トップページ






【T 団体交渉等労使間の話合いの状況】





1 労使間の話合いの状況



(1)労使間の話合いの状況



   過去3年間(平成6年7月1日から平成9年6月30日までをいう。)において行われ

  た労働組合(以下「組合」という。)と使用者(使用者団体を含む。以下同じ。)

  との間の話合いの状況を、事項別にみると、「何らかの話合いがもたれた」組合の

  割合は、「労働時間」に関する事項が86.4%と最も多く、次いで、「賃金」に関す

  る事項の81.4%、「雇用・人事」に関する事項の77.4%、「職場環境」の73.1%、

  「福利厚生」の66.8%の順となっている。

   話合いの事項を細かくみると、「労働時間」に関する事項では、「休日・休暇 

  (週休二日制、連続休暇を含む)」(70.9%)、「所定外・休日労働時間」(68.3

  %)、「所定労働時間」(66.0%)のいずれも7割程度の労働組合で話合いが行わ

  れている。

   「賃金」に関する事項では、「賃金額(基本給・諸手当・賞与・一時金)の改 

  定」が77.1%と8割弱の組合で話合いが行われており、「賃金制度」(66.1%)、

  「退職金(退職年金を含む)」(53.4%)についても半数以上の組合で話合いが行

  われている。

   「雇用・人事」に関する事項では、「配置転換・出向」(50.8%)、「採用・増

  員」(49.5%)で5割の組合が話合いを行っている(第1図付属統計表第2表-1

  )。



   前回調査結果(平成元年7月1日から平成4年6月30日までについて平成4年に実

  施。以下同じ。)と比較すると、「包括的労働協約の新規締結・更新・改定」、 

  「雇用・人事」に関する事項の中の「希望退職者の募集・解雇基準」、「配置転 

  換・出向」や「労働協約の解釈・疑義」、「職場環境」などについて、何らかの話

  合いがもたれた組合の割合が上昇している(第1表)。



(2)労使間の話合いの場



   過去3年間において行われた話合いの状況を、話合いの場別にみると、「団体交

  渉」で話合いを行った組合の割合は「賃金」に関する事項が59.8%と最も多く、 

  「労働時間」に関する事項(48.1%)、「雇用・人事」に関する事項(34.6%)が

  それぞれ1割程度の差で続き、以下「育児休業制度・介護休業制度」(23.8%)、

  「福利厚生」(21.1%)、「職場環境」(20.2%)の順となっている。

   これに対し、「労使協議機関」では「雇用・人事」に関する事項(49.9%)が最も

  多く、「労働時間」に関する事項(48.1%)、「職場環境」(44.7%)、「福利厚 

  生」(41.4%)、「賃金」に関する事項(40.6%)が4割台で続いている。

   なお、「苦情処理機関」で話合いを行った組合はいずれの事項についても少なく

  なっている。

   次に、事項別にどのような場で話合いが行われているかをみると、「賃金」に関

  する事項については団体交渉の場で話合いを行っている組合が多く、「労働時間」

  に関する事項、「育児休業制度・介護休業制度」では団体交渉と労使協議機関で同

  程度の組合が話合いを行っており、「雇用・人事」に関する事項、「職場環境」な

  どそれ以外の事項では労使協議機関で話合いを行う組合が多くなっている(第2図、

  付属統計表第2表-1)。



(3)労使協議機関の設置状況



   使用者との間に「労使協議機関がある」という組合の割合は78.1%、「労使協議

  機関がない」組合が21.9%となっている。これを労働組合員規模(以下「組合員数

  規模」という。)別にみると、おおむね組合員数規模の大きい組合ほど「労使協議

  機関がある」組合の割合が高くなっている(第2表)。



(4)労使協議機関の有無別にみた話合いの状況



   労使協議機関のある組合での話合いの状況を事項別にみると、「賃金」に関する

  事項(特に「賃金(基本給・諸手当・賞与・一時金)の改定」)では団体交渉の場

  で話合いを行う組合が多い。これに対し、それ以外の事項では労使協議機関の場で

  話合いを行う組合が多くなっており、特に「雇用・人事」に関する事項、「職場環

  境」、「健康管理」、「福利厚生」、「経営方針」に関する事項では労使協議機関

  での話合いが団体交渉を大きく上回っている。

   なお、話合いの場に関するこうした傾向は「重点的話合い」の場(複数の場で話

  合いが行われた場合には特に重点的に話合いが持たれた一つの場を選択したもの。

  )についてみた場合についてもほぼ同様な状況となっている。

   一方、労使協議機関のない組合では、各事項とも団体交渉の場で話合いを行った

  組合が他の話合いの場より多くなっている。また、労使協議機関のない組合での団

  体交渉による話合いの実施割合は、概ね各事項とも労使協議機関のある組合での団

  体交渉の実施割合を上回っているが、労使協議機関での話合いの実施割合との比較

  では「賃金」に関する事項を除いて下回っている(第3図付属統計表第2表-2、

  付属統計表第2表-3)。



(5)労使協議機関と団体交渉との取扱い事項の区別



   労使協議機関を設置している組合のうち、労使協議機関と団体交渉との取扱い事

  項を「区別している」組合は85.6%となっている。

   労使協議機関と団体交渉との取扱い事項の区別方法としては、「対象事項によっ

  て区別している」が70.8%と最も多く、「労使協議機関で先に取り扱い、必要

  に応じて団体交渉に移行している」が41.4%とこれに次いでおり、「争議行為

  への移行の可能性の有無によって区別している」(9.0%)、「その他の方法に

  よって区別している」(4.3%)は少なくなっている(第3表)。



(6)今後重視する労使間の諸課題の解決手段



   労使間の諸課題を解決する手段として今後重視するものは、「労使協議機関」が

  50.5%、「団体交渉」が41.6%とこの両者をあげる組合が9割を占めるが、労使協

  議機関を重視する組合が団体交渉を重視する組合をやや上回っている。なお、「苦

  情処理機関」(1.0%)、「争議行為」(0.6%)をあげる組合は少なくなっている。

   これを労使協議機関の有無別にみると、「労使協議機関がある」組合では、「労

  使協議機関」60.9%、「団体交渉」34.0%と労使協議機関を重視する組合の割合が

  高くなっている。一方、「労使協議機関がない」組合では、「団体交渉」(68.6 

  %)をあげる組合が約3分の2を占めているが、「労使協議機関」をあげる組合も

  13.4%みられる(第4図付属統計表第3表)。



(参考)付属統計表第1表 労働組合の種類、企業外上部組織・企業内上部組織・同一

    事業所内の別組合の有無・労使協議機関・苦情処理機関の有無別労働組合の割合



2 団体交渉の状況・手続



(1)団体交渉の実施割合



   過去3年間に使用者との間で「団体交渉を行った」組合の割合(以下「団体交渉

  実施割合」という。)は、65.1%となっており、前回調査における実施割合(79.

  3%)と比べると、14.2ポイント減少している。

   団体交渉実施割合を企業内上部組織の有無別にみると、「企業内上部組織のある

  組合」では50.0%、「企業内上部組織がない組合」では80.5%となっている。

   産業別にみると、サービス業(78.8%)が最も高く、次いで、不動産業(77.1%)、

  運輸・通信業(70.0%)、鉱業(69.5%)の順となっており、金融・保険業(35.4%)が

  最も低くなっている。

   組合が属する企業の規模(以下「企業規模」という。)別にみると、おおむね企

  業規模が小さい組合ほど実施割合は高く、団体交渉実施割合は企業規模5,000人以

  上では41.0%であるのに対し、企業規模30〜99人では84.4%と高くなっている(

  第5図付属統計表第4表)。



(2)団体交渉の頻度



   過去3年間に「団体交渉を行った」組合における団体交渉の1年平均の回数は、 

  「5〜9回」が最も多く40.2%、次いで、「4回以下」32.5%、「10〜19回」20.7%、

  「20回以上」6.6%の順となっている。(第4表付属統計表第4表)。



(3)団体交渉の所要時間



   過去3年間に「団体交渉を行った」組合について、団体交渉の1回平均の所要時間

  数をみると、「1時間〜2時間未満」51.7%、「2時間〜4時間未満」25.7%、「1時

  間未満」16.7%、「4時間以上」6.0%の順となっている(第5表)。



(4)団体交渉の形態



   「団体交渉を行った」組合の交渉形態をみると、「当該労働組合のみで交渉」が

  88.6%で、「企業内上部組織と一緒に交渉」14.8%、「企業外上部組織(産業別組

  織)と一緒に交渉」6.1%、「企業外上部組織(地域別組織)と一緒に交渉」1.9%

  を大きく上回っている。

   企業内上部組織の有無別にみると、「企業内上部組織あり」では「当該労働組合

  のみで交渉」が77.0%、「企業内上部組織と一緒に交渉」が38.2%となっている。

  これに対して、「企業内上部組織なし」では「当該労働組合のみで交渉」が95.9%

  と高くなっている。

   また、企業外産業別上部組織がある組合で「企業外上部組織(産業別組織)と一

  緒に交渉」する組合は9.1%、企業外地域別上部組織がある組合で「企業外上部組

  織(地域別組織)と一緒に交渉」する組合は3.3%となっている(第6表)。



(5)団体交渉を行わなかった理由



   過去3年間に「団体交渉を行わなかった」組合(全体の34.9%)について、その

  理由をみると、「上部組織が団体交渉を行うことになっているから」が最も多く5

  3.2%、次いで、「労使協議機関で話合いができたから」が35.4%となっている。

   これを企業内上部組織の有無別にみると、企業内上部組織のある組合では「上部

  組織が団体交渉を行うことになっているから」が72.8%と大半を占め、「労使協議

  機関で話合いができたから」は20.4%となっている。

   これに対し、企業内上部組織のない組合では「労使協議機関で話合いができたか

  ら」が74.7%となっている(第7表付属統計表第4表)。



(6)開始手続



   使用者側との間で、団体交渉の開始手続について「取り決めている」組合の割合

  は75.5%となっている。これを組合員数規模別にみると、規模5,000人以上が90.5

  %と最も高く、おおむね規模が小さくなるほど「取り決めている」割合は低くなっ

  ている。

   労使協議機関の有無別にみると、労使協議機関のある組合の「取り決めている」

  割合は80.3%で、労使協議機関のない組合の58.3%を大幅に上回っている。

   団体交渉の開始手続について「取り決めている」組合について、その内容をみる

  と、「事前通知を経た後」56.2%、「事前打合せを経た後」39.7%、「労使協議を

  経た後」25.6%の順となっている。労使協議機関がある組合でみても、この順位は

  変わらない(第8表)。



(7)交渉委員



  1.使用者側との間で、団体交渉の組合側の交渉委員について「取り決めている」

   組合の割合は79.9%となっている。

    「取り決めている」組合について、交渉委員の内容をみると、「組合三役」8

   4.5%、「組合三役以外の組合役員」59.4%とする組合が大半を占めている。

    これを企業内上部組織の有無別にみても、いずれも「組合三役」、「組合三役

   以外の組合役員」の割合が高くなっているが、企業内上部組織がある組合では 

   「企業内上部組織役員」の割合も26.7%と高くなっている(第9表)。



  2.団体交渉の使用者側の交渉委員について「取り決めている」組合の割合は74.8

   %となっている。「取り決めている」組合について、交渉委員の内容をみると、

   「関係役員」75.2%、「関係部課長」43.9%、「社長」43.7%の順となっている。

    これを企業内上部組織の有無別にみると、企業内上部組織がある組合では、 

   「関係役員」65.8%に次いで「関係部課長」52.5%が多くなっているが、企業内

   上部組織がない組合では、「関係役員」84.3%に次いで半数強の組合52.8%が 

   「社長」を交渉相手としている(第10表)。



(8)合意に達した場合の措置



   団体交渉あるいは労使協議機関で合意に達した場合、通常どのような措置をとっ

  ているかをみると、団体交渉の場合は「労働協約の締結」を行う組合の割合が49.2

  %と約半数を占め、次いで、「労働協約ではない文書の作成」22.0%、「就業

  規則の中に採り入れている」10.4%の順になっており、「何もしていない」が

  10.8%となっている。

   一方、労使協議機関で合意に達した場合は、「労働協約の締結」(33.0%)

  と「労働協約ではない文書の作成」(32.4%)とほぼ同じ割合となっており、

  次いで、「就業規則の中に採り入れている」が15.1%となっている(第6図)。







【U 労働争議】



1 労働争議・争議行為の状況



(1)労働争議の発生状況



   過去3年間に労働組合と使用者との間で「労働争議があった」組合の割合は12.

  8%で、前回調査の16.5%と比べ3.7ポイントの低下となっている。

   「労働争議があった」組合の割合を産業別にみると、サービス業の20.2%、

  運輸・通信業の15.1%が高く、鉱業(4.4%)、電気・ガス・熱供給・水道

  業(3.2%)が低くなっている。

   これを組合員数規模別にみると、30〜99人規模14.3%、100〜299人規模11.

  8%、300〜499人規模11.7%、500〜999人規模11.8%、1,000〜4,999人規模

  5.1%などと、おおむね規模の小さい組合ほどその割合は高くなっている(第7図、

  付属統計表第5表)。



(2)争議行為の発生状況



   過去3年間に「争議行為があった」組合の割合は8.0%(「労働争議があっ 

  た」組合の62.0%)で、前回調査の10.0%と比べ2.0ポイントの低下と

  なっている。

   「争議行為があった」組合の割合を産業別にみると、サービス業が13.7%と

  最も高く、次いで、不動産業11.4%、製造業8.5%、運輸・通信業7.9%

  などの順となっている。

   これを組合員数規模別にみると、30〜99人規模9.7%、500〜999人規模7.0%、10

  0〜299人規模6.8%、300〜499人規模4.8%、1,000〜4,999人規模1.2%などと、労

  働争議と同様おおむね規模の小さい組合ほどその割合が高くなっている(第7図、

  付属統計表第5表)。



(3)労働争議での紛争事項



   「労働争議があった」組合について、その紛争事項をみると、「賃金」に関する

  事項とする組合の割合が87.0%と最も高く、次いで、「雇用・人事」に関する事項

  29.4%、「労働時間」に関する事項28.8%、「福利厚生」11.2%、「経営方針」に

  関する事項10.5%の順となっている。

   「賃金」、「雇用・人事」、「労働時間」に関する事項を更に詳しくみると、 

  「賃金」に関する事項については、「賃金額(基本給・諸手当・賞与・一時金)の

  改定」78.3%、「賃金制度」39.0%の順となっている。「雇用人事」に関する事項

  については、「定年制(勤務延長・再雇用を含む)」9.6%、「配置転換・出向」9

  .2%の順、「労働時間」に関する事項については、「所定労働時間」16.3%、「休

  日・休暇(週休二日制、連続休暇を含む)」15.1%、「所定外・休日労働時間」1

  3.7%の順となっている(第11表)。



(4)争議行為の態様



   「争議行為があった」組合の争議行為の態様をみると、「同盟罷業(ストライ 

  キ)」が73.8%(そのうち、「全面スト」45.5%、「部分スト」34.2%)が大半を

  占め、「時間外・休日労働拒否」51.4%が次いでいる。

   前回調査(平成4年)と比較すると、「同盟罷業(ストライキ)」の割合は増加

  しているが、それ以外の態様の割合はいずれも低下している(第8図)。



(5)労働争議の結果



   過去3年間に「労働争議があった」組合の労働争議の結果についてみると、全部

  又は一部の労働争議が解決した組合の割合は96.2%であり、解決の方法をみると 

  「自主交渉」72.0%、「労働組合の企業外上部組織(産業別組織)の関与」14.2%、

  「労働組合の企業内上部組織の関与」13.4%等となっている。なお、全部又は一部

  の労働争議が未解決であった組合の割合は11.1%であり、未解決の労働争議の状況

  は「交渉中断」とする組合が6.1%、「交渉中」とする組合が6.0%となっている 

  (第12表)。



(6)争議行為のなかった理由



   過去3年間に「労働争議があった」ものの「争議行為がなかった」組合について、

  「争議行為がなかった」理由をみると、「自主交渉で解決する見込みがあったた 

  め」とする組合の割合が61.1%と最も高く、次いで、「労使双方とも紛争事案の平

  和的解決に向け努力することになっているため」53.1%、「争議行為実現による社

  会的影響、批判を考慮したため」23.2%、「争議行為をしても成果が得られないと

  判断したため」20.4%などとなっている(第9図)。







2 争議行為の手続



(1)争議行為開始の際の予告



   争議行為開始の際、使用者に対する予告について使用者側との間で「取り決めて

  いる」組合の割合は64.1%になっている。予告について「取り決めている」組合に

  ついて、その取決めの根拠をみると、「労働協約」とする組合の割合が73.7%、 

  「労使慣行」14.8%、「労働協約以外の文書」11.3%となっている。

   予告方法をみると、「文書」とする組合の割合が93.3%、「口頭」が6.3%とな

  っている。

   予告内容をみると、「日時又は期間」とする組合の割合が93.9%と最も高く、次

  いで「目的」79.6%、「態様」60.9%、「参加人数」60.7%の順となっている。

   さらに予告期間の取決め状況をみると、「24時間を超え48時間以内」とする組合

  の割合が26.9%と最も多く、次いで「24時間以内」17.4%、「2日を超え3日以内」

  16.2%の順となっており、「期間の定めなし」が20.7%となっている(第13表)。



(2)争議行為開始の際の予告以外の一定の要件



   争議行為開始の際の予告以外の要件について使用者側との間で「取り決めてい 

  る」組合の割合は36.2%となっている。

   予告以外の要件について「取り決めている」組合について、その取決めの根拠を

  みると、「労働協約」とする組合の割合が83.3%と大半を占め、「労使慣行」が8.

  8%、「労働協約以外の文書」が7.9%となっている(第14表)。

   また、その内容をみると、「団体交渉を経た後」が71.2%が最も多く、次いで 

  「労使協議機関を経た後」28.2%、「労働委員会の調整を経た後」15.9%の順とな

  っている(第15表)。



(3)争議行為不参加者の範囲



   争議行為不参加者の範囲について、使用者側との間で「取り決めている」組合の

  割合は42.4%となっている。

   「取り決めている」組合について、取決めの根拠をみると、「労働協約」とする

  組合の割合は80.7%、「労使慣行」11.7%、「労働協約以外の文書」7.4%となってい

  る(第16表)。

   また、その内容をみると、「職種により範囲を取り決めている」が85.4%と

  多く、「人数により範囲を取り決めている」は15.8%となっている。

   取り決めを行っている具体的な職種をみてみると、「保安・安全・警備要員」6

  8.7%、「電算機保守・管理要員」31.3%、「経理要員」27.2%などとなっている(

  第17表)。







                                    TOP

                                  トップページ