タイトル:平成9年団体交渉と労働争議に関する実態調査結果速報

     ・「賃金」は団体交渉、「雇用・人事」などは労使協議を中心に話合いを実施

     ・今後は労使協議を重視する重視する組合が多い



発  表:平成10年5月8日(金)

担  当:労働大臣官房政策調査部

                 電 話 03-3593-1211(内線5257)

                     03-3502-6730(夜間直通)









T 調査の概要

 この調査は、労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で行われる団体交渉及び労働

争議の実態を明らかにすることを目的としたものである。

 調査対象は、日本標準産業分類による鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・

水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス

業の9大産業に属する民営事業所における労働組合員数規模30人以上の単位労働組合

(合同労組は除く。)のうちから抽出した約5,000労働組合である。

 調査は、平成9年6月30日現在(ただし、一部の事項については過去3年間)で実

施し、有効回答率は80.3%であった。



U 調査結果の概要

 【骨 子】



【T 団体交渉等労使間の話合いの状況】



1 労使間の話合いの状況 − 「賃金」は団体交渉、「雇用・人事」などは労使協議

 を中心に話合いを実施、今後は労使協議を重視する組合が多い



 (1) 過去3年(平成6年7月1日から9年6月30日まで。)における労使の話合いの状

    況をみると、「労働時間」に関する事項について話合いを行った組合が86.4%

    と最も多く、次いで、「賃金」に関する事項81.4%、「雇用・人事」に関する

    事項77.4%の順となっている。

 (2) 「賃金」に関する事項については団体交渉の場で話合いを行っている組合が

    多く、「労働時間」に関する事項、「育児休業制度・介護休業制度」では団体

    交渉と労使協議機関で同程度の組合が話合いを行っており、「雇用・人事」に

    関する事項などそれ以外の事項では労使協議機関で話合いを行う組合が多い。

 (3) 労使協議機関を設置している組合の割合は78.1%で、そのうち労使協議機関

    と団体交渉の取扱い事項を区別している組合の割合は85.6%である。

 (4) 労使間の諸課題を解決する手段として、今後組合が重視するものは、労使協

    議機関(50.5%)、団体交渉(41.6%)の両者で9割を占めるが、労使協議機

    関を重視する組合が団体交渉を重視する組合を上回る。



2 団体交渉の状況・手続 − 団体交渉実施組合の割合は65.1%、企業規模が小

 さい組合ほど交渉を実施した割合が高い



 (1) 過去3年間に団体交渉を行った組合の割合は65.1%で、おおむね企業規模が

    小さい組合ほど実施割合が高くなっている。

 (2) 団体交渉の1年平均の回数は、「5〜9回」とする組合が40.2%で最も多い。

    また、交渉の所要時間は「1時間〜2時間未満」が51.7%と最も多い。

 (3) 過去3年間に「団体交渉を行わなかった」組合について、その理由をみると、

    「上部組織が団体交渉を行うことになっているから」が53.2%と最も多く、次

    いで「労使協議機関で話合いができたから」が35.4%となっている。

 (4) 団体交渉の開始手続について取り決めている組合は75.5%で、その内容は 

    「事前通知を経た後」56.2%、「事前打合せを経た後」39.7%、「労使協議を

    経た後」25.6%の順となっている。



【U 労働争議】



1 労働争議・争議行為の状況−労働争議、争議行為のあった組合の割合は低下



 (1) 過去3年間に「労働争議があった」組合は12.8%、「争議行為があった」組

    合は8.0%で前回調査(それぞれ16.5%、10.0%)に比べいずれも低下してい

    る。

 (2) 労働争議での紛争事項は、「賃金」に関する事項とする組合が87.0%と最も

    高く、次いで、「雇用・人事」に関する事項の29.4%、「労働時間」に関する

    事項の28.8%の順となっている。

 (3) 争議行為の態様は、「同盟罷業(ストライキ)」が73.8%、「時間外・休日

    労働拒否」が51.4%となっている。



2 争議行為の手続−争議行為開始の際の予告について取り決めている組合の割合は6

 4.1%



 (1) 争議行為開始の際の予告について取り決めている組合の割合は64.1%で、内

    容は「日時又は期間」が93.9%、以下「目的」79.6%、「態様」60.9%、「参

    加人員」60.7%等の順。予告期間は、「24時間を超え48時間以内」が26.9%と

    最も多い。

 (2) 争議行為開始の際の予告以外の要件について取り決めている組合は36.2%で、

    内容は「団体交渉を経た後」が71.2%と最も多い。



(注)



1) 主な用語の定義

  イ 「単位労働組合」とは、支部、分会等下部組織を有しない「単位組織組合」及

   び支部、分会等下部組織を有する労働組合(単一組織組合)の最下部組織である

   「単位扱組合」をいう。

  ロ 「労使協議機関」とは、労働組合と使用者(使用者団体を含む。)との間で設

   けられた経営・生産・労働条件・福利厚生等の事項を労使で協議するための常設

   機関をいう。

  ハ 「苦情処理機関」とは、賃金、配置転換、日常の作業条件等について、従業員

   個人の苦情を解決するための労使代表で構成される常設機関をいう。

  ニ 「団体交渉」とは、原則として労働組合と使用者(使用者団体を含む。)との

   間で行われたものをいう。なお、本調査では上部組織が単独で使用者と交渉を行

   ったものは、たとえ当該労働組合に関係のある事項について行われた場合でもこ

   れに含まない。

  ホ 「労働争議」とは、労働組合と使用者(使用者団体を含む。)との間で、労働

   関係に関する主張が一致しないで、争議行為が発生した場合又は争議行為が発生

   するおそれがあるような紛争状態にある場合をいう。第三者のあっせん、調停等

   が行われた場合はすべて該当する。

  ヘ 「争議行為」とは、同盟罷業(ストライキ)、怠業、作業所閉鎖、その他労働

   関係の当事者がその主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗す

   る行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう。





2) 統計表等に用いてある符号は次のとおりである。

  「0.0」………単位数値未満のもの

  「 − 」……該当数値が得られないもの

  「M.A.」……重複回答(MultipleAnswers)のもの。このため、各項目の割合の

         和は100を越える場合もある。

3) 統計表において四捨五入等の関係で項目の和が計の数字に合わないことがある。



V 調査結果








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