新型コロナの5類移行で個人消費や観光が回復。雇用は強い人手不足感が継続するなか、有効求人倍率が低下する地域も

地域シンクタンク・モニター定例調査

JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2023年第3四半期(7~9月期)の実績と2023年第4四半期(10~12月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは1月26日、モニターの一覧は表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(表2)を紹介する。

表1:地域シンクタンク・モニターの一覧
画像:表1

表2:各地域の経済動向および雇用動向
画像:表2

各地の7~9月期の経済動向は「やや好転」が3地域、「横ばい」が7地域、「やや悪化」が1地域、「悪化」が1地域。新型コロナの5類移行による行動制限の解除を背景に、個人消費の増加や観光客の回復が多くの地域から報告されたほか、猛暑が食品や飲食にプラスに寄与したとの声もあった。生産は部品不足の緩和による持ち直しも報告されたが、半導体関連は調整局面で低調となっている。

10~12月期見通しでは、「やや好転」が1地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が2地域。個人消費の持ち直しが続いているものの、サービス業では人手不足による事業への支障もみられる。生産は輸送機械が上向きとする地域もあったが、九州では大手自動車メーカーの認証不正問題の影響で12月以降は伸び悩む見通し。北陸は当期の観光・旅客関連が上向きだが、1月以降は地震の影響が懸念される。

雇用動向については、7~9月期実績で「横ばい」が10地域、「やや悪化」が2地域だった。求人の減少と求職者の増加により、有効求人倍率の低下を報告する地域もみられたものの、依然として強い人手不足感が続いている。こうしたなか、中途採用を強化する動きもみられる。

10~12月期見通しは「やや好転」が1地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が2地域。10~12月期に前期実績より上向く見通しを示したのは岩手県、九州の2地域で、下向く見通しを示したのは近畿のみとなっている。なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り季節調整値である。