上回っているが、「工場や大型マンション建設といった単発的な投資の影響が強く、今後は減少傾向が続く」と予想されるほか、「物価上昇や賃上げ動向など不透明な要素も多い」。このため、10~12月期の見通しについても【横ばい】としている。

<雇用動向>

人手不足の状況は今後も継続

7~9月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前年同期から4.4%減少した。有効求人倍率は1.37倍で前期(1.40倍)から小幅に低下した。判断については、「有効求人倍率はやや低下したものの1.3倍を上回り推移している」「雇用保険受給者実人員も前年を下回り推移し大きな変動はない」として【横ばい】とした。

10~12月期については、有効求人倍率は10月、11月ともに1.41倍で7~9月期と比べると上昇している。雇用保険受給者実人員数は10月、11月ともに前年同月を上回っている。モニターは「雇用保険受給者実人員数は前年を上回っており注視する必要はあるが、企業における人員・人材不足の状況は今後も継続するものとみられる」として【横ばい】と判断した。

工場の閉鎖で地域経済に懸念

パナソニックホールディングス傘下のパナソニックコネクトは、福島市内の工場を2025年5月末で閉鎖すると発表した。従業員約450人(うち地元雇用約300人)の雇用については、今後協議に入る。同工場では、これまでオーディオ関連やデジカメを生産してきたほか、アグリ事業として工場内での野菜の生産にも取り組んでいた。モニターは「地元の雇用を担ってきた工場の閉鎖で、地域経済への影響が懸念されている」とコメントしている。