タイトル:平成12年労働組合活動実態調査結果速報

     ・企業再編に対する認識は「生き残りのためには必要」が2割、「雇用が

      維持されるならばよい」が3割、「実施は避けられないとしても労働条

      件変更は最小限に」が5割

     ・賃金制度等の改定では「評価制度の透明性、公正・公平さ」を6割が最

      も重視



発  表:平成13年7月2日(月)

担  当:厚生労働大臣官房統計情報部賃金福祉統計課

                  電 話 03-5253-1111(内線7666)

                      03-3595-3147(夜間直通)

I 調査の概要



  この調査は、労働組合を対象として、労働環境が変化する中での労働組合の活動

 の実態を明らかにすることを目的としたものである。

  調査対象労働組合は、日本標準産業分類による鉱業、建設業、製造業、電気・ガ

 ス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動

 産業及びサービス業の9大産業に属する民営事業所における労働組合員数規模100

 人以上の単位労働組合のうちから一定の方法により抽出した約4,000の労働組合で

 ある。

  調査対象期日は、平成12年6月30日現在で、同年7月に実施し、有効回答率は74.6

 %であった。

  なお、前回は平成7年に調査を実施している。



  

II 調査結果の概要



【骨子】





1 企業組織の再編等と労働組合の対応に関する事項



(1)過去3年間に所属する事業所において企業組織の再編・事業部門の縮小等(以下

「企業組織の再編等」という)が「実施された」労働組合の割合は45.7%となってお

り、このうち実施に当たり「関与した」労働組合の割合は82.2%となっている

(第1図第1表)。



(2)企業組織の再編等の実施に伴い、使用者側から提示された事項は、「出向・転籍」

(49.2%)の割合が最も高く、次いで「配置転換(転居を伴わない)」(42.2%)、「配置

転換(転居を伴う)」(35.7%)、「早期退職優遇制度の創設・活用」(29.0%)、「新規

・中途採用の抑制」(27.3%)等の順となっている。前回と比較すると、「定昇・ベー

スアップの凍結・賃金の引き下げ」が10.0%から25.2%と2.5倍となっている(第2図)。



(3)使用者側から提示された事項のうち、労働組合が重視した事項は、「出向・転籍」

(38.6%)の割合が最も高く、次いで「配置転換(転居を伴う)」(27.8%)、「配置転換

(転居を伴わない)」(26.2%)等の順となっている(第3図)。



(4)企業組織の再編等の実施に対する労働組合の認識は、「企業組織の再編等の実施

は避けられないとしても、労働条件の変更は最小限に止めるべきである」が46.5%と

最も高く、「雇用の維持が図られるならば企業組織の再編等は実施してもよい」が

29.9%、「企業の生き残りのためには企業組織の再編等の実施も必要である」が20.1

%で、「企業組織の再編等を実施する必要性はない」は1.0%となっている(第4図)。

  



2 出向と労働組合の対応に関する事項



(1)他の企業に出向している組合員が「いる」労働組合の割合は57.8%となっており、

このうち組合員の出向者数が3年前と比べ「増加した」とする労働組合の割合は50.1

%となっている(第4表)。



(2)組合員の出向に際し「関与した」労働組合の割合は65.5%となっており、これを

関与の時点別にみると「計画段階」のみが39.0%、「個別人選段階」のみが23.5%、

「両段階」が37.5%となっている(第6表)。



(3)出向に際して労働組合が最も重視している事項は「出向者の賃金等労働条件に関

すること」が71.8%で最も高くなっている(第7図)。

  



3 賃金・退職金制度の改定と労働組合の対応に関する事項



(1)過去3年間に所属する事業所で賃金・退職金制度の改定が「実施された」労働組

合の割合は56.0%となっており、改定の内容は「職務・職能・業績給の新設、拡大」

が53.0%、「退職金算定方法の見直し」が26.5%となっている(第8表第8図)。



(2)賃金・退職金制度の改定に当たり「関与した」労働組合の割合は94.0%となって

おり、改定に当たり労働組合が最も重視した事項は「評価制度の透明性、公正・公平

さの確保」が60.1%で最も高くなっている(第9表第9図)。

  



4 能力主義化、能力給化についての労働組合の認識



  「労働者の能力評価方法が妥当であれば、納得できる」とする労働組合の割合が

 47.9%で最も高く、次いで「やむを得ない動きだとしても、それによって労働者が

 不利にならないような措置が必要である」が32.6%となっている(第10図)。

  



5 退職金制度についての労働組合の認識



  「組合員個人が選択できる多様な制度をもうけるのがよい」とする労働組合の割

 合が47.1%で最も高く、次いで「一時金制度を中心とすべきである」が19.5%とな

 っている(第11図)。





(注)統計表に用いている符号は次のとおりである。



「0.0」……単位数値未満のもの。

「 - 」……当該数値が得られないもの。

「 * 」……分母となるサンプル数が1以上10未満のものであり、利用する際は

       注意する。

「M.A.」…複数回答(MultipleAnswersの略)。

      この場合各項目の和は100を超える場合もある。







用語の定義



「単位労働組合」とは、支部、分会等下部組織を有しない「単位組織組合」及び支部、

分会等を有する労働組合(単一組織組合)の最下部組織である「単位扱組合」とをい

う。



「企業組織の再編・事業部門の縮小等」とは、企業の合併、営業・資産の譲受、会

社の買収、他社との合弁、施設の撤去、施設の廃棄、営業・資産の譲渡、子会社の売

却・精算及び事業部門の撤退・縮小をいう。



「労使協議機関」とは、経営、生産、労働条件、福利厚生等の事項を労使で協議する

ための常設機関をいい、労使協議会、経営協議会等の名称で呼ばれているものである。



「団体交渉」とは、原則として労働組合と使用者(使用者団体を含む。)との間で行

われたものをいう。



「同意事項」とは、労使双方が同意しなければ決定できない事項をいう。



「協議事項」とは、労使の意見の一致をみるように意見交換を行うが、最終決定は使

用者が行う事項をいう。



「意見聴取事項」とは、使用者が説明を行ったうえに労働組合に意見聴取を行う事

項をいう。



「説明報告事項」とは、使用者が説明報告するだけで労働組合に意見聴取を行わな

い事項をいう。

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