タイトル:平成10年産業労働事情調査結果速報

     サービス業就業実態調査

発  表:平成11年6月14日(月)         

担  当:労働大臣官房政策調査部

         電 話 03-3593-1211(内線5667、5243)

             03-3502-6729(夜間直通)




−3年前に比べ、雇用の増加した事業所割合が高い職種は、社会福祉士、

介護福祉士、美容師、プログラマー、一・二級建築士、設計技師など−





I 調査の概要



 この調査は、今後とも雇用の受け皿としての役割が期待されるサービス業の経営、

就業実態及び今後の労働面の課題等について総合的に把握し、今後の労働施策推進

のための基礎資料とすることを目的に実施したものである。

 調査対象は、サービス業の中から選定した別表1に掲げる25業種(日本標準産

業分類に基づく小分類又はその組合せ)に属する常用労働者10人以上の民営事業

所4,072及びそのうち常用労働者30人以上の1,072事業所の労働者10,636人である。

また、比較的労働者数が多いと思われる別表2に掲げる46の職種を選び、25調

査業種における職種の状況も調査した。

 調査結果は、平成10年8月末現在のものである。(有効回収率 事業所調査

77.1%、個人調査72.8%)

(注)なお、本調査で、「一般社員」とは、期間を定めずに雇われている者で、い

わゆる「正社員」、「本採用」、「本雇」などの名称で呼ばれる者をいい、「一般社員

以外」とは、パートタイマー、アルバイト・臨時、嘱託又はこれらに近い名称で呼

ばれている者、労働者派遣法にいう派遣労働者として調査事業所に派遣されている

者、一定期間だけ雇用される専門知識や技術を持った契約社員並びに応援社員・出

向社員等のことである。





II 調査結果の概要



1)サービス業の経営実態

1 事業所の設立状況

  事業所の設立形態は、いずれの設立時期でも「創業(新規設立)」に伴う設立

 とする割合が最も高いが、「他企業からの分離・独立」、「フランチャイズ展開」

 も設立時期が新しいほど高くなる傾向。 平成4年以降設立された割合が高い業種

 は、その他の娯楽業(29.9%)、警備業(25.2%)、老人福祉事業, 知的障害・身体

 障害者福祉事業(23.4%)、公園, 遊園地(23.0%)など。(第1図第1表2 業務量変動と対応策

  業務量変動の状況をみると、1日の間で業務量が「大幅に(倍増)変動」する事

 業所は、対個人物品賃貸業(27.6%)で最も多く、次いで旅館(26.2%)、公園, 遊

 園地(23.5%)など。1週間で業務量が「大幅に(倍増)変動」するのは、公園, 遊

 園地(42.0%)、旅館(29.9%)、対個人物品賃貸業(28.2%)など。1年の間で業務

 量が「大幅に(倍増)変動」するのは公園, 遊園地(58.0%)、写真業(50.4%)、洗

 濯業(50.2%)など(付属統計表第3表)。

  業務量の変動に対する方策(複数回答)は、調査業種全体で、「残業で対応」

 (47.3%) が最も多く、次いで「一般社員以外(派遣労働者を除く)で対応」(25.3

 %)、「交替制勤務で対応」(24.4%)、「他企業への外注などで対応」(18.9%)の

 順(付属統計表第4表)。



3 直面する経営課題

  直面している経営面の課題(3つ以内の複数回答)をみると、調査業種全体で

 は、「営業・販売力の強化」(46.9%)が最も高く、次いで「人件費等経費の削減」

 (45.7%)、「業務の効率化・スリム化、組織の再編成」(28.8%)、「労働者の生産

 性、能力の向上」(26.0%)などの順 (付属統計表第5表)。





2)サービス業の就業実態

1 雇用面の実態

(1) 職種別にみた雇用変動

   事業所における職種別労働者数の3年前と比べた変動状況を増減D.I.(増加

  したとする事業所割合から減少したとする事業所割合を引いたもの)でみると、

  46職種中32職種でプラスで、13職種でマイナス。

   プラス幅は、社会福祉士 (53.9ポイント)で最も大きく、次いで介護福祉士

  (52.0ポイント)、美容師(33.8ポイント)、プログラマー(29.5ポイント)、一・二

  級建築士(29.0ポイント)、設計技師(28.7ポイント)、看護婦(士)(25.1ポイント)、

  療法士(理学、作業)(23.1ポイント)の順。 (第2図付属統計表第6表(2) 高年齢労働者・女性労働者の雇用変動

   3年前に比べ、高齢者雇用率(事業所における55歳以上の労働者の占める

  割合)が「高まった」業種は、建物サービス業(34.0%)、病院(31.7%)、機械

  修理業(29.1%)など(付属統計表第8表)。女性雇用率の「高まった」業種は、

  遊戯場(37.4%)、ソフトウェア業, 情報処理・提供サービス業(29.9%)、駐車

  場業(22.1%)など (付属統計表第9表)。

(3) 入離職の状況

   平成9年9月から平成10年8月までの1年間における入・離職率は、調査

  業種全体で入職率18.0%、離職率16.1%。業種別にみると、公園, 遊園地におい

  て入職率、離職率いずれも4割以上と高い (付属統計表第10表)。

   過去10年間に他の会社に勤めたことのある労働者の割合(個人調査)は、

  調査業種全体で39.4%。業種別にみると、駐車場業、警備業、遊戯場、建物サー

  ビス業、その他の娯楽業で5割を超えている(付属統計表第11表)。



2 労働時間面の実態

  休業日の状況は、調査業種全体では「週2日休業(毎週)」が30.6%、「週2

 日休業(隔週)」が18.4%となっているが、「無休」の事業所も12.5%ある。

  1日の平均営業時間は、調査業種全体で11時間22分だが、業種別にみると、旅

 館(21時間13分)、駐車場業(15時間29分)、その他の娯楽業(13時間30分)、

 遊戯場 (13時間28分)が特に長い。 (第4図付属統計表第14表)

  深夜労働(平成10年3月から8月までの半年間の実績、個人調査)は、調査

 業種全体では、「ほとんどなかった」(72.1%)、「時々あった」(20.8%)、「多

 かった」(6.6%)の順。

  休日労働(平成10年3月から8月までの半年間の実績、個人調査)は、「ほ

 と んどなかった」(59.0%)、「時々あった」(33.0%)、「多かった」(7.8%)の順。

 (付属統計表第16表3)サービス業の労働面の課題

  直面している労働面の課題(複数回答)をみると、調査業種全体では「就業意

 欲の維持・向上」(44.9%)の割合が最も高く、次いで「賃金対策(賃金体系の見

 直し等)」(34.4%)、「従業員の定着」(34.3%)、「研修等教育訓練の充実」(31.2

 %)、「人手不足の解消」(22.3%)、「労働時間対策(時短、週休2日制等)」

 (20.1%)などの割合が高い。

  業種別にみると、「就業意欲の維持・向上」を課題とする事業所割合が多くの

 業種で最も高いが、「賃金対策(賃金体系の見直し等)」が最も高い業種として

 は、自動車整備業(42.7%)、対事業所物品賃貸業(40.1%)。「従業員の定着」

 を課題とする事業所割合が最も高い業種としては、理容業, 美容業(48.2%)、遊

 戯場(77.0%)、建物サービス業(41.3%)、警備業(58.8%)。「研修等教育

 訓練の充実」が最も高い業種としては、老人福祉事業, 知的障害・身体障害者福

 祉事業(60.5%)、機械修理業(49.2%)、ソフトウェア業, 情報処理・提供サー

 ビス業(45.3%)、その他の専門サービス業(35.6%)。「新技術への対応(OA

 機器・ME機器の導入)」が最も高い業種として、土木建築サービス業(54.8%)

 がある。(第5図付属統計表第18表

 

別表1 調査対象業種(25業種)

 調査対象業種は、日本標準産業分類に基づくサービス業の小分類業種のうち、

「常用労働者10人以上を雇用する民営事業所数が2,000以上」又は「平成3年〜

8年の5年間に常用労働者数が2割以上増加」のいずれかに該当するものの中か

ら選定した。

産業分類
番号
名   称 産業分類
番号
名   称
1721洗濯業 14813有線放送業
2723
724
理容業, 美容業 15821
822
ソフトウェア業, 情報処理・提供サービス業
3731駐車場業 16831広告代理業
4743写真業 17845土木建築サービス業
5751旅館 18848個人教授所
6766スポーツ施設提供業 19849その他の専門サービス業
7767公園, 遊園地 20864建物サービス業
8768遊戯場 21866警備業
9769その他の娯楽業 22869他に分類されない事業サービス業
10771自動車整備業 23871
872
一般廃棄物処理業, 産業廃棄物処理業
11781機械修理業 24881病院
12791
792
793
対事業所物品賃貸業 25904
905
老人福祉事業, 知的障害・身体障害者福祉事業
13794
795
799
対個人物品賃貸業  

 付属統計表においては、調査対象業種を以下のように3分類して表章している。

  対事業所サービス:自動車整備業 機械修理業 対事業所物品賃貸業 ソフ

   トウェア業, 情報処理・提供サービス業 広告代理業 土木建築サービス業

   その他の専門サービス業 建物サービス業 警備業 他に分類されない事業

   サービス業

  対個人サービス:洗濯業 理容業, 美容業 駐車場業 写真業 旅館 ス

   ポーツ施設提供業 公園, 遊園地 遊戯場 その他の娯楽業 対個人物品賃

   貸業 有線放送業 個人教授所

  社会的・公共的サービス:一般廃棄物処理業, 産業廃棄物処理業 病院 

   老人福祉事業, 知的障害・身体障害者福祉事業

別表2 調査対象職種(46職種)
名   称 名   称 名   称
01管理職 17調理師・コック 33美容師
02事務従事者 18調理場作業員 34クリーニング職
03電気・機械設備保安管理員 19給仕従事者 35教師、塾講師
04守衛・警備・保安員 20接客員 36薬剤師
05清掃員 21販売員 37看護婦(士)
06外交員・セールス員 22キャディ 38准看護婦(士)
07集金人・配達員 23指導員・コーチ 39診療放射線・X線技師
08自動車運転手 24トレーサー 40療法士(理学、作業)
09システムエンジニア 25設計技師 41臨床・衛生検査技師
10プログラマー 26一・二級建築士 42栄養士
11電算機オペレーター 27土木技術者 43指導員(生活・職業・作業)
12自動車整備工・修理工 28測量士 44介護福祉士
13一般機械修理工 29写真工・現像・焼付工 45社会福祉士
14電気修理工 30経営コンサルタント 46福祉施設寮母・寮父
15起重機・建設機械運転工 31デザイナー  
16建物・駐車場管理人 32理容師




III 調査結果








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