III 調査結果
【1 組織化の現状 】 1) 組織率階級別分布の状況 組織率をみると、「70〜90%未満」の労働組合(以下「組合」という。)が31.0% と最も多く、次いで「90%以上」(30.2%)、「50〜70%未満」(22.6%)の順と なっているが、前回調査(平成5年6月、以下同じ)と比べると、若干の変動はある もののほぼ類似した結果となっている(第1表)。 2) 組織率の変化状況 組合の組織率について3年前(平成7年6月、以下同じ)と比べた変化状況をみる と、「変わらない」とする組合が64.1%と最も多く、次いで「低下した」組合が25.0%、 「上昇した」組合が10.6%となっており、「上昇した」に比べて「低下した」が14.4 ポイント上回った(第2表)。 3) 組合員数の変化状況と増減理由
(1) 3年前と比べた組合員数の変化 3年前と比べた労働組合員数(以下「組合員数」という。)の変化をみると、 「減少した」組合が58.6%で最も多く、次いで「変わらない」(22.3%)、「増加した」 (18.9%)の順となっている。 前回調査と比べると「減少した」は25.7ポイント上昇する一方、「増加した」は18.8 ポイント低下した(第3表)。 (2) 組合員数の増加理由 組合員数が「増加した」組合についてその理由(M.A.)をみると、「新規・中途 採用者による新入組合員の増加」が79.8%と最も多く、次いで「組織化努力による 組合加入者の増加」が16.0%となっており、「臨時・パートタイム労働者の組合員化」 を理由にあげた組合は3.9%にとどまっている。 前回調査と比べると、「新規・中途採用者による新入組合員の増加」が減少し、 「組織化努力による組合加入者の増加」の割合が増加している(第4表)。 (3) 組合員数の減少理由 一方、「減少した」組合についてその理由(M.A.)をみると、「新規・中途採用 の手控え」が53.0%と最も多く、次いで「定年退職者による組合脱退者の増加」 (47.6%)、「中途退職者による組合脱退者の増加」(38.0%)、「事業縮小等による 労働者の減少」(23.0%)などの順となっている。 前回調査と比べると、「新規・中途採用の手控え」が23.0ポイント上昇している (第5表)。 4) 重点課題としての組織拡大状況
(1) 重点課題としての組織拡大の取組みの有無 組合活動の重点課題として、組織拡大に取り組んでいるかどうかをみると、「必 ずしも重点課題として取り組んでいない」が75.9%、「重点課題として取り組んで いる」が23.9%となっている(第6表)。 (2) 重点課題として組織拡大に取り組んでいる組合の対象労働者の種類 「重点課題として取り組んでいる」組合(全体の23.9%)の特に取り組んでいる 対象労働者をみると「一般従業員」が72.2%と最も多く、次いで「パートタイム労 働者」(22.3%)、「使用者の利益代表者に該当しない管理職、専門職」(15.9%)、 「臨時労働者」(14.9%)、「定年退職者(事業所と雇用関係のない者に限る)」 (11.6%)などの順となっている(第7表)。 (3) 重点課題として組織拡大に取り組んでいない理由 「必ずしも重点課題として取り組んでいない」組合(全体の75.9%)の理由 (M.A.)をみると、「ほぼ十分な組織化が行われているため」が55.1%と最も多く、 次いで「組織が拡大する見込みが少ないため」(27.1%)、「組織化を進める人的、 財政的余裕がないため」(19.0%)、「他に取り組むべき重要課題があるため」 (17.0%)となっている(第8表)。 【2 役員体制 】 1) 執行委員数 組合の執行委員数は、1組合当たり平均9.7人(男8.1人、女1.6人)となっている。 本部組合では、1組合当たり平均14.8人(男13.6人、女1.2人)となっている (第9表)。 2) 専従執行委員及び専従書記 執行委員の中に専従者がいる組合の割合は11.8%であり、前回(18.2%)より割 合が低下している。本部組合では半数以上(53.5%)に専従者がいる。 また、専従書記(組合に雇われて事務的作業に従事するもの)のいる組合の割合は 19.0%(前回調査18.9%)となっている。 本部組合では半数以上(51.8%)に専従書記がいる(第10表)。 【3 財政状況 】 1) 組合費算定方法 毎月徴収する組合費の算定方法をみると、「定率方式」が46.2%と最も多く、次い で「定率+定額」(30.6%)、「定額方式」(20.1%)の順となっている。 前回調査と比べると「定率+定額」が1.8ポイント上昇している。 また、本部組合では、半数以上(51.8%)が「定率方式」となっている(第11表)。 2) 平均月額組合費 組合員1人当たりの組合費(月額)は、1,500円未満から9,000円以上まで広く分布 している。平均月額組合費は3,853円で、前回調査(平均3,660円)と比べ193円(5.3 %)の増加となっている。 組合費を階級別にみると、3,000円〜6,000円未満の間で半数を占めている。 また、本部組合の平均月額組合費は4,120円で単位組織及び単位扱労働組合計より 267円高くなっている(第12表)。 3) 年度予算の支出費目内訳 1組合当たりの年度予算に占める各支出費目の割合は、「会議・行事費等活動費」 が50.3%と最も高く、次いで「団体費(上納金を含む)」(13.1%)、「人件費」 (12.4%)、「積立金、基金」(5.2%)、「共済関係費」(4.7%)の順となっている。 前回調査と比べると、「積立金、基金」が1.8ポイント低下している。 また、本部組合では「人件費」(22.4%)の割合が単位組織組合及び単位扱組合 より10.0ポイント高くなっている(第13表)。 4) 財政状態の変化状況 財政状態について3年前と比べた変化状況をみると、「変わらない」が51.2%と 最も多く、「苦しくなった」が42.7%、「楽になった」が5.2%となっている。 前回調査と比べると、「苦しくなった」割合が11.3ポイント上昇した。 また、本部組合では「苦しくなった」が6割以上となっている(第14表)。 5) 財政状態が変化した理由 (1) 財政状態が楽になった理由 「楽になった」理由をみると、「組合員の増加」が49.2%と最も多く、次いで 「組合費の値上げ」(33.5%)、「各種活動の縮小」(20.8%)の順となっている。 また、本部組合では、「組合員の増加」が52.3%と最も多く、次いで「人件費の 減少」(30.8%)の順となっている(第15表)。 (2) 財政状態が苦しくなった理由 一方、「苦しくなった」理由をみると、「組合員の減少」が83.3%と圧倒的に多 く、次いで、「組合費の据置き」(27.7%)、「各種活動の活発化」(23.1%)などの順と なっている(第16表)。 【4 活動状況と活動重点事項 】 1) 組合員の組合活動参加状況 過去1年間(平成9年7月1日〜平成10年6月30日)における一般組合員の組合活動 への参加状況をみると、「まあまあ積極的である」(45.5%)と「かなり積極的であ る」(3.1%)を合わせると48.6%、「あまり積極的でない」(43.2%) と「積極的でない」 (7.6%)を合わせると50.8%となっており「積極的でない(小計)」とするものが「積極 的である(小計)」とするものを上回っている。前回調査と比べると、「積極的である (小計)」が低下し、「積極的でない(小計)」が上昇した(第17表)。 2) 組合活動に対する関心を高めるために重視している事項 組合員の組合活動に対する関心を高めるために重視しているもの(M.A.)をみると、 「参加しやすい組合行事の実施」が56.7%と最も多く、次いで「組合内のコミュニ ケーション」(52.0%)、「活動への組合員のニ−ズや意見の反映」(44.0%)、「要求 獲得活動における成果」(42.9%)の順となっている(第18表)。 3) 従来の活動重点事項 組合活動の従来の重点事項(M.A.)をみると、「賃金・一時金問題」が85.8%と最 も多く、次いで「労働時間・休日問題」(68.4%)、「退職金・年金問題」(28.9%) の順となっている。 前回調査と比べると、「定年制問題」(5.9ポイント減)、「企業内福利厚生問題」(4.6ポ イント減)、「労働時間・休日問題」(3.7ポイント減)などで低下する一方、「雇用確 保問題」(9.5ポイント増)、「職場の安全衛生問題」(6.3ポイント増)などで上昇して いる(第19表)。 4) 今後の活動重点事項 組合活動の今後の重点事項(M.A.)をみると、「賃金・一時金問題」が62.9%で最 も多く、次いで「労働時間・休日問題」(45.1%)、「退職金・年金問題」(40.1%)、 「雇用確保問題」(35.8%)の順となっている。 前回調査と比べると、「労働時間・休日問題」(18.6ポイント減)、「企業内福利厚 生問題」(11.1ポイント減)などで低下する一方、「雇用確保問題」(21.6ポイント増)、 「定年制問題」(7.0ポイント増)などで上昇している(第20表)。 5) 組合活動の重点事項別労働組合の動向 組合活動の重点事項が「従来の重点事項」と「今後の重点事項」でどのように変化 しているかをみると、前回調査では、「賃金・一時金問題」、「労働時間・休日問 題」、「労金・労済・生協活動」が減少し、「組合員の生涯生活設計福祉ビジョン」、 「退職金・年金問題」、「経営参加」が増加する傾向を示していたが、今回の調査では 「労働時間・休日問題」、「賃金・一時金問題」、「労金・労済・生協活動」が減少 し、「雇用確保問題」、 「定年制問題」、「退職金・年金問題」が増加する傾向が みられる。 なお、「男女の均等取扱いに関する問題」が今後の重点事項となる傾向がある (第21表)。 6) 産業別組織に期待する事項 産業別組織に期待する事項(M.A.)をみると、「減税等政策制度要求」が45.9%と最 も多く、次いで、「賃金・一時金問題」(43.5%)、「労働時間・休日問題」(34.9 %)、「雇用確保問題」(33.3%)、「退職金・年金問題」(27.4%)、「定年制問 題」(23.8%)の順となっている。 前回調査と比べると、「労働時間・休日問題」(16.9ポイント減)で低下する一方、 「雇用確保問題」(19.8ポイント増)、「減税等政策制度要求」(8.4ポイント増)、「定年 制問題」(8.1ポイント増)などで上昇している(第22表)。 【5 上部組織への加盟状況 】 1) 産業別組織への加盟状況 (1) 産業別組織への加盟の有無 産業別組織への加盟の有無についてみると、「加盟している」が74.1%で、 「加盟していない」が25.6%となっている(第23表)。 (2) 産業別組織に加盟していない理由 加盟していない理由(M.A.)としては、「企業外の上部組織に参加しなくても、 組合活動に支障がないため」が41.7%と最も多く、次いで「加盟費の負担が大きい から」 (38.4%)、「役員派遣や会議出席などの人的負担が大きいから」(35.8%) の順となっている(第23表)。 2) 地域別組織への加盟状況 (1) 地域別組織への加盟の有無 地域別組織への加盟の有無についてみると、「加盟している」が65.6%、「加盟し ていない」が33.9%となっている(第24表)。 (2) 地域別組織に加盟していない理由 加盟していない理由(M.A.)としては、「 企業外の上部組織に参加しなくても、 組合活動に支障がないため」が42.5%と最も多く、次いで「役員派遣や会議出席な どの人的負担が大きいから」(32.4%)、「加盟費の負担が大きいから」(29.7%)な どの順となっている(第24表)。 3) 上部組織への重複加盟状況 産業別・地域別両企業外上部組織への重複加盟状況についてみると、「両組織に 加盟している」組合が最も多く59.5%、次いで「両組織とも加盟していない」(19.4 %)、「産業別組織のみ加盟している」(14.4%)、「地域別組織のみ加盟している」 (6.1%)の順となっている(第25表)。 4) 重複加盟しない理由 「地域別組織のみ加盟している」組合(全労働組合の6.1%)の産業別組織に加盟 していない理由(M.A.)をみると、「 加盟費の負担が大きいから」(36.1%)が最も多 く、次いで「 新たな企業外の上部組織に参加しなくても、組合活動に支障がないた め」(30.5%)などの順となっている。 「産業別組織のみ加盟している」組合(全労働組合の14.4%)の地域別組織に加盟 していない理由(M.A.)をみると、「組合活動上に必要な情報等が現在の企業外の上 部組織で十分得られるため」(52.1%)が最も多く、次いで「新たな企業外の上部組織 に参加しなくても、組合活動に支障がないため」(34.8%)などの順となっている (第26表)。