タイトル:平成10年労働組合実態調査結果速報 ・労働組合員の減少した組合割合が高まる中、 今後、「雇用確保問題」を重視する労働組合が増加 発 表:平成11年5月31日(月) 担 当:労働大臣官房政策調査部 電 話 03(3593)1211(内線5257) 03(3502)6730(夜間直通)
この調査は、労働組合の組織、組合役員、組合財政及び組合活動の重点等労働組合の 実態を明らかにすることを目的としたものである。 調査対象は、日本標準産業分類による鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・ 水道業、運輸・通信業、卸売・小売業, 飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス 業の9大産業に属する事業所について組合員数30人以上の労働組合(単位組織組合及び 支部等の単位扱組合並びに本部組合。合同労組は除く。)から一定の方法により抽出さ れた約4,800の労働組合である。 調査は平成10年7月に実施し、調査内容は原則として平成10年6月30日現在(一部に ついては過去1年間又は過去3年間)の状況で、有効回答率は78.1%であった。 前回は平成5年に実施している。 なお、本調査は、従来、単位組織組合及び支部等の単位扱組合を調査対象としてきた が、今回より、一部調査事項に関して新たに本部組合(今回調査対象労働組合数の5.1% に相当)も調査している。 平成10年と表示してある数値は、単位組織組合及び支部等の単位扱組合について集計 したものであり、本部組合については別掲とした。
【骨 子】 【1 組織化の現状 】 1) 3年前と比べた組合員数変化をみると、「減少した」(58.6%)が、「増加し た」(18.9%)を大きく上回り、前回調査(平成5年6月、以下同じ)と比べて 25.7ポイント上昇した(第3表)。 2) 減少理由をみると、「新規・中途採用の手控え」(53.0%)が最も多く、次いで 「定年退職者による組合脱退者の増加」(47.6%)、「中途退職者による組合脱退 者の増加」(38.0%)、「事業縮小等による労働者の減少」(23.0%)などの順となっ ている(第5表)。 3) 組合活動の「重点課題として組織拡大に取り組んでいる組合」(全体の23.9%) について「特に取り組んでいる労働者の種類」をみると、「一般従業員」(72.2%) が最も多く、次いで「パートタイム労働者」(22.3%)、「使用者の利益代表に該当 しない管理職、専門職」(15.9%)、「臨時労働者」(14.9%)、「定年退職者」(11.6%) などとなっている(第7表)。 【2 役員体制 】 組合の執行委員数は、1組合当たり平均9.7人(男8.1人、女1.6人)であり、前回調 査より減少している(第9表)。 【3 財政状況 】 1) 組合員1人当たりの平均月額組合費は、3,853円で、前回調査より193円(5.3%) 増加している(第12表)。 2) 財政状態については、3年前と比べ、「変わらない」が51.2%、「苦しくなっ た」が42.7%、「楽になった」が5.2%で、「苦しくなった」割合が前回調査と比べ 11.3ポイント上昇した(第14表)。 3) 「苦しくなった」理由をみると、「組合員の減少」が83.3%と圧倒的に多く、 次いで、「組合費の据置き」(27.7%)、「各種活動の活発化」(23.1%)となっている (第16表)。 【4 活動状況と活動重点事項 】 1) 過去1年間(平成9年7月1日〜平成10年6月30日)の組合員の組合活動への参 加状況の評価については、「積極的でない」とするものが「積極的である」とす るものを上回っている(第17表)。 2) 組合員の組合活動への関心を高めるために重視している事項としては、「参加 しやすい組合行事の実施」(56.7%)、「組合内のコミュニケ−ション」(52.0%)、 「活動への組合員のニ−ズや意見の反映」(44.0%)、「要求獲得活動における成 果」(42.9%)が多い(第18表)。 3) 組合活動の今後の重点事項としては、「賃金・一時金問題」が62.9%で最も多 く次いで「労働時間・休日問題」(45.1%)、「退職金・年金問題」(40.1%)、 「雇用確保問題」(35.8%)の順となっている(第20表)。 4) 組合活動の重点事項が「従来の重点事項」と「今後の重点事項」でどのように 変化しているかをみると、「労働時間・休日問題」、「賃金・一時金問題」、「労 金・労済・生協活動」が減少し、「雇用確保問題」、「定年制問題」、「退職金・ 年金問題」が増加する傾向がみられる(第21表)。 5) 産業別組織に期待する事項としては、「減税等政策制度要求」が45.9%と最も 多く、次いで、「賃金・一時金問題」(43.5%)、「労働時間・休日問題」(34.9 %)、「雇用確保問題」(33.3%)の順となっており、前回調査と比べ、特に、 「雇用確保問題」が19.8ポイント増となっている(第22表)。 【5 上部組織への加盟状況 】 1) 企業外上部組織への加盟状況をみると、産業別組織に「加盟している」(74.1%)、 地域別組織に「加盟している」(65.6%)となっている(第23及び24表)。 2) 産業別・地域別組織の重複加盟についてみると、「両方に加盟している」(59.5%)、 「産業別組織のみ加盟」(14.4%)、「地域別組織のみ加盟」(6.1%)、「両方と も加盟していない」(19.4%)となっている(第25表)。 3) 「地域別組織のみ加盟し、産業別組織に加盟していない理由」としては、「加 盟費の負担が大きいから」(36.1%)が最も多い(第26表)。 (注) 1) 主な用語の定義 イ 「単位組織組合」とは、規約上当該組織の構成員が労働者の個人加入の形式を取り、 独自の活動を行い得る下部組織を持たない組合をいう。 ロ 「単一組織組合」とは、規約上当該組織の構成員が労働者の個人加入の形式を取り、 その内部に単位組織組合に準じた機能を持つ組織(支部等)を有する組合をいう。 ハ 「支部等の単位扱労働組合」とは、単一組織組合の各組織段階のうち、独自の活動 を行い得る最下部組織に該当する組合をいう。 ニ 「本部組合」とは、単一組織組合の各組織段階のうち、最上部組織に該当する組合 をいう。 ホ 「労働組合の組織率」とは、労働組合に所属する労働組合員数(労働組合が支部、 分会などにあたる場合は、その支部、分会などの組合員数。本部の場合は全組合員数) を、事業所(企業)の全労働者数で除した割合をいう。なお、事業所ないし企業の全 労働者数には管理職、臨時・パートタイム労働者等も含む。 ヘ 「組合員としている」には、一部でも組合員としている場合も含む。 ト 「執行委員」とは、組合員の選挙等により労働組合の運営にあたっている者で、こ の名称でなくとも同様の任にあたっている者は、これに該当する。ただし、監査機関 の構成員は含まない。 チ 「書記」とは、労働組合に雇用されて、労働組合の事務的作業に従事する者をいう。 リ 「産業別組織」とは、同一の産業の労働者あるいは労働組合が結成した組織で企業 別組織を超えるものをいう。 ヌ 「地域別組織」とは地方連合、地方全労連、地方全労協、連合地域組織、地区労、 地区同盟、全労連地域組織等の地方・地域組織をいう。 2) 統計表等に用いてある符号は次のとおりである。 「0.0」・・・・・・単位数値未満のもの 「−」・・・・・・・該当数値が得られないもの 「*」・・・・・・・・調査数が少ないため数値を表章しないもの 「M.A.」・・・・・重複回答(Multiple Answers)のもの。この場合、各項目の割合の和 は100を超える場合もある。 3) 統計表において四捨五入の関係で項目の和が計の数字に合わないことがある。